利酒日記 kikizakenikki

2003年12月


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2003年12月4日  ROSE
ENATE ROSADO CABERNET SAUVIGNON 2002 / SOMONTANO (D.O.)
エナーテ ロサード カベルネ・ソーヴィニヨン / ソモンターノ
スペイン、SOMONTANO地方

Enate Rosado Cabernet 2002  イラクでの外交官襲撃事件に関連して、街頭インタビューの模様が放送されていた。
 一般市民が、「これで怖じ気づいて自衛隊派遣をやめたりしたら、国際社会の笑い者になる」 などと答えていた。
 なら、お前が行けよ。と思った。
 国際貢献という名の対米貢献だけを至上命題としている今の状況のほうが、よほど笑い者ではないか。 笑い者とかそんなことはどうでもよいが、文民が犠牲になったことを、いったいどう正当化するんだ。
 「国際貢献なんかではなく、対米追従することだけが重要なのだ。 どうせアメリカに押しつけられた憲法なんだし、アメリカがそれに反することを要求してきているんだから、 堂々とやればいいんだ。1人や2人犠牲になったって、戦争なんだから当然だ」というふうに、はっきり言ってみろ。それくらいポリシーが明確なら、 立派な方針である。それが言えないから、国際貢献なんて白々しい言葉を口にしてるんだろ。 首相も、官房長官も、外相も、防衛庁長官も。
 大義が必要だ、という野党もある。大義があろうがなかろうが、人が死ぬ。その事実をどう説明するのか。

 さて、12月の1本目は、かなり間があいたが、11本15,000円セットで購入した8本目。唯一のロゼ。
 色は氷イチゴのシロップみたいにきれいな赤。香りはおとなしく、冷涼な地域のシャルドネみたいに、 尖りめの柑橘香やビニールのような化学的な匂い。
 味も鋭く、酸が押してくるが、同時に甘みも広がる。トマトのような感じで、 実際トマトを食べながら飲んだら、結構ぴったりだった。
 思っていたより随分シャープで、甘ったるさはない。食事に十分合わせられる。これが1,000円なら、かなりgoodだが。
 単体での通常価格は、\1,800。ちょっとそこまでの価値は感じられないかな。
 なお、SOMONTANOというDOは、フランスとの国境に近い地方らしい。だからというわけではないだろうが、 これは品種がカベルネだ。
<評定:D>

2003年12月8日  ROUGE
BEAUJOLAIS-VILLAGES NOUVEAU 2003 / JOSEPH DROUHIN
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー / ジョセフ・ドルーアン
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS-VILLAGES

Beaujolais-Villages Nouveau 2003 Drouhin  昨日、母校のOB会に出席した。
 関西在住の私が、東京の私学である母校に行く機会はほとんどないが、 昨日は、関西地区の集いが京都で開催されたものだ。
 由緒正しい(?)ミッション系なので、懇親会の前に、まず礼拝が行われた。 ほんとうに久々に讃美歌を歌い、お説教を聞いた。
 You are the salt of the earth.(あなたがたは地の塩である)
 You are the light of the world.(あなたがたは世の光である)
 学生時代は必修の宗教科目のために嫌々ながら礼拝に出席していたのに、 今さらこんなに聖書の言葉が心に響くとは思わなかった。
 なんだ急に抹香臭くなって、と言われるかもしれない。 だが私の中では単純に青春時代というものが、チャペルのアイビーやステンドグラスや パイプオルガンや讃美歌やクリスマスツリーなどの景色の中に存在しているのである。
 とはいえ私は基督教徒ではない。ただの葡萄酒狂徒だ。 人はパンのみで生きるのではない、バターも塗ってほしい、ついでにチーズと葡萄酒もね・・・ これ以上書くとバチあたりなので、このくらいにしておく。

 本日登場は、買ったまましばらく置いてあった新酒。
 とにかく色が濃く、青みが強いので、色だけ見たらイタリアワインか、と思ってしまう。
 でも香りは正真正銘ヌーヴォーだ。さすがに今年は芳醇なアルコール感があるが、 蒸しバナナ香もきちんとある。
 タンニンがしっかりめで、甘酸っぱさが口中に広がるが、フレッシュさにはやや欠ける。
 入手価格は、ハーフで\1,500。不味くはないんだけど、なんかちょっと違うような。
<評定:C−>

