利酒日記

2002年11月


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2002年11月4日  BLANC
CHARDONNAY 2001 / VIN DE PAYS DU JARDIN DE LA FRANCE / JEAN BALMONT
シャルドネ / ヴァン・ド・ペイ・デュ・ジャルダン・ド・ラ・フランス / ジャン・バルモン
VIN DE PAYS

 色はやや淡い黄金色。香りは、甘味と共にややグリーンな感じがあって、ブラインドで試したら、 ボルドーのソーヴィニヨン+セミヨンと間違えてしまうかもしれない。しかし、口に含むと奥行のある 甘味が広がり、やはりシャルドネであったかと気づかされる。余韻も甘酸っぱくフレッシュで、かつ、威風堂々としている。
 入手価格は\880。すばらしいコストパフォーマンス。日常酒として申し分ない。
<評定:A>

2002年11月6日  ROUGE
CHATEAU LA CROIX DE ROCHE 2000 / BORDEAUX SUPERIEUR
シャトー・ラ・クロワ・ド・ロシュ / ボルドー・スペリュール
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX SUPERIEUR

 ボルドーらしく深いガーネット色。輝きがありとても美しい。まず、控え目ではあるが、 カシスあるいはプラムのような甘酸っぱい感じの香り。 なめし皮のような匂いもあるので、全体として落ち着いた印象。口に含むとやわらかな甘味がふんわり広がり、それと共に少々荒削りのタンニンが まとわりつく。しかし、いやな感じではない。香りの引き締まった印象よりも、味わいのほうがよりチャーミング。 決してヤワなワインではないのに、まとめ方が上品なので、スイスイ飲めてしまう。日常酒の域を超えている。 飲み干した後に口中がとても渋いのが、玉に疵というか、これも魅力というか。
 入手価格は\1,480。倍くらいの値段でも不思議ではない。とても得をした気分。
<評定:A>

2002年11月8日  ROUGE
SYRAH 2000 VIEILLES VIGNES / VIN DE PAYS D'OC / LENNE
シラー ヴィエイユ・ヴィーニュ / ヴァン・ド・ペイ・ドック / ルネ
VIN DE PAYS

 とにかく濃い。赤黒いといったほうがよいような色だ。 香りはローヌの力強いワインのようで、なかなか上品。だが、味わいは実に大柄。 甘味が豊かで、タンニンもワイルド。血のような鉄っぽさも満載。
 どこからどう見てもシラーという見本のようなワイン。品種の勉強をするのに最適ではないか。 こじんまりまとめることをせず、自由奔放に作りました、という感じ。 オーストラリア出身でラングドックに移住したオーナーの作品とのことで、納得。 樹齢40〜60年のヴィエイユ・ヴィーニュ(古樹)というが、落ち着きはあまり感じられない。
 入手価格\1,380。品種の個性が際立つという点では高く評価したい。シラーだからワイルドなのは当然だが、 もう少しきれいなまとめ方もあるのではないか、という気もする。
<評定:B>

2002年11月9日  BLANC
MUSCADET SEVRE ET MAINE SUR LIE 2001 CUVEE DU MILLENAIRE / MARQUIS DE GOULAINE
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー キュヴェ・デュ・ミレネール / マルキ・ド・グレーヌ
VAL DE LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSUCADET SEVRE ET MAINE

Muscadet Sur Lie Marquis de Gouraine  グリーンがかった淡い色。やや単調ながら、実にシャープでみずみずしいレモンのような柑橘香。 口当たりも香りの印象どおり酸がキリッとひきしまっており、ふくらみや広がりはない。 一貫して尖った酸が強く主張する。
 ミュスカデは基本的にこれでいいのだが、SUR LIEならばもう少し味わい深さのようなものが欲しい。
 入手価格\1,000。ボトルの形やエチケットの雰囲気は、まるでシャンパーニュのようでエレガント。 見かけに少しだまされた感じ。
<評定:C−>


2002年11月14日  BLANC 
CREMASCHI FURLOTTI CHARDONNAY RESERVE 2001
クレマスキー・フルロッティ シャルドネ・リザーヴ
チリ、MAULE VALLEY

