利酒日記 kikizakenikki

2003年1月


前月へ  翌月へ  産地別索引へ  利酒日記のメニューページへ  HOME

2003年1月1日  SPARKLING
BOURGOGNE BRUT / PARIGOT & RICHARD
ブルゴーニュ・ブリュット / パリゴー・エ・リシャール
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE (MOUSSEUX ROUGE)

 本日より、当ページの色調を変えてみた。少し見やすくなっただろうか。
 新年1本目は、おめでた気分を盛り上げるべく、赤のスパークリング。ブルゴーニュのヴァン・ムスーである。
 泡は紫色で、勢いよく軽やか。グレープ・ソーダのよう。ちりちりと細かく、あまり持続はしない。
 色は濃く、ふつうの赤ワインと変わらない。香りは引き締まっているものの、わずかにイオウ、黒糖、薬草のような感じもある。 口当たりは強めの炭酸がぴりぴりと刺激し、酸も強く、甘味はほとんど感じない。梅ソーダのようなキュートな後味がある。
 入手価格は\2,000。損も得もないが、新年にふさわしい1本。
 誰も見てくれてはいないだろうな、と思いながらも元旦からアップした。
<評定:C+>

2003年1月4日  ROUGE
CLOS DU MARQUIS 1999 (Ch.Leoville Las Cases) / SAINT-JULIEN
クロ・デュ・マルキ / サン・ジュリアン
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、ST-JULIEN村、AC:ST-JULIEN

Clos du Marquis 1999  当日記は、言うまでもなく安酒をターゲットとしているから、格付けものが登場する機会は少ない。 それは私が、
「高い金を出して高級ワインを買う奴の気が知れない」とか、
「安酒にこそ、葡萄酒の楽しみの真髄がある」
などという崇高な思想を持っているから、ではない
 私とて人の子であるから、もし金持ちにでもなったら、良いワインを飲みまくりたい。 当日記の現状は、私の経済状況を表しているのである。

※私自身の名誉のために言っておくが、私だって、ラトゥールやムートンに感動し、イケムに言葉を失った経験くらいはあるが、 そもそも自宅外であったために、そのようなものは、当日記には記載していない。
 加えて、私の妻はアルコールをほとんど飲まない。だから、私が酒を買っていること自体、 快く思っていないふしがある。さらに悪いことに、私の事務所(本業)の経理部長は妻であるからして (財務大臣は私)、経営状態は丸わかりである。よって、高級ワインを買って許されるわけがないのである。
 クリスマスとかお正月とか、理由のつくときに限って、すこし良さげなワインを飲めるだけである。今日のワインは、 まさにそんなせめぎあいの中で勝ち得た1本と言えよう(実はまだこれ以外にもお楽しみを入手済であり、そのうち登場するかも)。
 セカンドワインとはいえ、いわゆるスーパーセカンドのセカンドであるから、期待感は大きい。 まだ若いので、相当硬いことを予想して開けたが、やっぱり硬かった。
 色は極めて濃いが、紫がかっている。抜栓して直接グラスに注いだものは、香りがおとなしく、主張が弱い。 一方、デカンタージュしたものは香りが開き、ヴァニラっぽさが際立つ。ああ、いいワインだな、という感じ。 最初は口当たりにも硬さがあって、酸も尖っているが、口中で転がしていると甘味が広がってくる。 時間が経つと、鉄っぽさも若干出てくる。しかし、タンニンは粗く、ひっかかる。全体のまとまりにも欠ける。 余韻の長さはさすがだが。
 ちょっと前にネットで2,980円にて入手(値段を見て飛びついたもの)。いくら安かったとはいえ、 やっぱりもう少し寝かせてから、開けるべきだったかと思う。 
<評定:C+>

2003年1月6日  ROUGE
CROZES-HERMITAGE 1999 / E. GUIGAL
クローズ・エルミタージュ / E.ギガル
COTES DU RHONE地方(北部)、CROZES-HERMITAGE地区、AC:CROZES-HERMITAGE

