No.1
安くておいしいのは、どこのワイン?
そんなものがあったら、教えてください。およそ物の値段というものは、合理的についています。
品質の良いものが欲しいと思ったら、できるだけお金を出すこと。これが原則です。
しかし、そう言ってしまうと身もふたもないので、もう少し掘り下げて考察しましょう。
注意点が2つあります。まず1つめは、「おいしい」か「おいしくない」かは、実に個人的な感覚であるということ。
貴方がおいしいと感じるためには、貴方自身が探すしかありません。人に聞くのならば、「おいしいもの」ではなく、
「品質の良いもの」を尋ねるべきです。
2つめの注意点は、安いものの品質は、ほとんど値段相応だが、高いものの中には、相応の品質を備えていないものがかなりあるということです。
これらを総合すると、安くておいしいものを探したいのなら、あなた自身が「安い」と思う値段のうちの最高額(ここまでなら、安いと考えられる額)、
例えば\1,500までなら安いと思うのならば、\1,500のワインを、数多く自分で試してみること。これに尽きます。高いワインは、時に失敗することも多いのですが、
安いと思うワインならば、失敗しても納得できるはずです。私は、立場上(どんな立場上?)、失敗も恐れず、安ワインならば、どんなものにも果敢にチャレンジしています。
そして、(ここが一番大事なのですが)「おいしい」とか「おいしくない」でワインを判断していません。すべてを愛しています。
No.2
WEBマスターのおすすめワインは? 特に気に入って、ケース買いしているようなものがあれば教えて。
これも、よく受ける類の質問です。私は意地が悪いので、「おすすめは?」と問われたら、「すべて」と答えたくなります。
ワインに序列をつけたくない、といったらカッコつけすぎかもしれませんが、どれか特定のものを人におすすめすることはできません。
私がおいしいと感じても、また、客観的に見て値段以上の品質があろうとも、それを貴方がおいしいと感じるかどうかは貴方が
決めることだからです。だから、人に特定のものをおすすめするのは、ナンセンスです。
また私は、特定のワインをまとめ買いするということはありません。世界中のワインの魅力に触れようと思ったら、人の一生は短かすぎます。同じワインを2回以上飲んでいる時間などありません。
だからケース買いするという発想が、私にはないのです。
なお、同じ作り手の同じビンテージのワインでも、保存状態の如何によって味が変わる可能性がありますので、
2本買った同じワインが違う味わいということも十分あります。ワインとの出会いは、一期一会なのです。
No.3
ワインを勉強するには、どうしたらいいの?
たくさん飲むこと。それだけです。
ただ、飲むときには、「意識して飲む」ことが大切です。私が、飲んだもののすべてを利酒日記として記録しているのは、そのため。
ワインと対話しながら飲みましょう。
「勉強」の意味が、産地名や品種名を覚えたいということならば、適切な教科書を選んで、熟読することも必要でしょう。
ワインを学ぶことは、英語を学ぶことに似ています。高度な論文を書いたり、人に教えたりしたいと思ったら、1から文法の勉強をする必要があります。
しかし、ただ人と英会話を楽しみたいということなら、難しい単語や文法など勉強する必要はなく、下手でもいいから、とにかくひたすらしゃべり続けることです。
No.4
赤ワインが苦手です。どうしたら赤ワインの魅力がわかりますか?
苦手なものを無理して飲む必要など、どこにもありません。ワインは嗜好品なのですから、自分がおいしいと思うものを飲めばいいのです。
しかし、苦手だったものが、好きになるということはあります。コーヒー、タバコ、ビール。いずれも最初は、おいしいとは感じなかったでしょう。
赤ワインも、それに似たところがあります。赤ワインの特徴である酸味や渋味は、他の酒にはあまりないものです。
コーヒーを最初に飲んだ時、ただ苦いとだけ感じたのに、次第にその奥に甘味が潜んでいることに気づいていったように、赤ワインも、ただ酸っぱいとか、渋いだけじゃないんだ、
ということが回数を追うごとに実感されるようになるでしょう。また、ワインによって、酸味の強弱、渋味の強弱には差がありますので、それを見分けられるだけの味覚の鋭敏さを養えれば、
それぞれの魅力を実感できるはずです。大切なのは、味に対して敏感になることです。
No.5
ワインに詳しくなるためにフランス語は必要ですか?
パスタやピザを好きになるのに、イタリア語を勉強する必要があるでしょうか。むしろ好きで色々なものを食べているうちに、
料理の名前などは自然に覚えてしまうものでしょう。ワインだって、たくさん飲み進んで行くうちに、自分の好きな銘柄を覚えてしまうというものです。
ソムリエにでもなるのでなければ、AOC名やボルドーのシャトーなどを体系的に覚える必要はありません。
ただ、より賢く付き合おうと思ったら、代表的なAOC名とかぶどう品種くらいは覚えておいた方が良いでしょう。
例えば、こんなことがあります。ワインを買いに行ったとき、セール品で\1,500のものが2種類あったとします。\1,500といっても、
正規の値段が\3,000なのに\1,500になっているものもあれば、\1,700のものを\1,500で売っている場合だってあります。
もしそのAOCや作り手や品種名などをエチケット(ラベル)から読み取ることができれば、どちらがお得なのかはだいたいわかります。
そういう意味では、せめてエチケットに書かれていることくらいは読めるようになっておいた方が、得をすることができるかもしれません。
しかし、ほとんどの場合、安売りというのは、それ相当の理由があるということをお忘れなく。
No.6
ワイン通は、なぜお高く止まっているのか。
ワイン通がそうなのではありません。元々そういう人が、ワイン通になるのです。
私は、高飛車でお高く止まっているかもしれませんが、ワイン通ではありません。私は、自分の言葉でワインを分析しますが、
こうでなければいけないというようなことを語ることはありません。ビンテージ・チャートなどまったく気に掛けていませんし、
ロマネコンティの畑を現地に見に行ったなんて経験もありません。それどころか、ロマネコンティもペトリュスもルパンも飲んだことがありません。
もちろん財力があれば、そういったワインに手を出してみたいのは言うまでもありませんが、そんな身分ではないから、
安物の中にお買い得品を見つけることに生きがいを見出しているのです。
他のお酒ではそんなことはないのに、ワインが好きだと言うだけで、気取っているというふうに取られてしまうのは、偏見にすぎません。
ウイスキーだって、モルトの種類とかバッティングやブレンドの比率などと言い出したらウンチクは語れますし、日本酒だって精米歩合がどうとか、
日本酒度なんて話になれば、少々専門的な感じがします。
思うに、ワインばかり色眼鏡で見られるのは、フランスという国のイメージが原因なのではないでしょうか。私も、学生時代に専門分野とはまったく関係がないのに、
フランス語を上級まで3年間履修していたというだけで、変わり者と思われていました。
そう、ワイン好きには確かに変わり者が多いのかもしれません。ワインに興味を持ち始めた貴方は、
既に立派な変わり者。それでいいじゃないですか。変わり者がお高く止まって見えるかどうかは、元々の資質によるのかもしれません。
私は、変わり者と言われても、お高く止まっていると言われても、むしろ「ありがとう」と思います。立派な変人の域です。