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2005年5月1日 BLANC
CHABLIS 2002 / DOMAINE J.DAUVISSAT ET FILS
シャブリ / ドーヴィサ・エ・フィス
BOURGOGNE地方、CHABLIS地区、AC:CHABLIS
こういうクラスのワインを買うのって、一番愚かだと言われるかもしれない。
どうせならもう少し出して格上を買うか、廉価ワインを3本くらい買うかどっちかにしろ、と言われるかもしれない。
だが、あえて挑戦することにした。
色は淡いイエローグリーン。
フレッシュで清々しいレモンの香り。ハーブというより白ネギみたいなしゃっきりした匂いもある。
その奥にハチミツ的なふくよかさがあって、タダモノではないという印象。
口に含むと、ふっくらとした甘味に驚く。もちろん、塩辛いほどの豊かなミネラル分も。
入手価格\2,782(本体価格2,650円+消費税132円)。阪神百貨店にて。
ACシャブリでこの値段はどうよ?って感じだったが、まあ失敗はないだろうと思い購入。そして、飲んでみて納得。
私がこれまで経験したACシャブリのうちで、トップクラスであったことは、間違いない。
<評定:C+>
2005年5月3日 ROUGE
CHATEAU LYNCH-MOUSSAS 1997 (GRAND CRU CLASSE) / PAUILLAC
シャトー・ランシュ・ムーサ(グラン・クリュ・クラッセ/第5級)/ ポイヤック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、PAUILLAC村、AC:PAUILLAC
憲法記念日なので、ひとこと。
読売新聞社説は、「新憲法へと向かう歴史の流れ」と題して、
同社が94年に憲法改正試案をいち早く発表したことにふれ、
改憲論議がなされるようになった昨今の状況を、いわば感慨深げに語っている。
同社の世論調査で、改憲賛成が6割を超えたといい、
自分たちには先見の明があったと言わんばかりの自己陶酔ぶりである。
「新憲法への歴史の流れを逆流させることはできない」と、読売らしい明確な意思を示すものの、
いささかセンチメンタルで、毒気の少ない社説であった。
しかし、いまや改憲に反対する者は異端だと言わんばかりの独善ぶりには、呆れる。
産経新聞社説は、「まず9条と改正要件の緩和」と題し、これまで憲法が「不磨の大典」でありえたのは、
国会議員の3分の2以上の賛成+国民投票による過半数の支持という改正要件のゆえであり、
これを緩和すべきことは、国民主権を考えれば当たり前だと主張する。また、衆参両院の憲法調査会が示した「多数意見」
について、「憲法が体現する国家像が欠落している」と言う。
さすがに具体的かつ積極的で、いかにも産経らしい。
しかし、改正要件を緩和せよという主張には、私は断固反対する。自民党を中心とする国粋的な意向だけで
事を運ばれるのは、まっぴらである。法律に強制される「国家像」なんてものも、御免被りたい。
今日だからこそ、私は改めて強く主張しておきたい。
「国際貢献」という名にすり替えた「人殺し」を推進することは、いかなる名目においても絶対反対である。
9条が時代に合わなくなったなどとする読売や産経の主張が「進歩的」だという風潮があるとすれば、狂っていると思う。
首相をはじめ、他国の感情を踏みにじっても平然とし、「国の誇り」などと主張する非人間的議員連中の暴走を、
許すわけにはいかない。
毎日新聞社説が強調する
『憲法はそもそも歴史的に独断専行する権力に対する民の防御壁である。
権力を縛り付けるのが目的なのであって、国民側が自らの義務を宣言する性格の法律ではない。
大衆迎合の政治も同じである。大衆のエゴから少数派を守り、あるいはエゴの暴挙による政治から正義を守るのが憲法である。』
という原則を、今こそ確認しておきたい。
また、朝日新聞社説の指摘する『「改憲」イコール「改革」という図式の中では、
「護憲」は「守旧」となりやすい』という昨今の風潮のあやうさを、明確に意識しておきたいと思う。