 麦わら色。オレンジのような丸い柑橘系とヨーグルトやカスタードの香り。 ねっとり感のある濃厚な味わいだが、酸も強いので、冗長ではない。 トロピカルフルーツのような甘さと、クリーミーな樽香が持続する。
 入手価格\1,000。この価格にしては驚くほどのヴォリューム感。いかにもチリらしい陽気なシャルドネだが、 ヘビーになりすぎない適度な味わい。
<評定:A>


2002年11月15日  ROUGE
ARBOLEDA CABERNET SAUVIGNON 1999 / CALITERRA
アルボレダ カベルネ・ソーヴィニヨン / カリテラ
チリ、MAIPO VALLEY

Aboleda Cabernet Sauvignon  売場にて味見をし、納得した上で購入した品。入手価格\1,680。
 色は極めて濃く、チリらしい。どろっとした粘着性すら思わせる。 香りは、何といっても圧倒的な樽香が特徴で、ヴァニラやミントのほか墨汁のような匂いも感じる。
 たっぷりとした甘味に負けない酸。これでもか、というほど引っ掛かるタンニン。薬草のような風味の余韻が長く続き、 口中には粉っぽさが残る。
 全要素がパワフルで、あっけらかんとしたワイン。芳醇な樽香がスケールの大きさを物語る。 これほど個性がはっきりしていれば、文句をつけようという気にもならない。
 ボルドーのカベルネとはまったく別物だが、高コストパファーマンスであることには異論がない。
 R.モンダヴィの技術が入っていることで有名なワイナリーで、低級品は非常によく見かけるが、このシリーズには初めて出会った。
<評定:A>


2002年11月18日  ROUGE
BEAUNE PREMIER CRU CLOS DES AIGROTS 1996 / CHATEAU DE BLIGNY
ボーヌ・プルミエ・クリュ クロ・デ・ゼグロ / シャトー・ド・ブリニィ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、BEAUNE市、畑名:CLOS DES AIGROTS、AC:BEAUNE 1er CRU

 安酒専門の当サイトに、格付ものが登場することは少ない。特にブルゴーニュは、 中途半端な価格帯には満足のゆくものが少ないため、どうしても敬遠する。その意味で、今日のワインは珍しい。
 色は、よく言えば透明度が高く、輝きのあるルビー色。悪く言えば透けるような薄さ。
 甘くチャーミングな赤ベリー系の香り。グラスを回すと、イオウのようなニュアンスも出てくる。 ゴムっぽい感じも若干。ヴィンテージのわりに若い印象であり、 さりとてこれ以上熟成するとも思えないような軽さ。
 味わいも軽やかで、果実味あふれる酸が特徴。タンニンは少し引っ掛かる感じ。 後に残るのは、まるでガメイのようなピチピチ感。
 美味しいか、不味いか、と問われれば、美味しくスッスッと飲めるタイプなのだが、 少し品のよいACブルゴーニュといった感じで、ボーヌの1級らしいところはない。
 入手価格はジャスト2,000円。本来はもう少し高いのかもしれないが、そこまでの価値は感じられない。 大きく損をしたという感じもないので、まあ良しとせざるを得ないか。でもこれなら、1,000円ワイン×2本のほうが良かったかな。
<評定:C−>

2002年11月20日  BLANC
MISIONES DE RENGO CHARDONNAY 2001
ミシオネス・デ・レンゴ シャルドネ
チリ、RAPEL VALLEY

Misiones Chardonnay  色はしっかりめのイエローグリーン。香りは柑橘系をベースとしつつも、フレッシュさよりはクリーミーさが前面に出て、 カスタードあるいはヨーグルト的。トロピカルフルーツや桃のような甘さもある。非常にバランスがよく、 チリシャルドネの中ではシャープな部類。ブルゴーニュ南部にも通ずる。 味わいは、その甘さよりは、きりっとした酸が優勢で、クリーンな後味。重みや広がりは今ひとつだが、 このようなすっきりタイプは食事に合わせやすい。
 入手価格\1,058。十分にお買い得。こういった奇をてらわない、真面目で洗練された1,000円ワインは大歓迎である。
 十字架型のエチケットもお洒落である。
<評定:B>