2003年12月10日  ROUGE
CHATEAU MAUCAILLOU 1999 / MOULIS
シャトー・モーカイユー / ムーリー
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:MOULIS

Ch. Maucaillou 99  誰か私に時間をください。私の人生にはなぜこんなにやるべきことが次から次へと出てくるのでしょう。

 いくら忙しいったって、少しぐらい時間取れるだろう、と言われることも多いんだけれど、 本当にぜんぜん時間ないんです。
 私は元来夜型なので、毎日夜中まで何かと活動しているのだが、ある朝東京出張に向かう 新幹線車内で、ふと思った。こうやって毎朝7時くらいから活動開始すれば、本当に一日が長く使えるよなあ、と。
 しかし、そんな考えは、一瞬にして浅はかなものとわかった。毎日夜中の3時とか4時まで起きているから、 確かに朝7時から活動すれば一日は長いが、それじゃあ、いつか過労死するぞっ。まちがいないっ!(長井秀和口調)
 自分で自分を忙しくしてるんじゃないの?とは妻の弁。そうは言っても、やらにゃならんこと、いや、やりたいことが多すぎるのよ。 サイトの更新とかメールの返事とかも含めてね。毎日が48時間あればいいのに。
 どんなに仕事が忙しく、夜中までかかっている今のような状況でも、 身を削ってでもサイトの更新はしなくてはならない。こんなに使命感を持つ必要があるのか?それはいったい誰のためなのか? 自分でもわからなくなりつつある。きっと、このすべてが揃って私の人生だからなのでしょう。少し哲学的だけれども。
 さて、今日のワインは、21時に帰宅して「トリビアの泉」を見ながら夕食を摂りつつ、少し良さげな赤を。
 11本15,000円セットの9本目。ハーフボトル。
 色は黒っぽく、深く、いかにもいいワイン! 墨汁と漢方薬とハッカを混ぜたような複雑な香り。
 タンニンがやや毛羽立った感じで初々しいが、カシスっぽさの奥にカラメル的甘さがあり、 バニラのような後味もある。いわゆる大物の風情。
 単体での通常価格は、\1,300(ハーフ)。フルボトルにすると2,500円弱なんだろうけど、いいの?こんなに充実してるのに、 って思う。
 ああ、やっぱりボルドーがいいね。毎日ボルドーのこのクラスを飲めたら幸せだね。って思う冬の日。
<評定:B>

2003年12月11日  ROUGE
COTES-DU-RHONE 2001 / DOMAINE DES AVELANS
コート・デュ・ローヌ / ドメーヌ・デ・ザヴラン
COTES-DU-RHONE地方、AC:COTES-DU-RHONE

Cotes-du-Rhone Avelans 01  もう少し頭のいい人に騙されているんならまだしも、あんな子供以下の説明しかできずに、 「対米支援、国際貢献」を繰り返すだけの首相を選挙で信認したのが、ほかの誰でもない我々国民だという悲劇。 諦めなければならないんだろうか。××に付ける薬はないと言うが・・・。
 敢えて反感を買っても、偏向的と言われてもかまわないが、私は首相を即刻クビにすべきだと思う。 何かその手だてがあれば、だが。
 戦時中なら、こんなことを書けばすぐに捕まっただろう。今のところまだこういう自由が与えられている。 この当たり前の権利を、絶対に守らなくてはならない。

 さて、そんな重苦しい雰囲気の中、今日も脳天気にワインを飲む。
 11本15,000円セットの10本目。
 色はそれほど濃くはなく、赤みが強い。香りには、塩分のようなものを感じ、しょうゆっぽい。
 口当たりはふんわりして柔らかいのだが、タンニンが粗暴で、まとわりつく。 コクを伴わない甘みがなんとも中途半端。
 と、ここまでは否定的な表現になってしまったが、口中に広がる味わいには、 ブランデーのような芳醇な風味があり、スミレのような紫の印象もあって、おもしろい。
 単体での通常価格は、\1,500。滑らかさには欠け、粗雑な印象があるのに、パワーは今ひとつ。 どうにも評価しにくいワインだ。
 ところで、このドメーヌ名AVELANSは大文字でしか書かれていないから、 Eにアクサン記号が付くのか付かないのかわからない。大文字の場合省略するのが普通だからだ。 もし付くのならアヴェランと表記すべきだろう。
<評定:D>