単純な二律背反で物事を考えることほど、愚かなことはないのである。
さて、今日のワインは、いちおう格付もの。
黒とも言える深い色。杉あるいは桧の香りが、まるで森林浴のよう。その他、
タバコやトリュフなど。
どっしり感のある香りの印象そのままに、アタックもピリッと力強い。タニックで、酸のテンションも高いが、
まだ開ききっていない感じ。まだしばらく時間が要るなあ、と思わせる。
グラスの液体をしばらく空気に触れさせておくと、少し口当たりが丸くなったような気もするが、
相変わらず風味は閉じたまま。でも、確かに潜在力は感じる。
ハーフボトルで入手価格は\1,459(本体価格1,390円+消費税69円)。成城石井阪急三番街店にて。
フルボトル換算で約3,000円だ。
値段を忘れていて、飲んだ印象では2,000円(フルボトル4,000円)以上かな?と思った。
そのくらいの実力はある。
格付ものでは最下級の5級なのだが、こんな値段で入手できて、しかも予想以上のこの実力。
安ワイン者が狙うべきは、こういったクラスかもしれない。
<評定:B>
2005年5月5日 ROUGE
CHATEAU SIRENE 1999 (CRU BOURGEOIS) / SAINT-JULIEN
シャトー・シレーヌ(クリュ・ブルジョワ)/ サン・ジュリアン
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、ST-JULIEN村、AC:ST-JULIEN
魂胆ミエミエの政治家なら対処しやすいが、ignorantな評論家はタチが悪いという典型例。
5月5日付・朝日新聞「憲法総点検インタビュー・下」に、
「まず改憲要件緩和から」と題する山崎正和氏(劇作家)のインタビュー記事があった。読んで、そのお気楽さに、唖然とした。
氏の主張は、「たとえ9条を変えても実態は何も変わらない。なぜなら平和を求める文化は根強いのだから」というものである。
そして、現行憲法の改正発議要件(3分の2以上の国会議員の賛成+国民投票で過半数の支持)で、
国会議員の3分の1以上が反対すれば国民の総意を問えないということになっているのは、
論理的におかしいから、議員の過半数の賛成でいいと主張する。
「論理」という言葉を持ち出すなら、彼の発言の方がよほど非論理的だと私は思う。なぜ3分の2以上だとダメで、過半数ならいいというのか。
改正要件を緩めた瞬間に、戦争ができる国に変えて「誇り」を取り戻したくてウズウズしている議員連中が牙をむくに決まっているのだ。
そして、おバカ発言の最たるものは、次のフレーズだ。
「戦力不保持を定めた9条2項については、長い議論が行われてきた。
条文と現実のずれがここまでくるとやはり美的に格好悪い。いまの『国のかたち』に合わせて条文を矯正すればいい。
条文は変えても実態はいまのままなんですから」
美的に格好悪いとは、これまた笑わせてくれる。条文変えても実態はいまのままって、なんでそんなしょーもないこと・・・
極めつきは、次のセリフだ。
「私たちは、現行憲法のもとで基本的人権を享受し、平和で豊かな生活に慣れてしまった。
いま、他国に攻め込んで人殺しをするなどということには感覚的に耐えられない。
日本政府が侵略戦争を起こそうとしても、今の若者を招集することはできない。
鉄砲持って戦場に行って略奪してこいと命令しても無理です。こういう生活の中に根づいた文化、『国のかたち』こそが、
実は平和の一番大きな防御壁になっている。」
そもそも、侵略戦争ができるように改憲すべしなどという議論は(たとえ心の底で実はそう願っている人が少なくないとしても)
皆無なのである。問題は、自衛のための軍隊の保持、そして集団的自衛権の行使なのである。
「今の若者を招集すること」ができるとか、できないとかではなくて、招集されるときは強引に招集されるのである。
拒否すれば逮捕され、非国民と罵られるのである。そういうことをしてきたのが、この日本なのだ。
山崎氏のこの一連の発言が、イラク派兵に際し「戦争に行くんじゃないんですから」と平然と言い放った二枚舌首相をはじめとする
