利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年4月


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2001年4月2日  ROSE
COTES DU RHONE 1996 ROSE / E.GUIGAL
コート・デュ・ローヌ ロゼ / E.ギガル
COTES DU RHONE地方、AC:COTES DU RHONE

  新年度最初のwineは、春色のロゼ。名門ギガルのACローヌにロゼがあったとは、恥ずかしながら知らなかった。 ローヌのロゼといえば、TAVELが有名であり、このACローヌも引き締まった味であることが期待されるが・・・。
  色はグレナデンシロップを水で割ったような色で、血が水で薄まったようだとも言える。 香りはトマトを主体にツンとしたセメダイン的香りも。口当たりは驚くほどシャープ。酸が際立ち、甘味はない。 レモン的な収斂性のある酸の切れ味が小気味良い。柔らかなタンニンも引き締め役となっている。 適度に膨らみもあり、薄っぺらくはない。これほどシャープで、かつ飲み応えもあるロゼは珍しいのではないか。 予想以上の実力に嬉しくなった。
<評定:A>

2001年4月4日  ROUGE
ZONNEBLOEM PINOTAGE 1996 / STELLENBOSCH
ゾンネブルーム ピノタージュ / ステレンボッシュ
南アフリカ、STELLENBOSCH

  黒みが強く、濃い色。香りも凝縮感があり、プルーンのような黒っぽいベリー系の甘酸っぱさを中心に、 タールのような焦げ臭さも。また、ピノ・ノワール的なゴムや薬品っぽい感じもある。 最初のアタックは丸く、甘味がたっぷりとし、ベリー系の酸も豊か。タンニンはきめ細かく、上品。 ピノ・ノワールっぽい余韻が適度に続く。力強いワインだが、甘味と酸のバランスが最後まで良い。
  この国特有の品種であるピノタージュ(ピノ・ノワールとサンソーの交配種)。当日記では初登場だが、 力強さの中に気品が感じられ、とてもチャーミングなワインである。
  例えるなら、覚えたての化粧で思いきりお洒落をしようとしているお転婆な16歳といった風情。やや垢抜けないが、基本的に美形である。
<評定:C+>

2001年4月8日  BLANC
ZONNEBLOEM CHARDONNAY 1997 / STELLENBOSCH
ゾンネブルーム シャルドネ / ステレンボッシュ
南アフリカ、STELLENBOSCH

  上記ピノタージュと同じ作り手によるシャルドネである。
  色は薄めのレモンイエロー。香りは、まず最初に緑の葉のような香りがあり、バターのようなオイリーな感じと、 ライムのような尖り気味の柑橘系の香りがある。口当たりは丸く、甘味がたっぷりとしているが、その後にかなり鋭い酸がある。 ふくらみがあって、バターっぽい余韻もそこそこ続くが、レモン的な酸が引き締め役となっている。 すべての要素がばらばらに主張し、まとまりは今ひとつ。良く言えば個性的、悪く言えば乱暴なワインである。
<評定:C−>

2001年4月9日  ROUGE
SANTA ALICIA CABERNET SAUVIGNON RESERVE 1997
サンタ・アリシア カベルネ・ソーヴィニヨン リザーヴ
チリ、MAIPO VALLEY

  極めて濃い青紫色。バニラ的樽香が豊かで、万年筆のようなインク香も感じられる。 口に含むと、まず甘味がたっぷりと感じられ、非常に濃く、深い。粉っぽさがかなりある。 余韻も長いが、少々甘ったるく、くどい感じ。タンニンもワイルド。
  いかにもチリカベらしい飲み応えだが、甘味が鼻につく。時間が経つと血の香りのような 鉄っぽさが出てくるが、これらすべての要素がバラバラに主張し、まとまりが感じられない。 決してクオリティが低いわけではないが、魅力も感じない。
<評定:D>

2001年4月14日  ROUGE
CHATEAU ARNAUD DE JACQUEMEAU 1994 / SAINT-EMILION GRAND CRU
シャトー・アルノー・ド・ジャックモー / サンテミリオン・グラン・クリュ
BORDEAUX地方、SAINT-EMILION地区、AC:SAINT-EMILION GRAND CRU