2003年12月15日  BLANC
CHABLIS 2001 / JEAN CLAUDE COURTAULT
シャブリ / ジャン・クロード・クルトー
BOURGOGNE地方、CHABLIS地区、AC:CHABLIS

JCC Chablis 01 [その1]
 独裁者を捕らえれば、それで悲劇は終わるのだろうか。
 元大統領拘束の報に、喚起の声を上げるイラク国民。しかし、我々が目にするその報道こそ、 相当に米国のバイアスがかかったものかもしれない。圧政に苦しむ国民の解放という、 文句の付けようのない戦術の中に、危険な帝国主義思想が垣間見える。
 善か悪か。二分法的価値観の支配する社会は、悪しき男性型社会のなれの果てである。 米国大統領を見ていると、心理学で言うところの自己同一化ができておらず、 自分に自信がないため、不必要にキャンキャン吠える子犬のようである。 "悪を倒す正義を実践する自分"という虚構にしか自尊心を持てていない。
 独裁を容認する意図など私にも毛頭ない。が、独裁を外から打ち砕こうとする者もまた、 同じような独裁者であることを、認識すべきである、と申し上げたい。
 私の観察する限り、"国の誇り"とか"正義"などという言葉を使う連中は皆、 鼻息だけは荒いくせに、その実、極めて小心者で自分に自信がない男であることが多い。

[その2]
 こんなに好きなことばかり書いているのに、というべきか、好きなことを書いているからこそ、 というべきか、当サイトが、リアルワインガイド(発行:寿スタジオ) 第4号(本日発売)で紹介されることになった。ありがたい限りである。
 消費者目線から徹底してワインを厳しく見つめている雑誌である。そんな信頼のおけるメディアに取り上げていただいたことは、 純粋にうれしい。徳丸編集長、ありがとうございました。
 同誌で、『飲食物を評価するのはとても難しい、それを理解しながらも挑戦していく姿勢に モーレツに「男気」を感じる』と評して頂いた。男気だなんて、いやだわ。お上手なこと。
 どちらかといえば女性的な感性を売りにしていたつもりなのに、ね。

 さて、手短かに今日のワインを。
 同じ作り手の格下petit chablisを、1ヶ月前に試したのだが、 同時購入でありながら、随分間があいてしまった。
 色は緑がかって極めて薄く、日本酒程度。香りは、由緒正しきシャブリの香り。 グレープフルーツのような柑橘香に、ビニールのようなケミカルな感じ+椿のような深緑の葉の香り。
 ところが口に含むと印象は一変。驚くほどふくよかなのだ。
 酸は確かに強く、ミネラル分も豊かだが、蜜のような甘みが口中に広がる。 ふわーっと軽やかに飛翔して、スパッと着地する幅跳びのようだ。最後はスッと手仕舞う感じ。
 enoteca大阪店にて、\1,900で入手。人気商品というだけあって、非常にコストパフォーマンスが高い。
「シャブリ好きに真のwine通はいない」と言われるが、「シャブリを笑う者はシャブリに泣く」 もまた真である。恐れ入りました。
<評定:B>

2003年12月16日  ROUGE 
BOURGOGNE 2000 / DOMAINE MICHEL GROS
ブルゴーニュ / ミッシェル・グロ
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

Michel Gros Bourgogne 00  住基ネットの侵入実験を終えた長野県が、庁内LANからネットへの侵入に成功したと報告した。 インターネットからの侵入はできなかったらしい。
 これに関し、またもや長野県松本市の市長が「県知事は住基ネットに反対するために、わざわざムキになってやっているように見える」旨の発言をしていた。
 このオッサンこそ、ただ県知事が嫌いで批判しているだけにしか見えないぞ。
 色んな方法で侵入実験をしてみて、それでも侵入が不可能であったときにのみ、安全だと言えるのだ。 侵入実験が無駄だなどという発想には理解に苦しむ。というか、そういう体制擁護体質のオヤジには、やれやれだ。
 総務省も「インターネットからは絶対に侵入できないから大丈夫」てなことをのたまっているが、 セキュリティに絶対はありえないし、そもそも 公務員が庁内LANから侵入して、改ざんとか持ち出しをするような悪事を絶対に働かないとでも言うのだろうか。
 今のところ、住基ネットが稼働して、何か便利になったことなど、只の一つもない。 だいたい、住民票を取ること自体、そんなに頻繁にあることじゃない。1年に1回も取らない年の方が圧倒的に多い。 ましてや、他の市町村窓口で取らなければならないことなど、絶対にない。夜中にコンビニでも取れる、というなら利用価値はあるかもしれないが。
 初めからお上のための制度であることは明白なのだから、見え透いた嘘はやめて欲しい。
 改めて言うが、住基ネットのような税金の無駄遣いは、即刻やめて欲しい。 私は、自分の住む市には、こんな馬鹿げたシステムからは、ぜひとも離脱して欲しいと願う。