2002年11月21日  ROUGE
BEAUJOLAIS NOUVEAU 2002 / GEORGES DUBOEUF
ボージョレ・ヌーヴォー / ジョルジュ・デュブッフ
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS

Beaujolais Nouveau 2002 Duboeuf  ヌーヴォ−など年に1度のお祭りであって、とりたてておいしいということはない、というのが、ワインに詳しいポーズのようにもなっているが、 正直に言うと、私は年々、この日を待ち遠しく思うようになっている。ウンチクを傾けるためではなく、日々付き合う気軽な友達としてワインに親しんでいると、 どんなものにも固有の魅力があって、もちろん値段とも関係がないのだという思いに至る。それはまるで人付き合いと同じように、 心を閉ざさずどんな人とも交流を図れば、すべての人を好きになってしまうようなものだ。少しカッコ良すぎる言い方かもしれないが。 (当サイトでは偉そうにワインに評価をつけたりしているが、それは私の職業病のようなもの(本職のサイト参照) だから許して欲しい)
 新酒には新酒の魅力がある。それは、言うまでもなく、フレッシュで繊細なこと。しかも毎年ニュアンスが違うから、なお面白い。
 今年のデュブッフのヌーヴォーは、まずグラスに注いだ瞬間に、「あっ」と声を上げてしまった。 色が濃いのだ。もちろん青みは強いのだが、ぶどうジュースくらいの濃さがある。バナナ的香りの中に、紫の花のような香りもあって、 充実している。味わいも、しっかりしたタンニン分と、凝縮した果実味。飲み干した後のグラスに、ブルーベリーのような匂いすら漂っている。 とても飲み応えがある。入手価格は、ハーフで\1,350。
 今日は夕方まで西宮(兵庫)で仕事があり、その後、大阪梅田の百貨店(関西ではデパートというより百貨店というのが一般的である) に大急ぎで寄って、予約していたヌーヴォーを受け取り、すぐさま電車に飛び乗って次の仕事場の京都へ。すべて終え、9時ごろ帰宅して夕食。やっとワインにありつけた。 以前にヌーヴォーとのマリアージュがなかなかだった麻婆豆腐(ヌーヴォーにマーボーなどという、つまらないダジャレではない)とともに楽しむ。 今年のこのフラワリーなヌーヴォーでは、相性が今ひとつではあった。
 どうしても今日飲むぞという強固な意志で目標達成したが、実はまだもう少し仕事が残っているので、本当はHPなど更新している場合ではないのだが。 自由業とは、不自由業なり。
<評定:AA>

2002年11月24日  ROUGE
BEAUJOLAIS NOUVEAU 2002 / ALBERT BICHOT
ボージョレ・ヌーヴォー / アルベール・ビショー
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS

Beaujolais Nouveau 2002 Bichot  ヌーヴォー2本目。こちらもハーフで\1,350。今年のビショーのエチケットは、ゴッホのひまわりである。
 色は、やはり濃い。上記デュブッフのものより、こちらのほうが更に濃い印象。完全に"赤ワイン"である。 香りは、新酒らしいピチピチ感には乏しく、かなり落ち着いた風情。もちろん特有のセメダイン的香りはあるものの、 重みを想起させる引き締まった香りが優っている。
 しかし、口当たりは酸が強く、重くはない。タンニンもほどほどで、やはり新酒だったかと改めて思う。 なんだかとてもアンバランスな感じ。厳しいことを言えば、ボディの厚みを活かしきっていないし、 反面、フレッシュさをアピールすることにも成功していない。昨年 に引き続き、ボトルの美しさで選んではみたのだけれど。
 今年はどの造り手も、へヴィーな感じに仕上がっているのだろうか。そういえば、TVで芸能人がコメントするのを見ていたら、 辰巳琢郎サン(名誉ソムリエらしい)が「ボディがしっかりしてますね」と言っていたが、まさにそんな感じだ。
<評定:B>

 
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