Guigal Crozes-Hermitage 1999  昨年末ネットで購入したギガルの6本1万円セットの2本目(1本目は12月30日のACローヌ赤99年)。
 色は深いルビーレッド。甘酸っぱいベリー系の香りとなめし皮的落ち着きが共存し、この印象だけではACローヌと区別がつかないのだが、 口に含んだインパクトがこちらのほうが若干弱く、甘味が上品で、きめ細やか。豆腐のもめんと絹ごし程度の違いというか、それほども違わないというか。
 シルクのようなタンニンが心地よく、後味も奥ゆかしい。あまりに角がなさすぎて、ごくごく飲んでしまいそう。
 今回の単体価格は\1,380だが、通常は2,000円くらいだろう。それを前提に下記評定。
 まるで幼稚園からの幼なじみ(♀)とバカ話しながら街を歩いていたら、そこに通りかかった友達(♂)から「きれいな彼女連れてるなあ」と言われ、 「そういえばオマエ冷静に見ると結構美人だよな」って気づいた感じ。 あまりにフレンドリーで、過小評価してしまいがちなワイン。
<評定:C+>


2003年1月12日  BLANC
COTES-DU-RHONE 1999 / E. GUIGAL
コート・デュ・ローヌ / E.ギガル
COTES DU RHONE地方、AC:COTES DU RHONE

 ギガル6本1万円セットの3本目。そして当日記では2度目となるACローヌ白99年(前回 はハーフボトル6本セットのうちの1本だった)。6本のうち唯一の白。今回の単体価格は¥980である。
 色は、いつもこのワインに対して抱いている印象よりは、かなり薄い。香りもおとなしめ。 トロピカルフルーツのような甘さが確かにあるものの、強くはなく、もっとクリーンな柑橘系。 ナッツのようなオイリーな感じもある。
 味わいもシャープ。酸が強く、ふくらみは今ひとつで、すっきりとした後味。余韻も長くはない。 ただ、決して単調ではなく、バランスの良さはさすが。
 思うにこのACローヌのは、いつも安定感があるのだが、のほうは、飲むたびに印象が違う気がする。 もっとふくよかでパイン的だったり、オレンジ的だったり。今回のものはかなりシャープな部類だ。 なお前回は、限りなく黒(劣化)に近いグレーだったため、評価をしていない。
<評定:B>

2003年1月13日  ROUGE
MONTHELIE 1997 / BOUCHARD PERE & FILS
モンテリー / ブシャール・ペール・エ・フィス
BOURGOGNE地方、COTES DE BEAUNE地区、MONTHELIE村、AC:MONTHELIE

 当日記ではめずらしいブルゴーニュの村名クラス。入手価格はジャスト2,000円である。
 色は"ざくろ"的だが、透明度が高い。香りはゴムっぽさ満載で、ピノらしい。が、それ以外の特徴はなく、やや凡庸。 色といい、香りといい、実に軽やかな印象だが、味わいもまさに軽やかで、悪く言えば上ずみのようなワイン。 深みはなく、酸もそこそこで、主張が弱い。タンニンだけが引っ掛かる感じ。
 一見お買い得品に見える2,000円だが、もしこれ以上高かったら、「いい加減にしろ」と言いたいくらいだ。 軽いから悪いのではない。軽やかなものは軽やかなりに魅力があるものだが、このワインには確固たる個性が感じられない。
 当日記では基本的にA〜Eの5段階評価なのだが、E評価というのはほとんどない。どう考えても値段に見合わない、 いい加減にしてくれ、というものにのみE評価をつけることにしている。このワインは、限りなくEに近い「D−」。 これがもし1,000円だったとしても、せいぜい「C+」評価だ。
 中途半端なブルゴーニュには要注意という、良い見本。
<評定:D−>

