利酒日記 kikizakenikki

2004年3月


HOME  利酒日記のメニューページへ  産地別索引へ  前月へ  翌月へ

2004年3月1日  BLANC 
MARSANNAY 1999 / DOMAINE BRUNO CLAIR
マルサネ / ブリュノ・クレール
BOURGOGNE地方、COTE DE NUITS地区、MARSANNAY村、AC:MARSANNAY

Bruno Clair Marsannay Blanc 99  新しい新聞の話。

 フジサンケイ・ビジネスアイという新聞が、今日からスタートした。
 もともとフジサンケイ・グループである日本工業新聞が、総合経済誌としてリニューアルしたものだが、 グループのイメージを最大限利用して、いきなりメジャーな雰囲気でデビューすることに成功した。
 早速買って、じっくり読んでみた。
 いろんなニュースを、ビジネスという1つの視点から見ていて、小気味よい。産業面に強いことは言うまでもないが、 金融では、中国の株式市場をかなり詳しく書いている。香港も含め、上場銘柄の株価が、日本の市場と同じように掲載されている。
 日経新聞と同じ切り口では勝ち目がないのは明らかなので、細かい記事を丹念に拾ってゆくよりも、読者の興味を引きそうな記事を選んで、 丁寧にわかりやすく、面白く書こうとしている。デパート的ではなく、ブティック的な編集方針とでも言おうか。なかなか大胆で良いと思う。 大胆すぎて、読むところがなく、つまらない、という意見の人も多いかもしれない。
 できる限り活字をたくさん読みたい、という私のような人間にとって、だからといって1日何紙も読むわけにもいかないから、 こういうポイントを押さえてくれている新聞は、結構重宝する。定期購読までするつもりはないが、時々駅で買おうと思う。

 さて、弥生三月登場1本目は、ネットで購入したブルゴーニュ。
 色は結構濃く、黄金色一歩手前、と言っても言い過ぎではないほど。 香りはヨーグルトのような甘酸っぱさと、石油あるいはビニールのような感じに、ナッツの香ばしさが若干。 オイリーでなめらかな味わいを連想させる。
 味は、酸のアタックが結構強いが、甘みもそれなりにあり、結構ふくよか。 後味もやや細身ながら、クリーミーな余韻もあって、均整は取れている。
 入手価格\1,790。とてもお得感がある。
 このクラスのブルゴーニュには、多くを期待していないだけに、「おおっ」と思うスマッシュ・ヒット。
<評定:B>

2004年3月3日  ROUGE 
CORNAS "TERRES BRULEES" 1999 / JEAN-LUC COLOMBO
コルナス テール・ブリュレ / ジャン・リュック・コロンボ
COTES DU RHONE(北部)地方、CORNAS地区、AC:CORNAS

Colombo Cornas Terres Brulees 99  秘書の名義借り疑惑代議士へ辞職勧告か。

 元秘書の名義借り疑惑が浮上している民主党の佐藤観樹議員が離党届を提出したのに対し、 党は受理しなかった。執行部は、佐藤氏が事実関係を明らかにしない場合、除籍や議員辞職勧告もありうるという、 強い姿勢を示した。
 名義借りが明らかになったのではなく、それ以前にちゃんと説明しないから処分だという。 随分厳しい態度だ。無論、もっと甘くせよなどと言うつもりは全くないが、どうも学歴詐称問題のとばっちりであるように 見えるのは、私だけであろうか。身内に甘いといって非難を受けたから、こんどこそ厳しくして、党の信用を回復しようという魂胆ではないかと。
 名義借りの事実があった場合、このような不正は決して許されることではない。ただ、 「私たち庶民は少ない収入で頑張っているのに、議員ばかりこんなずるいことをやっていて」という世論を聞くと、 私は、ああまたか、と思う。被害者的感情で不平を言う精神構造が私は嫌いだ。
 法律の規定に違反していないかどうか。その観点から冷静、厳格に判断されるべきなのである。

 今日のワインは、ネットでe-shopping wineから購入したもの。
 いまやローヌで有名どころとなったジャン・リュック・コロンボのコルナス。なんと55%オフ!ということで、 喜び勇んで入手。
 色はほとんど黒に近いが、やや赤系が強い。ふちは薄紫〜ピンク。スパイシーで、甘苦い薬草のような香りのインパクトが強い。
 タンニンが力強く、口中全体にひっかかる。甘みもあるが、酸もかなり尖っていて、味わいのテンションは高い。 果実味あふれる後味が、長く尾を引く。
 シラー100%らしいが、ワイルドで、まだまだ若すぎる感じ。相当に長命なのだろう。真価を発揮するには、まだ数年かかるのでは?と思う。
 通常価格\5,510に対して、今回の入手価格は\2,480。個性豊かという意味では、十分価値はあるが、 5,000円以上が適正だとは思わない。今回の入手価格を前提にすればB評価でもいいけれども。ということで、通常価格を踏まえて下記のような厳しい評価とした。
 なお、ブリュレ(brûlées)は、お菓子のクレーム・ブリュレと同じで、「焼けた」「焦げた」などの意味があり、 テール・ブリュレ(terres brûlées)で「焼けた土地」を表す。非常に日照が良い土地という意味であろう。 ちなみに同じローヌの有名なAOC名にコート・ロティ(côte-rotie)があるが、こちらも「焼けた斜面」を意味する。 果実味豊かですよ、ということが売りになるローヌならでは。
<評定:D>

2004年3月4日  BLANC 
BOURGOGNE BLANC CHARDONNAY 1999 / DOMAINE HENRI CLERC (GILLE DE LAMOIRE)
ブルゴーニュ・ブラン・シャルドネ / アンリ・クレール(ジル・ド・ラモワール)
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