 閑話休題。
 今日のワインは、単品入手のブルゴーニュ・ルージュ。
 色は、むこうが透けて見えるほどだが、ややピンクがかってかわいらしい見栄え。
 注いだときにスパイシーなインパクトがあり、そのあとゴム+なめし革の匂い。
 酸は決して弱くはないのだが、タンニンがとてもシルキーなために、ふんわり柔らかな飲みごたえ。 甘さすら感じさせるふくよかさがある。
 パワーはないが、その分高貴な品格を感じる。ひっかかりがなく、すいすい飲める。
 入手価格\2,300。素直においしいと思えるブルゴーニュ。
 ピノに本格的にハマりたくなくて、できるだけ避けているが、2,000円が3,000円になり、 ついには5,000円を、8,000円を、安いと思うようになったりしたら、やばいぞ。
・・財力がついてゆけば、別に問題ないのだが、それならそもそも安ワイン者などやっておりませぬ。
 なんだが、恋に目ざめゆく自分にとまどいを感じながらも、後戻りできない乙女のような心境。
<評定:B>

2003年12月18日  ROUGE 
PONANT 2002 / DOMAINE MAGELLAN / VIN DE PAYS DES COTES DE THONGUE
ポナン / マジュラン / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・トング
VIN DE PAYS

Ponant rouge 02  日本には軍隊はないが、兵士はいる、という話。

・・・断っておくが、これは私の創作ではなく、どこかで読んだ話。何に書いてあったかは忘れた。

 日本には軍隊はないが、兵士はいる。もし、それを疑うのなら、朝8時頃、都会のどこかの駅に行ってみるといい。
 そこでは、皆、同じような戦闘服を着て、無口で、悲痛な面持ちで整列している。 その列は決して乱れることはない。
 やがて、列車が到着すると、皆、列を乱さぬまま前進し、 無言のまま乗り込む。文字通り身を削り厳しい戦いに出征する、企業戦士たちである。

 さて、ここからは冗談ではなく、本当の話である。
 私の住む京阪神近郊のJR西日本・東海道本線の駅では、列車が到着する前に、次のような英語のアナウンスが流れる。

 The rocal train departing at 8:15 bound for Kyoto will be leaving from truck 8.
 This train consists of 8 cars.
 The boarding locations are indicated by white circles and numbers 3 through 10.
 Please form two lines to board the train.
(8:15発普通列車京都行きは、8番線から発車します。列車は8両編成です。 乗車位置は、白い丸印3番から10番です。2列に並んでお待ちください)

・・・録音して確かめたわけでもないし、あくまでも私がそう聞こえるというだけであるから、間違っているかも知れない。

 列車に乗り込むために2列縦隊で待て、というくだりは、軍隊そのものである。冒頭の企業戦士の話は、 このアナウンスを聞いた欧米人独特のユーモアだったのだろうか。
 日本に軍隊はある。それは世界貢献するためだ。憲法前文にもそう書いてあるではないか。という詭弁を弄する誰かさんは、 きっと満員電車になんか乗ったことないんだろうね。

 さて、今日のワインは、いつもおなじみWine Shop Enoteca にて購入したセットもの。
 年末ということもあり、いつもより平均単価の高い12本20,000円セット。内容はリストから自由に選べるのだが、 その内、ひときわ単価の高いものは2本分計算となる。 結局私はその高いものを2本選んで、トータル10本で20,000円となった。
 その1本目は、VdP。セパージュは書かれていない。
 色はどちらかというと赤みが強く、濃い。黒ベリーと、チョコレートに、土ぼこりのような香りも。
 甘みが強く、果実味たっぷり。香りの印象ほど黒っぽくなく、イチゴ的甘さ。タンニンはしなやかだが、アルコール感が強い。 それもそのはず、度数は14%。
 カベルネとシラーかな。でも、味わった感じでは、クリュ・ボージョレのような柔らかな気品があるから、よくわからない。
 単体での通常価格は、\1,900。なかなか見所があるけど、もう少し安いとうれしいなあ、というレベル。
<評定:C−>