政治家連中と同様の魂胆に基づくものであるなら、まだマシだと私は考える。
しかし、もし、本当に「今の平和は揺るぎないから、国民が戦争に賛成するはずない」などと、無邪気に信じている
「確信犯」だとするなら、こういうオッサンこそ真に危ないと、思う。
お気楽評論家は引っ込んでろ、といいたい。
もちろん、どんな低次元の発言であっても、こうして場が与えられることは、とても大切なことなのだ。それを忘れてはならない。
さて、今日のワインはメドックのブルジョワ級。
色は少しよどんで、赤黒といった風情。インクや黒豆っぽい香りが強く、結構メルロー比率も高いんだろうかと思う。
酸は決して弱くはないが、甘味がぶ厚く、タンニンも粗い。飲み進めると口中に渋みが蓄積されてゆく。
入手価格\1,880(本体価格1,791円+消費税89円)。カルフール箕面店にて。
これってホントにサン・ジュリアンなの? それどころか、ホントにメドックなの? と思う1本。
南仏か、あるいはボルドーならばpremieres cotesみたいな感じ。
決して内容が悪い訳じゃないが、このAOCにこれは期待しないでしょう、ということで。
<評定:D>
2005年5月7日 BLANC
BOURGOGNE HAUTES COTES DE NUITS "AUX HERBEUX" 2003 / JEAN RIJCKAERT
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ "オー・ゼルブー" / ジャン・リケール
BOURGOGNE地方、COTE DE NUITS地区、AC:BOURGOGNE HAUTES COTES DE NUITS
勇ましい改憲指向の裏にある本音。
ある年配の方と話した時のこと。
最近は男女とも晩婚化が進み、結婚したくないという人も増えている。また、結婚しても家庭に収まりたくないという女性も多い。
女性の社会進出が進んだ結果だろう。反対に、専業主夫願望の若い男性も出てきた。
「これこそが男女平等。いい時代になったと思います。」と私が言ったのに対して、
「男が専業主夫なんて、なげかわしい」と返ってきた。
年配者の意見としては普通だから、ここまでは何も驚かない。だが、その後の言葉は予想外だった。
「早く憲法を変えて、日本の伝統・文化を守るようにしなければいけない」
あっ、そうか! と私は気づいた。
改憲を主張する議員たちが、日本の文化とか、国の誇りを大切に、なんて叫んでる裏には、
こういう意識があるのか。
特に世襲議員なんかは、男として偉大な父や祖父を超えられない。実力社会になってしまうと、女性議員にも先を越されてしまう危険もある。
だから、目立っている女性議員を、徹底的に叩こうとする。田中真紀子氏が毛嫌いされたり(まあ、氏の場合は別の理由もあろうが)、
野田聖子氏が「私は産みたい」と、女性性を前面に出したことに対して、露骨な嫌悪感を向けられたことも、
政治の場を男の論理で貫徹したいと目論む、へっぽこマッチョ議員たちの情けない嫉妬心ゆえであろう。
なぜ男性の専業主夫がいけないのか。女性がバリバリ働いてはいけないのか。
それは、男が男というだけで女より上でないと、彼らは困るからだ。
男である前に、人間として自己主張し、真剣勝負をすべきというのが、私の考え。
それが本当の実力社会だ。人間として勝負できる部分がない輩ほど、男を前面に出したがっているように、私には見える。
私はいわゆるフェミニストではないから、これまで女性が虐げられてきた、男性社会がすべて悪い、
などとする意見には賛同しない。本当の男女平等は、そういった被害者意識から脱却したところにある。
もし共稼ぎで、夫の給料が30万、妻の給料が10万だとしたら、家事は逆比の1:3で分担すべし、というのが私の持論。
100:0なら、当然家事分担比は、逆比の0:100だ。家事を無価値だというのではない。立派な労働だ。
だからこそ、外での労働と同格に扱って、外での貢献度の逆比を取ることが、真の平等なのである。
私は妻に、今の収入を稼いできてくれるなら、いつでも喜んで役割を交代すると言っている。