Henri Clerc Bourgogne Chardonnay 99  鳥インフルエンザ問題で、新事実発覚。

 京都府丹波町の農場で鳥インフルエンザによって鶏が大量死した問題で、「腸炎だと思っていた」という社長の発言に反し、 「社長は早くからインフルエンザの疑いがあることに気づいていたのではないか」と、従業員から証言があったらしい。
 以前から騒がれ、既に社会問題となっているのに、鶏の大量死を前にして、まったく疑わなかったというほうが不自然だろう。
 一方で、経営者としては、会社経営に重大なダメージを与える事件であればあるほど、たとえその兆候があったとしても、 信じたくないという思いは強いだろう。隠蔽する気持ちはなくても、そうであってほしくないという思いが、届出を遅らせたのだろう。 私も経営者の端くれとして、その気持ちもわからないではない。
 とはいえ、感染に似た症状が出ていることに気づいた時点で届け出ることが、法律(家畜伝染病予防法)で義務づけられている。 それを怠った以上、当然に責めを負わされる。
 ところで今日、電車の車内吊り広告を見ていたら、週刊誌記事の見出しに次のようなものがあった。
 「まだ営業を続けている、鳥インフルエンザ・スープ入りのラーメン屋」(週刊新潮)
 いくら読者の興味をひきたいからといって、これはひどい。卵や食肉から人に感染した例はまだないし、70度以上で加熱すれば、 ウイルスは死滅するというのだから、こんなふうに興味本位で恐怖心をあおるのは、極めて不謹慎である。
 ちなみに我が家では、卵も、鶏肉も、牛肉も普通に食卓に上っている。私も妻も、まったく気にしない。アホらしいから。 唯一の心配事は、肉の流通量が少なくなって、値段が上がることだけである。
 肉で病気に感染することを心配する暇があったら、明日ハンドルを握るときに速度に気をつけたり、 道を歩くときに車に気をつけたり、そっちのほうが数千倍も数万倍も大事だと思うよ。

 今日のワインは単品入手のブルゴーニュ。
 やや濃いめのイエローグリーン。鋭い柑橘香と、ミネラルを豊富に感じさせる香り。
 実際の味わいも、レモン的酸が鋭く、豊かなミネラル分のおかげで、とても塩辛い。 その一方で、甘い果実味や苦味もあって、まるでグレープフルーツをかじったよう。
 テンションが高く、重心が上の方にあるのに、しっかりとした味わいもある。おそらくブラインドで試したら、 私は迷わずシャブリと言うだろう。こんなにシャープなACブルゴーニュは貴重である。
 それよりも何よりも、これだけ年数が経っているのに、フレッシュさを保っていて、なおかつヘタっていないのはすごい。
 入手価格\1,900。十分満足。
<評定:B>

2004年3月6日  BLANC 
VIOGNIER DE L'ARDECHE 2002 / VIN DE PAYS DES COTEAUX DE L'ARDECHE / M. CHAPOUTIER
ヴィオニエ・ド・ラルデシュ / ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ラルデシュ / シャプティエ
V.d.P.

Chapoutier Ardeche Viognier Chapoutier Ardeche Viognier  ビラを配って逮捕。

 不覚にも私はこのニュースを知らなかった、というか見落としていた。昨日の朝日新聞の社説で知った。
 陸自先遣隊がイラクへ出発した翌日、派遣に反対する市民グループ3人が、防衛庁宿舎の郵便受けに、派遣反対を叫ぶビラを入れて回った。 その1ヶ月余り後の2月末に、3人は住居侵入の容疑で逮捕された。
 関係者以外立入禁止と書かれた敷地内に勝手に進入したことは、確かに不法侵入であろう。でも、それだけの理由ならば、 日々どの集合住宅にも投函されている風俗関係のチラシとか、不動産広告などの類は、いったいどうなるのだろう。 警察は、そういうものをちゃんと取り締まってくれているんだろうか。こんなことで逮捕してたら、毎日何百人も捕まるんじゃないだろうか。
 自衛隊派遣が決定されてから、派遣を支持する人の比率が上昇した。むやみに反対するのは、派遣される隊員に対して失礼であり、 決定されたからには快く送り出そうではないか。そんな風潮が高まったのだろう。
 だがしかし、賛成に鞍替えした人に言っておく。あんたらはそんなにも頭が悪いのか、と。派遣の賛否と、派遣される人たちを気遣うこととは全く別次元、別問題である。 現地に赴く人たちは、職務に対する使命感のある立派な公務員であるし、絶対に元気に帰ってきて欲しい。それは言うまでもないこと。 しかし、それと派遣自体に賛成することとは、まったく違う。そんな簡単な峻別もできない人が多いことには、大いなる危機感を感じる。
 わけのわからない言葉で煙に巻いたり、既成事実の積み重ねで思想を操作したり、そういう政治家が多いから気をつけなくてはいけない。 そうやって自由な思考はつぶされ、国民は単一の方向に誘導される。 警察や司法までもがそれを支えるようになったら、いよいよ危ない。今回のようなニュースがあまり大きく取り上げられないこと自体、 マスコミさえも情報操作に荷担していると言えるのだ。
 私はこれからも、どんどん声を上げてゆこう。