2003年12月20日  BLANC 
GAVI(D.O.C.G.) 2002 / BRICCO BATTISTINA
ガヴィ / ブリッコ・バッティスティーナ
イタリア、PIEMONTE州

Gavi Bricco Battistina 02  突然の報告で悪いんだけど、再婚することにした。
 え、いつ離婚したの? こんなとこで、簡単に暴露していいの? だいたいお前結婚してたのか?(< してました。) と聞かれるかも知れない。が、かなり前から心変わりしていたのは事実だ。
 と、まあ、私の話をそのまま受け取る方も少ないと思うので、冗談はこのくらいにしよう。

 実は、憧れの"Z"を入手した。
 日産フェアレディZ、ではない。SONY VAIOノート Z だ。
 3年半使ってきた現在のVAIOノート505が、相当くたびれてきた。長い間連れ添ってきて愛着はあるのだが、 かねてから欲しいと思っていたZを、新しいパートナーに選んだ(しかし、こんなときめきは、 2年前にIBM APTIVAを買ったときには、感じなかったなあ・・)。
 スペックだけ見れば、PANASONIC LET'S NOTEとか、SHARP MURAMASAとか、最近のTOSHIBA DYNABOOKとか、 優れたものはいくらでもある。が、少なくとも私にとって、VAIOの美しさを凌駕するPCはなく、 PCもファッションと考える私は、VAIO信者をやめることができない。
 頑張った自分にごほうび!なんて、首筋が痒くなるようなOL言葉を使うつもりはない。
 純粋に、仕事上の必要に迫られてのことである。すぐ固まるこれまでの505ではもう恐い。新しい機種も、 新幹線などの移動中にも仕事ができるように、モバイルノートでなくては。
 もうZはモデルチェンジなのか、生産中止なのか、残り少ない店頭在庫を、あわててGETした。 実はまだ仕事が忙しくて、買ってきたまま箱に入れてある。落ち着いたら、少しずつ移行してゆこう。

 さて、今日のワインは、自主的に選んだものではなく、勧められるままに、購入したもの。
 イタリア白で良い思いをしたことのない私にとって、いくら勧められても、しょせんガヴィだしぃ・・って感じなのだが。
 グリーンがかった淡い色は、まさにそれらしい。が、香りを嗅いで、驚く。え? なんでこんなにミルキーなんだ!?
 蜜のような甘い香りに、グレープフルーツ、梨、あるいはメロンなど。イタリアって感じは乏しく、 なぜかチリの冷涼な地域で丁寧に作ったシャルドネみたいだ。酸が強く、シャープではあるのに、 ねっとり、ふっくらしている。
 いやあ、素晴らしいです。GAVIの印象が変わりました。これで\1,700とは。
 裏ラベルを見ると、オーク樽を使ってるとのこと。なるほど、どおりでクリーミーなわけだ。
<評定:A>

2003年12月21日  ROUGE 
HANGTIME PINOT NOIR 2002 / HANGTIME CELLARS
ハングタイム ピノ・ノワール / ハングタイム
アメリカ、CALIFORNIA州、SANTA MARIA VALLEY

Hangtime Pinot Noir 02  コンビニと駅売店にお願いしたいことがあります。 ガムやのど飴は、砂糖使用と不使用に分けて陳列してください。

 砂糖不使用で、その代わりにキシリトールなどを使っている菓子類には、 「体質により、まれにお腹がゆるくなることがあります」と書いてある。 その"体質による"人なのだ、私は。食べ過ぎると、お腹がゆるくなるというより、キリキリする。
 ガムとか飴とかが好きで、気が向くと駅売店などに立ち寄るのだが、 いちいち使用材料を確かめてから買わなくてはならない。結構面倒だ。 「こちらは砂糖使用商品です」とか書いてくれればいいのに、といつも思う。
 特に最近は、健康志向の高まりもあって、砂糖不使用商品が増殖している。 私にとっては恐ろしい事態だ。クロレッツみたいにキシリトール入りを売りにしているガムなら、 最初から買わないのでいいが、両方出しているメーカーには、もっと分かりやすいパッケージにして欲しいと思う。