  色は全体にやや暗めで、縁にかすかにレンガ色が入り始めている。足は長い。 甘苦系スパイスの香りがあり、アルコール感が豊か。とても深みがあって気品がある。 時間と共に鉄っぽさも出てくる。味わいの第一印象は、香りとは打って変わって、以外にも薄っぺらく、 酸だけが際立っている。タンニンはシルクのようになめらか。きりっとした酸が持ち味で、深みや広がりは感じられない。 メルローらしさはないが、こういうタイプのサンテミリオンもあっていいと思う。 カベルネフランの比率が高いのだろうか。実にスッと入って、スッと切れて行く。
  香りの印象がとてもよかっただけに、重みのなさがとても残念だが、入手価格\1,000では致し方ない。 本来の定価は倍近いものとは思うが、それを前提にしても、特に不満はない。面白いワインだ。
<評定:B>

2001年4月15日  BLANC
M DE MONTESQUIEU (VINS ET DOMAINES H. DE MONTESQUIEU) 1999 / BORDEAUX
エム・ド・モンテスキュー(ヴァン・エ・ドメーヌ・アッシュ・ド・モンテスキュー)/ ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

  色はほとんどない。角のない柑橘系の香り。尖っていない、苦味の弱いグレープフルーツのよう。青草の香りはごくわずか。 口当たりも丸く、酸は尖りがなく、その分奥行きもない。とてもドライで、切れ味抜群。 飲むまでの印象に比べると、味わいの薄さは若干物足りない感じもあるが、まとめ方は上品であり、この端正さを楽しむべきだろう。 食事の邪魔をしない、奥ゆかしいワイン。
<評定:B>

2001年4月18日  ROUGE
CHINON 1999 / JUSTIN MONMOUSSEAU
シノン / ジュスタン・モンムソー
VAL DE LOIRE地方、TOURAINE地区、AC:CHINON

  色は当然の如く薄いが、輝きのあるラズベリー色。香りもラズベリーっぽい甘酸っぱさと、かすかに紫の花の香り。 若干しょうゆのような深みもある。口当たりは、酸のアタックが意外にも弱く、深みはなく、広がりもない。 端正でおとなしいところが魅力。時間と共に甘味と鉄っぽさが出てくる。タンニンはやや強め。 この地域にありがちな緑臭さはない。飲み込んだ後も酸の余韻が穏やかに続く。主張は弱いが、チャーミングなワイン。 赤の重いものが苦手な人にも、ゴクゴクのめるタイプだ。
<評定:C+>

2001年4月20日  BLANC
KREMSER SCHMIDT GRUNER VELTLINER (QUALITATSWEIN) 1998 TROCKEN / WINZER KREMS
クレムザー・シュミット グリューナー・フェルトリナー(クヴァリテーツヴァイン)トロッケン / ヴィンツァー・クレムス
オーストリア

  輝きのある美しい麦わら色。グレープフルーツのような苦味を伴う柑橘香に、ミント系のハーブ香。 グラスを回すと、俗にキューピー人形と言われるようなアクリル又はセルロイド香が際立つ。 口に含むと、まず酸のアタックが強く、グレープフルーツ的甘味が広がる。実にフレッシュで、甘味も適度。 しかし、すっきりしているだけではなく、味わいもしっかりある。ミュスカデのシュールリーとか、ハンガリーのフルミント種の辛口 にも似ている。余韻もそこそこ続き、若干柑橘類の皮のような苦味を残す。
  初体験のオーストリアワイン。ドイツに似ているようなイメージがあったが、このようなタイプはドイツにはないだろう。 なかなか良い発見をした。 このグリューナー・フェルトリナーという品種は、オーストリア原産の白ぶどうであるらしい。 なお、この国のワイン法の規定を詳しく知らないが、ドイツのクヴァリテーツヴァイン(QbA)と同等なのだろうか。
<評定:B>

2001年4月22日  BLANC
MUSCADET SEVRE ET MAINE SUR LIE 1999 LE SOLEIL NANTAIS / GUILBAUD FRERES
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー ル・ソレイユ・ナンテ / ギルボー・フレール
VAL DE LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSCADET SEVRE ET MAINE