 さて、今日のワインは、売場で「まるでコンドリューを思わせる」と、太鼓判が押されていたVdP。
 ヴィオニエらしく、色とりどりの花束みたいにフラワリーな香り満載。清々しく、甘く、やさしい。ライチやバナナみたいな感じもある。
 酸もそこそこあるが、角が丸く、甘味優勢。それでも甘ったるくはない。後味は意外にもすっきりと線が細い。
 シャプティエの白ワインには、なぜかマヨネーズのような酸があり、このワインにも感じる。そこが私は少々気になるのだが。
 裏ラベルに、BIODYVIN(ビオディヴァン、と読むのだろうか)との表記があり、® の記号もあるから商標登録しているらしいが、 もちろんバイオダイナミック農法で育てられたぶどうだよという宣伝だね。すぐ横に、"Vin issu de raisins provenant de l'agriculture Biologique et Biodynamique."(ヴァン イシュ ドゥ レザン プロヴナン ドゥ ラグリキュルチュール ビオロジック エ ビオディナミック)と、その通りの説明もあるし。ちなみにraisins(レザン)とは、日本語で言うところのレーズンのことではなく、 単にぶどうの実のことだから、間違えないようにね。
 入手価格は\1,800。まあ、値段どおりと言える。で、コンドリューを思わせたかどうかと言えば、ちょっとそれはないよなあ、って感じ。 単にヴィオニエらしい、っていうだけじゃないの?
 でもこのぶどうはけっこう難しくて、安物はただ薄ら甘いものが多いんだけど、これはまあシャープなほうかな。
<評定:C>

2004年3月9日  ROUGE 
CHATEAUNEUF DU PAPE "LES BARTAVELLES" 1998 / JEAN-LUC COLOMBO
シャトーヌフ・デュ・パプ レ・バルタヴェル / ジャン・リュック・コロンボ
COTES DU RHONE(南部)地方、CHATEAUNEUF-DU-PAPE地区、AC:CHATEAUNEUF-DU-PAPE

Colombo Chateauneuf-du-Pape Les Bartavelles 98  それみろ、本音が出た。

 超党派議連による教育基本法改正促進委員会の設立総会での、民主党・西村真悟衆院議員の発言。
「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す」
「お国のために命を投げ出すことをいとわない機構、 つまり国民の軍隊が明確に意識されなければならない。この中で国民教育が復活していく」
 これが本音なのだ。そういう方向に持っていきたい軍国老人たちには、政治は任せられない、と思う。 もしそんな思想の下に教育基本法が改悪され、公教育がそれに従うとしたら、私は自分の子供を日本の学校には通わせない。
 国のために死にたい人は、他人に迷惑をかけないで、勝手に死んでくれ。そういう偏向的思想で法律を変え、 国をおかしな方向(それをフツーの国というらしいね)に向けるのだけは絶対に許さない。
 人は、自らの意志で愛する人のために命を投げ出すことは容認されても(それ自体にも異論がないわけではない)、 他人の意志や国家の機構で死を強制されることなどありえない。 国のために命を投げ出すことでしか自負心を満たせない面々は、せめて周りを巻き込むことだけはやめてくれ。
 ああ、今日も重苦しい話題で申し訳ない・・。

 ネットでe-shopping wineから購入したジャン・リュック・コロンボの2本目はヌフパプ (1本目はコルナス)。ちなみにコルナスの瓶はスマートなボルドー型であったが、こちらはブルゴーニュ型、というか、 普通のローヌと一緒。
 色は紫にややオレンジが入った感じ。濃さはほどほど。既にオリが結構出ている。
 黒コショウやイオウ、インク、枯れ草などの香りとともに、動物臭も。
 意外にもパワーは控えめで、いい感じに枯れた味わい。タンニンも柔らかくなっている。 果実味は残っているものの甘みは弱く、酸の主張が強い。
 今日は焼鳥を食べ(この渦中に!我が家は全く意に介していないので。というか鶏肉が安くてうれしい)キムチを食べ、 ちびちびこのワインを飲んだ。なかなか良かった。しかし、こぢんまりとまとまっていて、洗練されているというよりは、 単に主張が弱い。軽いからすいすい飲めちゃうよ。
 入手価格は\1,980。通常価格は\4,510らしい。なんと56%オフ。
 入手価格を前提にすれば、申し分ないが、通常価格を踏まえれば、D評価とせざるを得ない。
 ワインの名誉のためにひとこと言っておくが、値段を抜きにして、もしこのワインを人からもらったら、 素直に「おいしかったよ!」って喜べるレベルであることは、まちがいないっ!でも、よんせんごひゃくえんはいいすぎです。 ワインは高いからおいしいのではなく、おいしいものがそれに見合った値段になるべきなんだ、気をつけろー。
<評定:D>

2004年3月10日  BLANC 
SAINT-VERAN 2001 / DOMAINE DES VALANGES (MICHEL PAQUET)
サン・ヴェラン / ドメーヌ・デ・ヴァランジュ(ミッシェル・パケ)
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:SAINT-VERAN