2003年1月15日  SPARKLING APPLE WINE
NIKKA CIDRE "RESERVE"
ニッカ シードル・レゼルベ
日本

NIKKA CIDRE RESERVE  「りんごポリフェノール180mg」「カロリー78kcal」の表示があり、健康志向の消費者に訴える。 アルコール分は3%である。
 色は、透明タイプのりんごジュースに、わずかに混濁タイプを混ぜたような、やや白く濁った色。 サイダーのように、ジュワッとした泡がすぐに消え、グラスに大粒の泡だけが残る。 鉄っぽく引き締まった香り。ほのかな甘さもある。ゲヴュルツのワインにも似ていて、若干白粉(おしろい)臭い感じもある (嫌な印象ではない)。
 味わいは、かなり甘いであろうことを予想していた。ところが、ぴりっとした炭酸の奥に、ひそやかな甘味が感じられるだけで、 酸が優勢。後味は実に引き締まっている。この、ある種落ち着き払った味わいには、本当に驚いた。
 「シードルにりんごのストレート果汁をブレンドしたりんご100%の微発泡性ワインです」とある。 RESERVEとは、ドイツのゼクトにおけるズースレゼルヴのような意味あいであろうか。なお、 RESERVEの最後のEに「'」(アクサン・テギュ)がついているため、レゼルヴではなく、レゼルと発音する。 気持ちとしては、レゼルヴェと表記したいが、商品名がレゼルだ。
 近所のスーパーにて\178にて入手。200mlだが、この値段で、これ以上望むことはない。もったいないくらいの高品質。
 春になったら休日昼下がりの公園で、サンドイッチと共にピクニック気分で楽しみたい。そんなワイン (いや、ぶどうでないから、正確にはワインではない)。
<評定:AA>

2003年1月17日  BLANC
TRENTINO CHARDONNAY (V.Q.P.R.D.) 1995 / S. MICHELE
トレンティーノ・シャルドネ / サン・ミケーレ
イタリア、TRENTINO-ALTO ADIGE州

 久々イタリアの白。95年ヴィンテージのシャルドネということで、期待して臨んだ。
 色はやや黄色みが強く、シャルドネらしい。香りにシャルドネのふくよかさはなく、ややカビっぽい印象。 グラスを回すと、カビ臭さは際立つ。ピノ・グリージョなどで、時折こうした匂いがあるが、 これは個性というより、劣化している感じだ。
 味わいに一定のふくらみを感じるため、完全に劣化しているとは言えないが、限りなくグレー。 ヴィンテージがやや古いだけに、保管途中での急激な温度変化などを疑うべきかもしれない (半月ほど前に入手してから冷蔵庫に入れていたので、購入以前のものだろう)。
 せっかく期待していたのに、残念。重みがなくカビ臭いこの味が、個性だというのなら、それはそれで面白いが、 そうではないだろう。今回は評価しないこととする。
<評定不能>

2003年1月19日  ROUGE
GIGONDAS 1999 / E. GUIGAL
ジゴンダス / E.ギガル
COTES DU RHONE地方(南部)、GIGONDAS地区、AC:GIGONDAS

Guigal Gigondas 1999  ネットで購入ギガル1万円6本セットの4本目。単体価格は\1,580。
 色はやはりACローヌクローズ・エルミタージュよりは濃い。 だが、香りの系統は似ている。プラム系だが、チャラチャラしてなく、色鉛筆のような匂いもある。
 甘味がたっぷりとしているが、酸も強い。ただ、若いせいか深みはなく、やや上滑りな印象。
 もっとずっしりしたものを想像していたが、少々拍子抜け。 決して不味いわけではないが、甘酸っぱさが先に立ってしまうところが物足りない。 クローズ・エルミタージュの滑らかさとは、確かに一線を画してはいるのだが。
<評定:C−>


2003年1月22日  BLANC
SANCERRE 2001 / DOMAINE DE SAINT PIERRE (PIERRE PRIEUR & FILS)
サンセール / ドメーヌ・ド・サン・ピエール(ピエール・プリゥール・エ・フィス)
VAL DE LOIRE地方、CENTRE地区、AC:SANCERRE

 色は当然のごとく淡い。レモン的柑橘香とともに、リースリングにも似た石油香が若干。 ビニールのようでもある。
 味わいは実にフレッシュで、レモンのように収斂性のある酸が特徴。ミネラル分も豊か。 レモンジュースで作ったカクテルを飲んでいるかのように、軽やかで切れ味抜群。
 まさに「正しいサンセール」を飲んだという感想。ソーヴィニヨンの明るい面が、余すところなく表現されている。 高級感はないが、平均点以上のクオリティで、安心の1本と言える。
 入手価格\1,890。陽気で、キュートで、キャピキャピ感が楽しい松浦亜弥みたいなワイン。 悪く言えば、これ以上大人になることが想像できない。そんな感じ。
<評定:C+>