元々家事は好きだし。
女は家に居ろ、などと言う男性諸君。そんな鼻息の荒いことを言う前に、
掃除や洗濯や料理や裁縫やアイロン掛けが、ちゃんとできるようになってください。それでやっとまともな人間なんだから。
家事もできないのに、男は仕事が命だとか、女は黙ってついてこいなんて、言う権利はありません。100年早いです。
こういう腰抜け男連中が推進する改憲が、好戦的な世の中を作る。だから私は、絶対に今の流れを止めなければいけないと思うのだ。
さて、本題。
e-shopping wineからまとめて5本買ったリケールの03ヴィンテージの4本目。
色は淡いレモンイエロー。はっさくみたいな苦さを伴うオレンジ香と黄色い花のイメージ。
酸のテンションが高く、蜜の甘さもあって、味は肉感的。カスタードやヨーグルトの後味。
このAOCで、これまでこんなに色っぽいワインってあっただろうか。私はそう思う。
決して甘いわけではない。妖艶なルックスの奥に、芯の強さがにじみ出る。これぞリケールのスタイル。
入手価格は\2,180(本体価格2,077円+消費税103円)。
もしやと思い、ご近所さんからお土産に戴いた仙台銘菓「萩の月」(右写真)と合わせてみた。
率直に言ってワインの酸が強すぎるのだが、カスタードのニュアンスが微妙にシンクロして、結構おいしかった。
それにしても、今さらだけども、萩の月って、ホントにおいしいよね。おいしいもの同士のマリアージュは幸せだ。
<評定:B>
2005年5月9日 ROUGE
YELLOW TAIL SHIRAZ 2004
イエロー・テイル シラーズ
オーストラリア
JRを責め立てることが、正義だと勘違いしている皆さんへ。
JR西日本の列車事故をめぐるニュースで、事故当日、乗り合わせた運転士が救助に加わらず出勤したとか、
ボーリング大会をやっていたとか、議員と飲み会をやっていたとか、韓国旅行に行っていたとか、
どうでもいいようなことばかり、喧伝されている。
もちろん、事故車両に乗り合わせた職員は、当然救助活動に加わるべきだと私も思うし、
そういう教育が徹底されていなかったことは、大きな問題ではあると思う。
だが今、そんなことばかりをあげつらって、JRを批判することが、どれほどの意味を持つのか、
マスコミはいったいどう考えているのだろう。
この事故に関するTV番組で、今コメンテーターに求められているのは、「JRは、けしからん」
「JRの企業体質がこの事故を生んだ」「官僚体質の抜けきっていないJR」という意見を述べることだけのようだ。
そうやって、図体ばかり巨大なJR、偉そうなJR・・
を責め立てて、溜飲を下げることが、一番の目的になってしまっている。
こういう風潮を見ていると、最近の日本社会ってのは、弱った羊を見つけたら皆で寄ってたかって、これでもか、これでもかと石を投げつけて、
「お前は絶対悪だ」というレッテルを貼ることに情熱を燃やす単細胞集団に成り下がっているようだ。
JRの企業体質は、確かに問題かもしれない。だが、それだからといって、世界一正確といわれる緻密なダイヤと、
他国の鉄道に比べれば圧倒的に事故が少なかったこれまでの実績のすべてが否定されるべきではない。
これまでの何が良くて、何が問題だったのか。それを分析しない限り、事故再発防止策は立てられない。
こんなことを言うと、「お前は遺族の悲しみがわからないのか」「非人道的なことを言うな」
という単細胞な反論がありそうだが、そういう輩は放っておこう。
JRを責め立てるだけで「正義」ぶっている評論家こそ、被害者の名を借りて自分が気持ちよくなっているだけなのだ。
さて、今日のワインは、安ワイン者の原点に立ち返ったような1本。
近所のスーパーで898円(本体価格856円+消費税42円)にてgetした大衆向けワイン。
まるで液体がドロっとしているんじゃないかと思えるほどの濃い色。いかにもオーストラリアのシラーズだ。
香りは、インクのような、おしろいのような、漢方薬のような、墨汁のような・・。ストレートで、単調。
口に含んだ瞬間から、わかりやすい甘みと適度な酸があり、最後まで表情を変えない。いくら飲んでも単調で、