Valanges St-Veran 01  つばめ号は、永遠です。

 先日部分開通した九州新幹線の列車名は「つばめ」。
 事前に行われた公募の結果では、「つばめ」はなんと5位だったらしい。にもかかわらず、選ばれたのには、 どうやら裏があるようだ。悪く言えば、出来レースだったってこと。
 JR九州・鹿児島本線の在来線特急の名称として使われていた「つばめ」は、もとをただせば本州を走っていた特急列車として由緒ある名前。 それを手放したくなくて、何がなんでも使いたかった、というのがJR九州の本音のようだ。ならば、なぜ公募などしたのか。
 実は、何を隠そう私も昨年、名称募集に応募した。もう1年以上も前になるだろうか。考えた末に、「はやと」と決めて出した。 実はその「はやと」に、8千通以上もの応募があり、堂々1位だったというのだ。もちろん、鹿児島(薩摩)をイメージしたからだが、 最初からこれは忌避されていたらしい。近い将来博多までつながるのに、鹿児島のイメージをつけたくないとのことらしいが、 その発想は、まったく逆であると私は思う。
 ゆくゆく山陽新幹線と接続し、鹿児島が近くなるからこその「はやと」なのだ。でも、九州の人たちには、博多(福岡)こそが都会で、明るく、 未来的な感じであり、熊本や鹿児島は、遅れたイメージだということなのだろうか。
 ところで、博多まで全通した折には、各駅停車とか一部区間のみ走る列車とか、他の名称が必要になるだろう。「つばめ」より遅いからといって、 「すずめ」ってわけにもいかないだろうから、「ひばり」とかかな(今既にどこかで使ってるよね)。
 東海道山陽新幹線の「のぞみ」が出来るときに、「ひかり」より早いのだからタキオンしかない、なんて知的なジョークもあった。 将来、中央リニア新幹線が出来るとすれば、「のぞみ」を超える名前はなんだろう。私は「ゆめ」がいいと思うが。キャッチコピーは、 DREAMING JAPAN! で決まり。
 前途洋々とまではいかない九州新幹線だが、旅行客が増えることを祈ろう。でも、あまり混みすぎて、繁忙期の東海道新幹線みたいに立席というのも悲しい。 「つばめ」だけに、皆、ちゃんとスワロー。
 お後がよろしいようで。

 今日のワインは、Enotecaにて単品入手のブルゴーニュ。
 色はきれいなレモンイエロー。香りはグレープフルーツのように尖った酸と、アクリルのような感じ。もっと北の方を思わせる。
 味わいもミネラル分が豊かで、シャブリみたい。でも、その後にハーブ香と、甘いふくらみがある。ここで初めて、南を感じる。 しかし、あくまでも酸が優勢で、後味もきりっとしている。合い言葉は、酸が生き生きサンヴェラン。
 入手価格は\1,980。申し分なし。だらっとしたものも多いAOCなだけに、これは貴重だ。
<評定:B>

2004年3月14日[1]  ROUGE 
VALGRAND MERLOT 2003 / VIN DE PAYS DES COTEAUX DE L'ARDECHE
ヴァルグラン メルロー / ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ラルデシュ
VdP

Valgrand Merlot 03  夫婦別姓について考える。

 例外的夫婦別姓法案(民法改正案)の今国会提出が見送られたと報じられた。
 これは、夫婦の自由意思で同姓、別姓を選択できるようにするという選択的夫婦別姓とは異なり、 職業生活上の事情や、祖先の祭祀の主宰等の理由がある場合に、裁判所の許可を得て別姓が認められるというもので、 極めて限定的な別姓許諾の制度である。にもかかわらず、国会提出すら実現しないのは、 多くの自民党議員の中に、この制度に対する根強い嫌悪感があるかららしい。
「夫婦別姓は、国家解体運動の一環だ。一部マニアだけで議論して欲しい」などという意見も出たという。
 国家解体って何? 別姓を認めると、なぜ国家が解体されるの? 私の素朴な疑問である。
 夫婦別姓で、おそらく最も問題となるのは、子供の姓をどう定めるかということだろう。特に兄弟で姓が異なることになると、 面倒なこともあるだろう。しかしその点、今回の法案では、婚姻時にあらかじめ子供の姓を定め、 兄弟は皆同じ姓を名乗ることというルールが設定されていた。
 まったく素朴に、私は考える。家族が違う姓を名乗るようになったとして、それで何が変わるというのだろう。 そもそも姓というものに、記号以上の意味合いを付与する発想は、そう考えたい人が考えればいいのではないか。 姓は単なる記号であって、社会生活上便利なように、その記号を自由に変えたり使い分けてもいいではないか。 単なる記号が家族の連帯感や協力体制を削ぐようであるならば、そもそもその家族の絆は初めから希薄だったのではないか。
 異なる姓を名乗ることで家族が解体し、国家の解体につながるという発想をする人々というのは、 家族とは制度で強制的に縛って一体化を強いなければ存立しないようなものだと思っているのだろうか。 そんなに体裁を整えなければ、人の絆は維持できないと思っているのだろうか。
 きっとそういうオヤジ連中ってのは、「子供は親の言うことを無条件に聞くべきもの」 「女は男を支えて家庭を守るもの」なんて真顔で言いながら、自分は陰で愛人作ったりしてるんだ。まちがいないっ。

 近所のスーパーで、何気なく手にした安ワイン。コルクではなくスクリューキャップ。値段はハーフで\385なり。750ml換算でも\770である。
 色は青みの強い紫でいかにも若いが、結構しっかりしている。甘い果実香があって、その点も若々しい。 口当たりは甘酸っぱく、プラムのような感じ。タンニンはほどほど。後味はさらっとして、重みはない。
 値段からすれば、まったく期待などできないのだが、そのわりにはちゃんと赤ワインしている。重めのヌーヴォーみたいな感じ。
 1,500円とか2,000円以上のものとは比較にはならないけれども、例えばサンドイッチなんかと一緒に気軽に飲むのにはよいと思う。 買って損はない。そういえばメルローらしさって全然ないけど、それは仕方ないよね。
<評定:C+>

2004年3月14日[2]  BLANC 
LES ARUMES DE LAGRANGE 2000 / BORDEAUX
レ・ザルム・ド・ラグランジュ / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