  色はほとんどない。グラスの底面付近に、小さな発泡がいくつか見える。香りは、レモン的なフレッシュさに若干のミネラル香。 口当たりは意外と丸く、適度にふくらみもある。発泡は、口の中で感ずるほどはっきりはしていない。もちろん酸は生き生きしており、すっきりさわやかな後味。 柑橘的甘味が優しい印象を残す。
  このAOC、MUSCADETの後にDEが入る場合と入らない場合がある。どちらの標記が正しいというよりは、 作り手によって異なるようだ。どちらの標記も認められているとすれば、ワイン法の中では珍しいケースだと思う。 (本などを見ると、DEが入る方が正式AOC名であるようだ) まあ単なる前置詞の問題なので、その有無に深い意味があるとは思えないが。
<評定:C>

2001年4月23日  ROUGE
BOURGOGNE HAUTES COTES DE NUITS 1995 "LE PRIEURE" / MAISON DUPONT
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ "ル・プリウレ" / メゾン・デュポン
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE HAUTES COTES DE NUITS

Hautes Cotes de Nuit Dupont   かなり褐色に傾きかけた色で、既に熟成が進んでいることを感じさせる。足もきわめて長い。 グラスに注いだ瞬間から華やかに香りが立ち昇っており、期待は大。ブランデーのように重厚で落ち着いたアルコール感。 豊かなバニラ的樽香。若干栗のような香りと共にイオウ臭も感じるが、嫌な香りではない。 口当たりは、まず酸が豊かだが、骨格が重厚なので、尖った印象はまったくない。 タンニンはシルクのようになめらか。ひっかかりはまったくないが、プルーン的酸と相まって適度に後味を引き締める。 余韻もじんわりと長く、酸と樽香が絶妙なバランスをとって持続。時間と共に鉄の香りが出てくる。
  セール品につき、入手価格は\1,000。定価はおそらく倍程度だろう。それを前提としても、驚くべき品質で、 ただただ絶句。\5,000くらいの価値はあると思う。\1,000でこんなブルゴーニュに出会うことなど、二度とないのでは、と思う。 村名AOCでも時に大失敗をするブルゴーニュだが、こんな経験をしてしまうと、益々アリ地獄にはまってゆきそうだ。
<評定:AA+>

2001年4月27日  BLANC DOUX
LATE HARVEST 1995 SAUVIGNON SEMILLON / SANTA CAROLINA
レイト・ハーヴェスト ソーヴィニヨン・セミヨン / サンタ・カロリーナ
チリ(甘口)

  ややオレンジに近い黄金色。梅酒を水で少し割ったような色とも言える。 香りは甘酸っぱい印象で、アプリコット、プルーン、レーズン等のほか、ザラメのような茶色っぽい香りも。 紹興酒的なところがトカイ・アスーに似ており、ソーテルヌなどよりはかなり軽やかである。 口当たりは丸く、尖りがなく、重みもない。酸は極めて穏やか。全体として小ぶりな味わい。 深みも今ひとつ。後味に若干苦味を伴う。極甘口ワインとしてはとても軽快なタイプだ。それだけに、際立つ魅力もない。
  よい極甘口の特徴は、深みがあって、甘美なのにもかかわらず甘ったるくないものだが、このワインは甘ったるくはないものの、 ただ深みがないだけという感じである。以前に飲んだSANTA RITA LATE HARVESTの方が、 実力は数段上である。
<評定:C>

2001年4月28日  BLANC
CHABLIS 1999 / LOUIS JOSSE
シャブリ / ルイ・ジョズ
BORGOGNE地方、CHABLIS地区、AC:CHABLIS

  やや淡い麦わら色。清々しいグレープフルーツに加え、りんごの香りもかすかにある。 口当たりは酸を中心に真っ直ぐ押してくるが、ミネラル分豊富な感じで、塩辛くすら感じる。 ふくらみはまるでなく、甘味ももちろんないので、薄っぺらな印象。 余韻も長くない。単調な味わい。
  まさにピン・キリなAOCといえるシャブリだが、まあこれは値段なり(\1,000で入手)といえるだろう。 感動はまったくないが、失望もない。最初からまったく期待もしていないのだから、順当な結果である。 日本では、少しワインに親しみ始めたような人々に絶大な人気を誇るAOCだが、\1,000程度のものを飲んで 「これがシャブリ」と思ってしまったら不幸だろう。こういうものこそ、金額的に少し奮発すべきかも知れない。
<評定:C>

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