時間が経っても多分風味を損なうだけだと思うので、ごくごく飲み干すべきワインだろう。でも、それもちょっと辛いのだけど。
なんだか悪く書いてしまったが、この値段ということを考えれば、頭ごなしにけなすことはできない。
渋みもそこそこだし、気軽にオーストラリアの奔放さを味わうにはいい。煮込み料理に使ってもいいだろう。
でも、率直に言って、もうちょっと何か工夫が欲しかったかな。
<評定:D>
2005年5月11日 ROUGE
CHIROUBLES 2003 / PHILIPPE PACALET
シルーブル / フィリップ・パカレ
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:CHIROUBLES (CRU BEAUJOLAIS)
みずぼらしいぞ。
JR西日本の事故以来、乗務員を狙った嫌がらせ行為が相次いでいるという。
「人殺し」などという暴言を吐かれるだけでなく、ジュースの缶が投げつけられたり、足首を蹴られたりといった事件も発生している。
言うまでもなく、これらはれっきとした傷害行為(刑法犯)である。いかなる理由、原因があろうとも、
許される行為ではない。
一昨日も書いたが、今、JRを責め立てることが、良識であるかのようなおかしな風潮が起こっている。
まさに、この国の病んだ状況が現れている。
自ら「不機嫌」を抱え込んだ人たちは、その感情のはけ口を常に探している。そして、攻撃相手を見つけるやいなや、
まるでサンドバッグであるかのように、ボコボコに叩き続ける。
相手が罪を犯した者である限り、大手を振って糾弾することができるから。
本当にレベルが低いなあ、薄汚いなあと私は思う。このような行為は、自分の不機嫌を、弱者にぶつけて溜飲を下げているだけの
みすぼらしい行為だ。
その昔、某新興宗教団体が、凄惨なテロ行為を行って多くの死傷者が出た事件で、
元教祖や幹部に対して、したり顔で「彼らに人権なんてないんですから」などと言い放った記者や、コメンテーターがいた。
いつの時代も必ずそういう輩が現れるのだが、最も問題だと思うのは、
それを容認する風潮が出現するだけでなく、ややもすると、
それに異を唱える人間が悪であるかのような意見がまかり通ってしまうことだ。
JR職員に罵声を浴びせる人々は、自分は善良な市民で、正しいことをしているのだという
自覚があるのかもしれない。だが、それは大きな勘違いであることを知るべきである。
そういう精神構造(悪者を責め立て、切り捨てることが正義だと真剣に思う幼稚さ)こそが、
社会のゆがみを助長しているのだ。
「お前はJRを擁護するのか」という彼らの声が聞こえてきそうだが、
もう少し頭を使いなさい、と返答しよう。
さて、今日のワインは、近所のディスカウント酒店(ciel江坂店)で偶然みつけたP.パカレのクリュ・ボージョレ。
少し錆が混じったかのようにくすんだルビー色。香りは、いちごやクランベリーに、
若干のゴム香。
酸が豊かで、その奥にフルーティな甘み。しばらく口に含んでいると、その甘みがすーっと伸びる感じ。タンニンはシルクのようにきめ細かい。
飲めば飲むほど華やかで軽やかな味わいが実感され、
もう一口を誘う。キュッとした酸が後を締めるので、嫌みがない。
入手価格は\2,458(本体価格2,458円+消費税122円)。
このAOCらしい繊細さを持ちながら、しっかりした果実味がある。さすがの内容だが、
値段もそれ相応。
<評定:C>
2005年5月12日 BLANC
BOURGOGNE CHARDONNAY 2002 / ROPITEAU
ブルゴーニュ・シャルドネ / ロピトー
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE
備えあれば、憂いなし?? 備えるから、憂いが生まれるってことが、なんでわからないのかねえ・・。
日米政府が、日本有事の際の共同作戦計画や、周辺事態での相互協力計画の策定作業に入ることを決め、
来月にも具体的に着手するという。