Les Arumes de Lagrange 00  上のワインは実は昨日開けたもので、アップしていなかった。今日開けたのはこちら。
 メドック3級シャトー・ラグランジュの作る白。ネットでe-shopping wineから\2,780で購入した。
 色はレモンイエローに山吹色を少し落とした感じ。バターやクリームのような濃厚で力強い香りに、柑橘香が寄り添う。
 適度にオイリーで、甘みも分厚いが、酸がそれを上回る。カスタードプリンをほおばったようなクリーミーさ(ミルクとタマゴのハーモニーのような) が口いっぱいに広がり、それがきりっとした酸と両立して、とてもリッチな飲み応え。後に適度な苦味も伴う。
 久々にグレートな白ワインと対戦した感じがする。今日は、本マグロの中トロを食すのに、白では弱いかな?と思ったけれど、 なかなかどうして、味の厚みは互角かそれ以上であった。
 もし、もうちょっとリリースが長ければ、1万数千円つけてもいいような気がした。そのくらい充実した味わい。 これが3千円未満だなんて、大きなプレゼントをもらったみたい。
 私がこれまで体験したACボルドー白のベストは、Pavillon Blanc du Chateau Margaux(当日記には未掲載)だが、 それに勝るとも劣らない1本。
 ところで今回、赤のChateau Lagrangeと、セカンドも入手している。後日登場するよ。
<評定:AA>

2004年3月17日  BLANC 
VALGRAND 2003 / VIN DE PAYS DES COTEAUX DE L'ARDECHE
ヴァルグラン / ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ラルデシュ
VdP

Valgrand Blanc 03  権利の擁護と、言論の自由。

 田中前外相の長女の私生活に関する記事を掲載した週刊文春が、東京地裁から出版禁止の仮処分命令を受けた。
 私はその内容を読んでいないので詳細はわからない。発売日にあたる今日、新聞に載った同雑誌の広告を見ると、 見出しには確かにプライベートなことが書かれてはいる。でも、この程度のことなら、芸能人なら普通に書かれるような話だと思える。
 仮処分命令は裁判所の判断であるから、その是非については述べない。問題にしたいのは、これに対する反応である。
 この件に関して福田官房長官は、「公人の親族といえども私人ですから、プライバシーは守るべき」と、 出版禁止を申し立てた本人とまったく同じようなことを言っていた。
 ここまで大騒ぎになったのは、公人の、いや更に言えば、自民党議員の親族だからだろう。公人の親族といえども、なんて、 一般論化しようとしているのはいやらしい。
 一方、TVでジャーナリストが、「こんな事前検閲制度がまかり通ったら、国民に真実が伝わらなくなる」という発言をしていた。 これも論理が飛躍している。
 今回は、当事者の申し立てが通って、仮処分命令が下されたのであって、国家権力が雑誌を検閲したのではない。 こういった過剰反応も、見逃してはいけない。
 記事の対象が誰であれ、裁判所は、権利の擁護と言論の自由の保障とを厳密に衡量して欲しい。

 さて、先日の赤と一緒に近所のスーパーでgetした、同じ作り手のVdPの白。375mlで\385、フルボトル換算で\770。
 色はほとんどなく、力のなさを連想させる。香りは弱々しい柑橘香とともに、セルロイドのような匂いが。典型的な安・白ワインの香り。
 味も実に薄っぺら。酸だけがあって、それ以外に見るべきところなし。よく言えばスッキリ。ふくらみはないし、後に何も残らない。
 まあ、この値段だから文句は言えないけど、何かもうひと工夫欲しい。あっさりしているだけなら、ワインを飲む意味もないというもの。
<評定:C−>

2004年3月18日  BLANC 
BOURGOGNE 1999 / DOMAINE BRUNO CLAIR
ブルゴーニュ / ブリュノ・クレール
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

Bruno Clair Bourgogne 99  恐るべし、名古屋パワー。

 岐阜方面に出張してきた。大阪からだと、新幹線で名古屋、そして在来線に乗り継ぐ。
 帰りに名古屋で途中下車して、駅とその周辺をぶらついてきた。
 名古屋駅の上には、巨大なツインタワーがそびえ立っている。JRセントラル・タワーズという。 ここはJR東海のお膝元だ。
 本州のJR3社の社名は、英語でいうとEast Japan、West Japanに、 なんと東海は、恐れ多くも(名古屋の皆さんごめんなさい)Central Japan Railway Companyという。 東と西の間だから、真ん中であることは間違いないが。
 ハード(入れ物)を作ればそれで活力が生まれるわけではないから、闇雲に資本投下すればよいという時代ではもうない。 しかし、これだけのものができてもまったく違和感がないどころか、それにふさわしい賑わいが名古屋にはある。
 東京一人勝ちと言われている昨今だが、ともすると我が関西は、その言葉を自己弁護に使ってしまっているのではないか。 日本第2の経済圏などとうそぶいている間に、3番手と思っていた名古屋(中京)圏のほうが、既に先を走っているのかもしれない。
 聞けばこの駅ビルは、施工期間が相当短くおさえられたとのこと。なんでもトヨタ自動車の生産ノウハウが生かされているらしい。 1つの巨大企業が牽引している経済圏というのは、若干危うい感じもしなくもないが、愛・地球博の開催や、中部国際空港の開港をひかえ、 確かに元気がみなぎっている感じがある。
 名古屋をバカにする大阪人は多いが、うかうかしてると、それが負け犬の遠吠えになりかねない。そんな名古屋パワーを感じた。

 今日のワインは、ネットでe-shopping wineから購入したもの。 先日、同じ作り手のマルサネを開けたばかり。
 色はしっかりめの麦わら色。緑っぽいハーブの香りが中心で、スレンダーな印象。 酸が強いが、適度にふくらみもある。ミネラル分が豊富で、塩っぽい余韻も長い。ほんのりとした甘味も残る。
 99ヴィンテージだが、ACブルゴーニュでありながら、ちゃんと熟成してくれているみたいだ。でも、このあたりが一番飲み頃かな。
 入手価格は\1,230。このクラスにしては、抜群の充実感で、文句なし。
 下町出身の地味な顔立ちの娘だったのに、二十歳を過ぎたら結構色っぽくなってきて、 ああやっぱり元が悪くなかったんだねって感じのワイン。
<評定:B>