2003年1月24日  ROUGE
CHATEAU DE LA NEGLY 2000 / COTEAUX DU LANGUEDOC
シャトー・ド・ラ・ネグリィ / コトー・デュ・ラングドック
LANGUEDOC-RUSSION地方、AC:COTEAUX DU LANGUEDOC

Languedoc/Ch. de la Negly  パーカーポイント88点とかで、大々的に売っていたもの。そのような宣伝文句に興味はないのだが、 試飲させてもらって、納得したので購入した。
 色は青みが強く、かつ、濃い。香りは引き締まったベリー系中心で、落ち着きがある。 味わいも上品で、大柄な印象はない。あくまでもストイックな抑制の効いた味わい。その意味で、ラングドックらしくないと言える。 ブラインドで試したら、迷わずローヌだと思うだろう。
 \2,600を\1,500として売っていたもの。仮に\2,600で入手していたら、物足りないこと極まりない。 \2,600というのは、ハッタリだろう。せいぜい\2,000ってところか。
 まあ、今回入手の1,500円を前提にすれば、文句は何もない。1,000円ワインとの明らかな差異は、落ち着き払った品格である。

<評定:C−>


2003年1月26日  BLANC
MACON-VILLAGES NOUVEAU 2002 / GEORGES DUBOEUF
マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー / ジョルジュ・デュブッフ
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON-VILLAGES

Macon-Villages Nouveau 2002 Duboeuf  なぜ今頃ヌーヴォーかといえば、売れ残りを投げ売りしていたためである。入手価格は1,000円で、 たった2ヶ月前に比べ、半値である。とりあえずこういうものは買ってみるのが、私の態度である。
 色は意外にもしっかりしており、淡い黄金色といった感じ。香りに華やかさはあまりなく、ツーンとした接着剤のような、 セルロイドのような印象。酸のインパクトが強烈で、ふくらみはなく、やや単調。 きりっとした切れ味は爽快。マコンらしさをほとんど感じない。もっとふくよかさが欲しい。
 このワインは評価が難しいので、場合分けして考えたい。
 発売直後に、当時の値段(2,000円以上)で入手して今のこのクオリティなら・・・<評定:E>
 2ヶ月前当時の値段を前提とするが、当時はもっとフレッシュさがあったものと推測するなら・・・<評定:D>
 実際の入手価格(1,000円)を前提とするなら・・・<評定:C−>
 つまり普通の1,000円ワインに比べ、満足度がやや劣るということ。

2003年1月30日  ROUGE
CHATEAU DE RESPIDE 2000 / GRAVES
シャトー・ド・レスピード / グラーヴ
BORDEAUX地方、GRAVES地区、AC:GRAVES

Ch. de Respide 2000  昨年末、売り場で試飲をして納得したので買ったもの。入手価格は\2,280。
 色はやや青みがあるもののとても深く、ぎっしり詰まった感じがする。香りは堂々としたヴァニラ香とともに、 火薬のようなインパクトがある。落ち着き払っているが、グラスを回すと、どんどん深みが増し、芳香をまき散らす。 口に含むとまずシャープな酸に驚かされ、次いで、ヴァニラの芳醇さが広がる。"甘やか"なのに甘くなく、 シャープな切れ味を持っている。余韻は長く、ふんわりとし、酸のシャープさが、いつの間にか優雅さに変わっている。
 こんなに深みがあるのに甘くはなく、きりっとしているのは、さすがボルドーという感じ。たとえばニューワールド・ワインならば、 これだけ深みがあると、必ず甘みがついてくるものだ。久々、恐れ入りましたという感想。
 パリのコンクールで金賞受賞ということだが、こんなに正統派のワインが金賞受賞とは、むしろ珍しい気がする。 単純な感想として、5,000円くらい(つまり入手価格の倍以上)出しても良いと思った。売り場で一口試飲したときには、 ここまでの実力だとはわからなかった。
<評定:AA>

 
このページのトップへ  前月へ  翌月へ  産地別索引へ  利酒日記のメニューページへ  HOME