要は、小泉政権お得意の米国そして米軍への"こびへつらい"外交の一環だ。ただ、これは日米2国間だけの問題ではない。
中台紛争への対応も視野に入っているとなれば、中国への更なる挑発ともなりかねない。
どこまでアジアを敵に回したら気が済むのか、今の政府は、と思う。こういう姿勢が、反日感情を煽っていることがわからないのだろうか。
否、わかってやっているのだ。
今の政府は、わざとアジア諸国の感情を逆撫でし、反日運動を誘い、日本国内に保守的、国粋的ムードを盛り上げ、
一気に憲法改正に持ってゆきたい、という真意があるかのようだ。まったく薄汚い。
TVで有名な舛添議員などがよく言っているが、「有事への備えというと、すぐ拒絶反応を示す人がいるけれども、
それではダメだ。別に戦争をするんじゃなくて、戦争をしないために、ちゃんと議論をする必要がある。」という意見がある。
それに同調する一般人も多いことだろう。だが、私はそれに、明確にNOと言っておきたい。
こういう動きが、不要な軋轢を生み、世界をきな臭く変えてゆく。真の叡智とは、有事にどう国民を守るかの備えをすることでは決してなく、
いかにして摩擦や誤解をなくし、相互理解を構築するかという方向に尽力することである。
教育基本法に、「国を愛する」と書くか、「国を大切に」と書くかなどという、とても大の大人とは思えない、
どうでもいい議論を続けている代議士たち。自民党の暴走を止める力になっているという意味で、公明党の存在意義は認めるが、
それなら、「愛する」とか、そんなくだらない表現そのものを抹消するように、主張しなさい。
自国を愛して、その上で周辺事態に備えるという行動は、どう考えたって、他国を敵に回したい、友好関係を踏みにじりたい、
と考えているようにしか見えない。
「自国を愛せないようでは、他国も愛せない」などという自民党議員が多いが、それはまったくの詭弁。
自国愛を強調するところから、偏狭なナショナリズムは育つのだ。
こうやって「現実」を少しずつ変え、「現実」にそぐわなくなったから憲法を変える、などという汚いやり方に、
私は断固反対する。
さて、今日の本題は、安ワイン者らしいチョイス。
色はしっかりめのレモンイエロー。柑橘香は尖りがなく、ベビーパウダーや梨、白い花のイメージがあって、丸っこい。
味わいも甘みがしっかりめで、オイリー。初夏の草原のようなカラッとしたハーブ香が、清々しい。
アフターには適度な苦味も。
入手価格\1,890(本体価格1,800円+消費税90円)。大阪梅田の阪神百貨店にて。
試飲をして、納得の上、買ったもの。この値段のこのAOCに求められる水準を、クリアしている。
<評定:C+>
2005年5月14日 BLANC
PULIGNY-MONTRACHET 2001 / OLIVIER LEFLAIVE
ピュリニー・モンラッシェ / オリヴィエ・ルフレーヴ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、PULIGNY村、AC:PULIGNY-MONTRACHET
ププッ・・昭和の日だってよ。そんなくだらん手まで使ってくるとは。
4月29日をみどりの日から「昭和の日」へ、5月4日を国民の祝日から「みどりの日」へと変える法律が、成立した。
もちろん、戦後の復興、経済的発展を経て、日本が先進国としての地位を不動にしたという意味で、
昭和は国民生活にとって意義深い時代であるということに、異論はない。だが、なぜ今わざわざ「昭和の日」なのか。
その裏に潜む政治家たちの巧妙な意図には、私はとても腹立たしく思う。
昭和という元号が、アジアの人たちにどのように受け止められるのか。
他者を思いやる気持ちがもし少しでもあるなら、そんな人の神経を逆撫でするようなことはしない。
たかが休日の名前と、思ってはならない。こういう生活に根ざしたところから、
自分たちの所業を無批判的に肯定させる土壌を作るようなことは、
いつの世にも国民の思想を誘導したい為政者が取る常套手段なのだ。
それにしても、こんな小技まで繰り出してくる現政権のやり方は、もう笑止千万と言うほかない。
さて、今日のワインは、ちょっとだけ良さそうに聞こえるAOC。