2004年3月21日  ROUGE 
GIGONDAS 2001 / CHATEAU DE SAINT COSME
ジゴンダス / シャトー・ド・サン・コム
COTES DU RHONE(南部)地方、GIGONDAS地区、AC:GIGONDAS

Saint Cosme Gigondas 01  全員集合。

 あまり悲しいことは書きたくないが、子供の頃からTVでよく見ていた人が亡くなるというのは、寂しい。
 ドリフのコントが下品だと非難され、番組にPTAから抗議さえあったというのは、実に隔世の感がある。 それだけ時代に先んじたお笑いをやっていたのだ。
 晩年のいかりや氏は、実にカッコ良かった。ああいう風に年を取りたいと思ったものだ。 自分の仕事に誇りを持っている人は、たとえ仕事の内容が変わったとしても、 堂々とした威光を放っている。
 私もいつの間にか、若いとは言われない年代になった。 年下の人たちに、わずかなりとも影響を与える仕事ができれば、と思う。
 なんだかマジカキコしてスマソ(注:いちおう日本語に翻訳しておくと、「真面目に書きこみしてすみません」)。

 本日のワインは、大阪・阪神百貨店にて購入。\2,600。
 色は赤みが強く、やや濁った感じ。VTが若いわりに、オリのようなものが浮遊しているのが見えるので、おそらくフィルター掛けしていないのだろう。
 血のようなワイルドな香り。絵の具や火薬の感じもある。タンニンがビシッと強く、口中にまとわりつく。 甘味があるが、酸も強いので、だらだらした印象はない。後味は、動物的。
 今日は、外出先で夕方の中途半端な時間に家族で回転寿司に行き、たらふく食べたため、帰りに、夕食代わりとして、関西ファーストフードの王様"たこ焼き"を買ってきた。 たこ焼きに合うワインは?と思案した結果のチョイスであったが、これが驚くほどよく合って、感激。
 まさにジゴンダスらしいジゴンダス。美しくまとめよう、などという姑息なところがまったくない。奔放であればあるほど、評価が高まるであろう という造り手の思惑に、私は全面的に賛同する。ほぼ値段なりであると思う。
 女性でいえば、自分の道をひたすら突き進んで、頂点を極めたヤワラちゃんのような頑強さ。エレガンスを求めるような男性には、評価されないかもしれないけど、 それがどうした、私の価値はそんなところにはないわ、的なワイン。
<評定:C>

2004年3月25日  BLANC 
BOURGOGNE HAUTES COTES DE BEAUNE 1999 / COTTIN FRERES
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ / コタン・フレール
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、AC:BOURGOGNE HAUTES COTES DE BEAUNE

Cottin Freres Bourgogne Hautes Cotes de Beaune 99  私だけでしょうか?

 国民年金の保険料が、ひと月13,300円だということを、ほとんどの芸能人は知らないと、思う。
 私だけ・・?
 国民年金の保険料は、芸能人は納めなくてもいいと信じている人は、意外に多いと、思う。
 年金なんかあてにするのは、自分の将来に不安を感じていると思われるのがイヤで、 ホントは払っていても、払っていないふりをしてる芸能人は、少なくないと、思う。
 気分が乗ってきたので、歌を歌います。どうでもいい歌。
 ♪どーでもいいですよ♪

 ATMに行列ができていると、誰かが必ず言う、「やっぱり25日だよねえ」という、確認。
 ♪どーでもいいですよ♪
 ニュースステーションは、完全に終わるんですっ、という、久米宏の、こだわり。
 ♪どーでもいいですよ♪
 リフォーム番組で、「これでバラバラだった家族の仲も、リフォームできるはずです」 という、おせっかい。

 さて、今日のワインは、ブルゴーニュといっても非常に中途半端な感じのするAOC。 フランス物はフランス者から、ということで、カルフール(箕面店)にて購入。
 色は予想していたよりもずっと濃く、ほとんど黄金色と言ってもいい。 オレンジ的な柑橘香を中心としつつも、食用油とか石油の雰囲気もある。ちょっとくたびれた感じ。
 だが、口に含むと印象は一変。丸っこい酸は、まだ勢いを失っておらず、 ほんわかといい広がり方。石油っぽい味に、はちみつ的甘味が伴う。
 くどくはないけど、しっかりした飲み応え。ただ、フレッシュさは、だいぶ失われている感じで、 もう少し前に飲むべきワインだったかも知れない。年齢でいうと、30代後半くらいか。 ポテンシャルの大きくないワインだけに、もっと若ければ、もっとキュートだったかな?と思う。 決してクオリティは低くはないけど。
 入手価格\1,429。不足はない。というより、よしよし、これで十分だよ、というレベル。

 ちなみに、今日の冒頭の文章を読んで、何?と思った人は、あまりTVを見てない人だ。まちがいないっ。
<評定:C+>

2004年3月26日  ROUGE 
BOURGOGNE "LES GENEVRIERES" 2002 / FREDERIC ESMONIN
ブルゴーニュ "レ・ジュネヴリエール" / フレデリック・エモナン
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

Frederic Esmonin Bourgogne 02  ♪よーく考えよー♪

 駅前で端末を無料でもらって、個人情報を売り渡す行為。
 ♪よーく考えよー♪
 100円のモノしか買ってないのに、あなたは105円のモノを買ったのだとだます国策。
 ♪よーく考えよー♪
 近所のお友だちとも仲良くしてるよ!って言いながら、青い目の悪ガキの言うことしか聞いていないジュンくん。