 さて、今日のワインは、10本20,000円セットの2本目。カリフォルニアのピノ。
 色が結構濃いのは当然のことと思うが、香りにはちょっと驚く。 ゴム臭の中に、火薬のような炸裂するインパクトがあって、上質っぽいピノの風格。 しかし、その奥にベリー系の雰囲気があるのは致し方ないか。
 飲み口はシャープで、酸が強い。甘ったるさはない。ほんのり漂う程度の甘さ。
 単体での通常価格は\2,200。カリフォルニアのピノだということを改めて思えば、 評価せざるを得ない。が、お得とまで言えるだろうか? 健闘してるけど、絶賛まではいかないね。
<評定:C>

2003年12月24日  SPARKLING 
MOUTARD BRUT RESERVE / CHAMPAGNE
ムタール ブリュット・レゼルヴ / シャンパーニュ
CHAMPAGNE地方、AC:CHAMPAGNE

Moutard Brut  それは恋の初めのときめきに似ている。

 真新しいキーボードに指を落とし、windowsのセットアップを始める瞬間である。
 先日買った新しいパソコンを、ようやく箱から出した。 とりあえずセットアップして、しばらくいじっただけで、電源を落とした。 データの移行などは、落ち着いてから、少しずつやっていく予定。
 それにしても、パソコンを買うたびに、windowsが新しくなっている。 便利になっているのか、ややこしくなっているのか、わからない。
 遅ればせながら、私にとって初めてのxpマシンだが、3.1の時代に比べると、相当飾り立てすぎだと思う。
 こんなに不完全ながら、なぜwindowsという商品は続いているのか。それは、代替品がない(ないわけではないが、 対等な競争相手に育っていない)からだ。
 先頭を走れば、かなり稚拙でもいい加減でも、人々に受け入れられるという良い見本だ。 市場を押さえてしまえばやりたい放題、というのはビジネス界の定石だが、それが実力の証明だとは、 決して言えない。少なくとも、私はそう思わない。いわゆる商才だけでフロントランナー気取りをする輩を、私は尊敬もしないし、 自分はそんなところに落ちぶれたくないと思う。こんな思想を、世間では「青い」というんだろうけどね。

 さて、イヴの夜に登場するのは、泡もの。10本2万円セットの3本目。単体での通常価格は、\3,800。
 さすがに泡立ちは良く、大きめの泡がきれいに持続する。香りはシャープだが、 しっかりした酵母臭がある。
 かなり緑っぽい口当たり。レモンのような酸と、じんわりした後味。何も脚色のない、いわばまっすぐなシャンパーニュ。 この価格帯だから、これで充分だろう。
 ビンにはblanc de blancとは書いてないが、輸入者の説明書きによると、シャルドネ100%らしい。
<評定:C>

2003年12月27日  ROUGE 
CHATEAU MAZERIS 1999 / CANON FRANSAC
シャトー・マズリ / カノン・フロンサック
BORDEAUX地方、POMEROL地区、AC:CANON FRONSAC

Ch. Mazeris 99  24日に、パソコンのセットアップは恋の初めに似ていると書いた。

 新しいパソコンに触れるドキドキ感。これはある意味とてもエロティックだ。
 キーボードをたたくという行為自体は、実に無味乾燥である。にもかかわらず、 それによって新しい価値が生み出されるというmiracle(魔法)。
 ふつうのメカなら、人の操作と機械の動作には、充分我々の想像の範囲内といえる因果関係がある。 しかし、パソコンには、その明確な直結性がない。単純化していえば、ブラックボックスの持つ妖艶さである。
 パソコン好きは、この無機質な箱の中に、有機的な何か−−たとえばそれはエロスとでも呼ぶべきもの−− を探求しているのかもしれない。
 パソコンのしくみがわからないことは、人の心がわからないことに通じる。わからないからこそ、永遠なる魅力がある。 パソコンのしくみを完全に理解している開発者にとって、おそらくパソコンとは、こんなに魅惑的な存在ではないに違いない。 まるで、人の心が読めてしまったならば(幸い、そのような能力を持った人はいないが)恋などできないように、である。