色はしっかりめのイエロー。淡いゴールドともいえる。
ナッツ、梨、白い花などの香り。
酸のアタック(オレンジ的)が強く、そのあと甘みがじんわり広がり、乳酸っぽいふくらみもある。
アフターにほんのりハーブ香も。シャルドネの魅力満載。
フレッシュでキュートな印象。
全体的に体型がスリムなのは、この造り手の特徴だと思う。
ネットでe-shopping wineから\3,480(本体価格3,315円+消費税165円)で購入。
このAOCで、この程度の値段だから、多くを望めないのはわかっている。
だが、やはり3,000円以上出したのだから、もうちょっとだけ何か魅力が欲しい。
<評定:C−>
2005年5月15日 ROUGE
CHATEAU LA CABANNE 1997 / POMEROL
シャトー・ラ・カバンヌ / ポムロール
BORDEAUX地方、POMEROL地区、AC:POMEROL
草の根からの意識改革を。
日テレ系の日曜夜8時から「A」という番組がある。
TVに復帰した久米宏氏が司会陣の中心となり、
アジア各国の若者などの普通の生活を紹介する、テンポの緩い番組なのだが、
私はとても注目している。「A」というのは、ASIAのAだ。
番組の内容自体は、とりたてて目新しいものはない。
しかし、裏に潜むであろう意図に、大きく共感するのだ。
最近、当日記で私が再三書いているように、日本とアジア諸国との関係が、
険悪な方向に向かっている。それは、まるでそれを望むかのような政治家連中の策略なのだと
私は思うのだが、
最も問題なのは、いとも簡単にそんな流れに付和雷同してしまう大衆の無知だ。
そんな時代に必要なのは、草の根からの意識改革である。
隣国の人々の実態を知り、共感すること。その中から、親しみや尊敬の念が自然に沸いてくる。
久米氏のこの番組は、そんな大衆レベルからの国際交流を促進しようという、
大きな、しかし静かな意志を、内に秘めていると思うのだ。
こういう番組、大歓迎である。
本日のワインは、久々のポムロール。
色はちょうど飲み頃を迎えているかのようなガーネットで、エッジは少しオレンジ。
土や枯草の落ち着いた香り+少し鉄っぽい。甘みも酸もおとなしく、ともすると痩せた感じに思えるが、
なめらかなタンニンと、なぜか昆布ダシみたいなじんわりとした旨みは、
メルローの良さを伝えてくれている。
入手価格は\1,349(本体価格1,285円+消費税64円)。成城石井阪急三番街店にて。
フルボトル換算で2,500円強だが、かなりお得感がある。ちょうど飲み頃だったか。
<評定:B>
2005年5月19日 BLANC
ARBOIS "EN CHANTE MERLE" CHARDONNAY VIEILLES VIGNES 2003 / JEAN RIJCKAERT
アルボワ "アン・シャント・メルル" シャルドネ ヴィエイユ・ヴィーニュ / ジャン・リケール
JURA地方、ARBOIS地区、AC:ARBOIS
けじめをつけるって、どういうこと?
事故を起こしたJR西日本の取締役相談役、会長、社長の3人が、揃って辞任の意向を示したという。
特に会長は、「これだけの事故だから、けじめをつけないといけない」と、事故直後から語っていたらしい。
不祥事が起きると、経営責任者が退陣するというのは、この日本ではありふれた出来事なのだが、
私はこれに大きな違和感を持っている。
けじめをつけるとは、一体どういうことなのだろう。要職を退けば、責任を取ったことになるのだろうか。
今JRに求められているのは、一にも二にも再発防止策の確立である。犠牲者の遺族も、それを強く望んでいるだろう。
事件や事故が起こると、「辞めろ、辞めろ」の大合唱を起こす世論の側にも大いに問題がある。
要するに、大会社の重役という身分が妬ましいから、ここぞとばかり「けしからん、辞めろ」と言っているだけなんだろう。
そんな貧乏人根性は、百害あって一利なしである。
首脳が退陣することそれ自体には、何の意味もないということを、忘れてはならない。
さて、今日のワインは、5本まとめて買ったリケールの最後の1本。