Frederic Esmonin Bourgogne 02 cork  ニュースステーションの最終回で、久米氏が、次のような発言をした。
「もう話す場所がなくなるので、あらためて言います。私は、イラクへの自衛隊派遣には反対です」
 それからこんなことも言っていた。
「民間放送の歴史の中で、戦争という誤った道へ、放送が国民をミスリードしたことは、ありません。 これからもないことを願います」
 最後まで態度を貫いたのは、イイね。
 同じことを筑紫氏が言ったら、なんか嘘くさいし、鳥越氏が言ったら、カッコよすぎる。 久米さんがちょうどよかったのにね。

 今日のワインは、ネットでe-shopping wineから購入したもの。 安ワイン者御用達ACブルゴーニュ。右上の写真ではわからないが、コルクのようでコルクではない。 外側だけ薄くコルクを貼ったもので、中身は人工素材だ。
 淡いルビー色だが、かすかに青みがかっている。透明度が高く、グラスを通して向こうが見えるほど。 香りはしっとりおとなしい。いちごのようでもあり、わずかにゴムの感じがある。
 ぴちぴちした果実味があり、酸に尖りがなくきれいだが、その分、押しは弱い。タンニン分は適度。そして余韻まで、ふんわり軽いベリー系。
 入手価格\1,580なので、多くは望めない。まあ、上品さがかいま見えるだけで、良しとしよう。
 ところでこの造り手名、どうやってカタカナにするべきか、迷った。私個人的には、Sを読まずに"エモナン"のほうが良いと思ったのだが、 一般的には"エスモナン"と表記することも多いと思う(本当は、Esmoninさんご本人に直接聞いてみるのが一番良いんだが)。 そこで、ググってみた。
<Google検索結果>
 フレデリック・エモナン :Hit数111件
 フレデリック・エスモナン:Hit数194件
 やっぱりという結果だが、私はあえて、"エモナン"を採った。 理由は、信頼を置くリアルワインガイドで"エモナン"としているからね。
 あと、ワイン名に"E"の文字が多いので、アクサン記号があったほうがいいね。 Les Genévrières だから、ジュヌヴリエールでも、ジェヌヴリエールでもなく、 "レ・ジュネヴリエール"と読みます。
<評定:C>

2004年3月28日  BLANC 
SAINT-BRIS SAUVIGNON 2002 / DOMAINE SAINTE CLAIRE (JEAN-MARC BROCARD)
サン・ブリ ソーヴィニヨン / サント・クレール(ジャン・マルク・ブロカール)
BOURGOGNE地方、AUXERROIS地区、AC:ST-BRIS

Ste-Claire St-Bris 02  身の回りの危険について。

 大人でも回転ドアが苦手な人は多い。入るタイミングが難しくて困っている人を、時々見かける。 ましてや子供ならば・・・。
 通行する人にはこれほど使いにくいものはない回転ドアだが、ビルを管理する側にとっては、 ドアの開閉による空調のロスが少なく、ビル内に気流を作らないとかで、便利なようだ。しかし、まさか、 今回のような悲劇を生むとは。
 センサーに問題があったとのことで、立派な人災だ。管理責任は追求されてしかるべきだろう。
 こういう事故が起こると、「都会は危険がいっぱい」だとか、「文明に頼りすぎたしっぺ返し」 などという意見が出るかもしれない。だが、冷静に考えよう。
 回転ドアの製造会社、メンテナンス会社、ビル管理会社、ビルオーナーらの責任は重大で、言い逃れはできない。
 しかし、人間の身の回りには、太古の昔から危険がいっぱいあった。あらゆる危険を回避するために、人間は文明を発展させてきたと 言える。疫病の恐怖から逃れるために医学を発達させ、清潔な生活様式を手に入れた。天災の驚異から逃れるために、 安全な住居を作る術を獲得した。
 危険回避のために格闘して、ここまで来た。都市化そのものに罪があるのではない。これまでの努力を否定してはいけない。
 今こそ事故の原因を科学的に究明し、より安全な技術を開発することが必要だ。感情で物事を判断してはならない。

 今日のワインは、初体験のAOC。シャブリ地区に近いオーセロワ地区。 以前はSauvignon de Saint-BrisというVDQSだったものが、2003年にAOCに昇格したらしい。
 麦わら色。香りを嗅いだ瞬間に、「ああ、これはソーヴィニヨン以外にはありえないなあ」と思う。 深緑の葉+グレープフルーツ的柑橘香。多分、この香りだけで判断せよと言われたら、私はEntre-Deux-Mersと答える。
 鋭い酸と、塩(ミネラル)。グリーンで、少し石油っぽい風味が広がる。ボルドーのソーヴィニヨンに比べると、 特にミネラル分が豊かなのが特徴。後味もきりっとシャープで上品。
 カルフール箕面店にて、\1,905で購入。ボトルもブルゴーニュ型なので、シャルドネではないかと一瞬錯覚する。
 今日の夕食は、チーズ・フォンデュ。我が家は、冬にはほぼ月1回の割合でチーズ・フォンデュをやるという、 日本には珍しい(?)家庭。しかも、フランスパン、ソーセージ、じゃがいも、ブロッコリー等のほか、 いちご、りんご、パイン等のフルーツもチーズにつけて一緒に食べる。いつもはシャルドネ等、ふくよかなタイプのワインを合わせるのだが、 今日はちょっと失敗だったかな。
 ただ、ワイン自体のクオリティには、いささかの不満もない。
<評定:C+>

<翌日記>
よりマスカットのような甘い味わいが出て来て、ふくよかさを増した。2日目もなかなかいいぞ。


2004年3月29日  ROGUE 
LES FIEFS DE LAGRANGE 2000 / SAINT-JULIEN
レ・フィエフ・ド・ラグランジュ / サン・ジュリアン
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、ST-JULIEN村、AC:ST-JULIEN