 閑話休題。
 10本2万円セットの4本目は、ボルドーはフロンサックの赤。
 色は赤黒く、しっかりめ。インクや接着剤などのシンナーっぽい香りがある。足が長く、 また、香りの印象からも、アルコール度数が高いことがわかる。
 口当たりはシャープだが、酸は強すぎない。端正で、おとなしい味わい。単体での通常価格は\1,900。
 あまりに真面目すぎて目立たない優等生のよう。目立たないために、その確かな実力も、ともすれば過小評価されてしまいそうである。
<評定:C>

2003年12月28日  BLANC 
PONANT 2002 / DOMAINE MAGELLAN / VIN DE PAYS DES COTES DE THONGUE
ポナン / マジュラン / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・トング
VIN DE PAYS

Ponant rouge 02  もう少し新恋人の話をさせて欲しい。

 パソコンの基本性能なんて、あまり意識していなかった。
 動画を扱うわけでもないし、静止画だって、私のサイトにはそう多くない。仕事でよく使うソフトだって、 ワープロと表計算がほとんど。だから、処理速度がどうのと、気にしてこなかった。
 今まで使っていたvaio note 505は、CPUはmobile celeron 500MHz、メモリは64MB、ハードディスクは9GBだった。 ところが、今回入手したvaio note Zは、CPUがPentium M 1.3GHz、メモリ256MBに512MB増設して768MB、 ハードディスクは40GB。こっちのほうが安かったのに(増設メモリを入れて約19万円)格段に向上。
 いやあ、表示が速い。複数のアプリを開いても遅くならない、固まらない。しかも液晶が14.1inchながらSXGA+なので、 表示範囲が広い。
 モバイル性を重視する私としては、これで本体重量(2.1kg)がもう少し軽ければ、言うことないんだが。 そういう、どこか満たされない部分が残るから、また次が欲しくなる。これ、車好きの人と同じような心理じゃないだろうか。

 本日のワインは、12本2万円セットの5本目。先日同じ造り手の赤を開けたが、今度は白。
 色は意外にも淡い麦わら。香りは白い花、はちみつ、甘い柑橘香など。
 口に含むと酸は弱く、甘みが広がる。おしろいのような後味に、若干の苦み。
 セパージュが表示されていないが、ヴィオニエ主体だろうか。ぼやーっとしていて、とっても食い足りない。 どうにも評価しにくい。単体での通常価格は、\1,900。
<評定:D>

2003年12月30日  BLANC 
ROERO ARNEIS (D.O.C.) 2001 / CANOREI
ロエロ・アルネイス / カノレイ
イタリア、PIEMONTE州

Canorei Roero Arneis 01  気づいたらもう今年も明日を残すのみ。ホントに早い。
(実は年賀状が、やっと、さっきできたところ。受け取る予定の方々、少し遅くなるけどご勘弁ください)

 毎年時間が早くなるように感じるのは、よく言うように、1年の重みが年々軽くなっているからなのだろうか。
 5才の子供にとっての1年は、人生の5分の1だけど、40才にとっては40分の1。100才にとっては100分の1。
 単にそんなことだけではなく、年を追うごとに、人生でやるべきことが増えているからじゃないだろうか。
 本当にオトーサンはたいへんなんですよ。皆さん。家族のためだけを思って、滅私奉公に徹すればいいのだろうが、 わがままな私は、自分のやりたいことは全部やりたい。いきおい寝る時間を削ることになる。 多分ずっとこんな感じで年を取っていくんだろうな。それだけの体力があることに、感謝せねば。

 10本2万円セットの6本目。
 色は薄いが、香りは濃厚。柑橘香よりはクリームのような甘さが目立つ。
 味わいも甘みがたっぷりと濃厚で、こってりした後味。アルコール度数も13.5%と高く、ビリビリした感じすらある。
 ピエモンテの白というと、ガヴィの印象が強いので、それだけに意外だった。 イタリアというより、ニューワールド(例えばアルゼンチンあたり)のシャルドネのようだ。
 単体での通常価格は\2,500。このクラスにしては、ややぼやけた感じだ。 販売店のコメントに、「ムルソーにも似たこくのある味わい」とあるが、そりゃないよ。 ムルソーがこんなだったら、ちゃぶ台ひっくり返すぞ。

 さて、明日夜は外食の予定なので、wineを開ける可能性は低い。今日が多分今年最後になると思う。
 今年も一年、ありがとうございました。いつも見に来てくださる皆さんの存在が、私の原動力です。 来年もよろしくお願いします。
<評定:D>


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