Les Fiefs de Lagrange 00  情報の重み。

 京都府警の捜査関係書類の漏洩問題は、巡査が自宅でネットに接続した私物のパソコンから流出したものと見られている。 P2Pでファイル交換するソフト"Winny"を通じて流出したらしいが、はっきりしたことは発表されていない。
 私物のPCを公務に使うことは禁じられていないとのことだが、データをHDに保存することは認められておらず、それに違反した疑いがあるという。
 ネットの危険性に対する無知と、機密情報を扱う者としての緊迫感の欠如がもたらした事件と言える。
 近年、"情報"の価値が急速に高まっているのは、工業生産を初めとする"モノ"の近代化が行き着き、 人々を圧倒的に魅了する"モノ"が存在しなくなり、単に"モノ"だけでは商売が成り立たなくなってきたことに原因があると、 私は思う。だからこそ、たまに大勢を魅了する"モノ"が登場すると、爆発的な人気を博する(例:最近では薄型TVなど)。
 "情報"がカネを生む現象は、今後もっと加速するだろう。インターネットは、その恰好の舞台である。仕事の情報が入ったPCを ネットに接続するなど、できる限り慎むべきであろう。にもかかわらず、そういう危機感を持たない多くの人々が、 安易にネットに接続している状況は、問題である。しかも、セキュリティの知識のない素人が常時接続するなどというのは、 まるで数千万、数億の現金を家に置いたまま、鍵を掛けずに一日中外出する行為に等しい。
 情報というものの重みを、今こそ認識しなければならない。

 先日、白(Les Arumes de Lagrange)を大絶賛したところだが、今度は赤(Ch.Lagrange)のセカンドである。 AOCも兄貴分と同じ、St-Julienだ。
 色は100%ぶどうジュースのように、深い深い紫で、透明感はない。エッジはピンクで若々しい。
 樽のヴァニラ、鉛筆の削りカス、墨汁などの香りを感じるが、かなり荒削りな印象。 口に含むと確かに凝縮感はあるが、まだほとんど目覚めていないのでは?と思う。ほんのり甘味を感じるが、 それが広がってゆかない。内に向かって閉じている。タンニンは、唇の裏側や舌の表面にまとわりつく。酸もまだ刺激的。
 やはり開けるのが早かったのかな。2000年ヴィンテージだしね。もう少し熟成させたら、もっと爆発的に花開いてくれるような予感がある。
 ネットでe-shopping wineから\2,790にて購入。 「今最高のお買得ワインです」とのふれこみであった。 確かにお買得であることは間違いないが、今飲むには、まだかなり幼いように私は感じた。 というより、デカンタージュ(トランスヴァーゼ)しなかった私が悪いのか。
 下記評定は、今日の印象というよりは、潜在力を評価した。
<評定:B>

2004年3月30日  BLANC 
CHATEAU TOUR DE MIRAMBEAU "CUVEE PASSION"2000 / BORDEAUX
シャトー・トゥール・ド・ミランボー "キュヴェ・パッション" / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

Ch.Tour de Mirambeau 00  この国は全体主義国家か?

 東京都教育委員会が、今月の卒業式で君が代斉唱時に起立しなかった都立校の教職員約180人を、 戒告などの処分にするという。そのうち嘱託職員については、今年度で契約を打ち切る方針ともいう。
 都教委は、昨年秋にまず養護学校等に対し、君が代&日の丸を強要する通達を出している。 やりやすい所から強制してゆくやり方というのも相当に汚いが、今回ついにすべての高校にまで対象を広げた。
 これは、人事権の濫用であるばかりでなく、明らかに基本的人権の侵害である。
 君が代や日の丸を尊重したい人は、大いに尊重すればいいし、その権利は決して侵されてはならない。 それとまったく同様に、君が代を歌いたくない人、起立したくない人の権利も擁護されねばならない。 何人も、自分の思想信条にそぐわない行為を強要されないというのが、民主主義の基本だ。
 例えば、卒業式の最中に騒いで、式の進行を著しく妨害したというのなら、何らかの処分を受けても仕方ないだろう。 それは、組織におけるルールとして容認される。しかし、ただ起立しなかったことで、何か不都合でもあるというのだろうか。 あるとすれば、「君が代・日の丸を敬って欲しい」と思う人たちの気分を害したというだけのことではないか。 敬うことがルール(法の規定)ではない以上、それだけを理由に処分されることはあってはならない。
 都教委の暴挙を許すことはできない。処分を受けた教職員は、ぜひ、司法の判断を仰いでいただきたい。 それにしても最近は、司法でさえ、全体主義に加担するような判断を下すことがあるので、大いに気がかりである。
 このようなことは、東京都だけで終わって欲しいと、切に思う。

 今日のワインは、阪神百貨店にて\1,800で入手したもの。
 色はボルドーの白らしいイエローグリーン。トロピカルフルーツ、ムスクなど、 ヘビーで妖艶な香り。セミヨンの比率が高いのかな?
 味も南国のように明るく、オイリー。ただ、酸が引き締まっており、甘ったるさはないので、 フィニッシュはかなりシャープ。そこがVdPなどでソーヴィニヨンやセミヨンを使ったものとの決定的な違いだろう。
 キュヴェ・パッションという名前の通りの味わい。情熱的で屈託がないけれど、 単に大胆というわけでもなく、思慮分別を備えた感じ。いわば、知性を感じさせる小悪魔。
 ACボルドーでこの作り方というのは、かなり冒険かもしれない。だから手放しで評価できるものでもないが、 異端という意味において、この冒険を大きく買いたい。
<評定:B>


HOME  利酒日記のメニューページへ  産地別索引へ  前月へ  翌月へ  このページのトップへ