色はしっかりめのイエローグリーン。香りはほんのりヘーゼルナッツやピスタチオ。その下に黄色い花やヨーグルトあるいはマヨネーズ。
若さがありながら、濃厚な香りだ。
口に含んだ瞬間に感じる酸は丸いが、口中でぐんぐん伸びる。クリームのような甘みもあって、ぶ厚い味わい。
そのわりに、くどさはない。
ネットでe-shopping wineから \2,300(本体価格2,191円+消費税109円)で入手。
これだけ高いテンションを保ったシャルドネが、ジュラで造られているという、驚き。
確かにブルゴーニュとは様相が違うが、この個性はなかなかのもの。
<評定:B>
2005年5月22日 ROUGE
ISLA DE MAIPO ENIGMA PINOT NOIR RESERVA 1999 / SANTA INES
イスラ・デ・マイポ エニグマ ピノ・ノワール リゼルヴァ / サンタ・イネス
チリ、DO:CASABLANCA VALLEY
嗚呼、72歳のガキ。
20日の金曜日。東京都の石原知事が、沖ノ鳥島を視察した。
なんと泳ぎまで披露。立派なパフォーマンスだった。
沖ノ鳥島とは、日本の最南端とされている島で、行政区画上は東京都に属する。
満潮時には、ほんの少しだけ海面上に姿を現しており、国際法上は立派に島と認められている。
これを中国は、島ではなく岩だとして、排他的経済水域を主張する日本を非難している。
そこで、石原サマ(=中国のことが徹頭徹尾嫌いで、日本が一番エライと思っている王様)のお出ましである。
上陸したとき「なんだか戦争気分になってきた。これでシナの潜水艦でも出てくれば面白い」
などと、息巻いていた。
あんたはゲームに熱中してる小学生か。そうやって勇ましそうな態度を取れば取るほど、
おこちゃまであることが露呈する。清原選手の言葉を借りれば、さしずめ
「○○の穴のちっちゃいヤツ。○○○○付いとんのか?」って感じ。
そんな態度が、何一つ問題を解決しないばかりか、単にケンカを売っているだけで、
気持ちいいのは、やっている本人だけだということが、わからないのだろうか。わからないんだろうね。
オレってカッコいいだろ?イケてるだろ?太陽の季節だろ?と、鼻が高いんだろうな・・。
まあ、とりあえず、指さして笑っときましょうかね。
さて、本題。今日のワインは、チリ・ピノ。
99ヴィンテージなのに、既に熟成したような色。全体的に褐色がかって、エッジは特に枯れた色。
赤い果実、黒い果実、火薬、血(鉄)、ゴムなど、風格のあるピノの香り。
キュッとした酸の導入部のあと、凝縮感のある果実味が。血の味もし、ややワイルドだが、
タンニンはなめらかになっている。ほんのりとした甘みも心地よい。
明らかにブルゴーニュのピノとは違う。だからこそ、評価できる。これぞ上質なチリ・ピノのお手本と言える。
入手価格\1,890(本体価格1,800円+消費税90円)。成城石井阪急三番街店にて。
この値段にして、真髄を見せてもらった思いがする。ブルゴーニュを想像すると、何なんだこれは?と思ってしまうかもしれない。
だが、そういう判断は間違いだろう。
<評定:B>
2005年5月28日 BLANC
ESTATE GOICHI 龍眼樽醗酵 2003 / 五一わいん
エステートゴイチ
日本、長野県塩尻市大字宗賀1298-170 (株)林農園
安倍晋三さん、我が世の春ですな。
安倍さんいわく、靖国参拝は、首相の責務だそうである。次の首相も、その次の首相もずっと参拝して欲しいそうである。
その辺で酒飲んでくだを巻いてるオッサンみたいだな。家に帰れば奥さんに頭が上がらないから、
せめて勇ましいことを言って、オレは男だってとこを必至になって誇示してる肝っ玉のちっちゃいオヤジね。
国のために命を落とした人たちに感謝の誠を捧げて何が悪い?なんて発言は、
安っぽい論理のすり替えだからね。そういう次元の話をしてるんじゃないってことが、ホントにわかってないとしたら、
正真正銘のバカですから。
人(隣国の国民)を不快にして、わざといさかいを起こして、それが「国の誇り」だなんて言うしか能のない国粋主義代議士。
自分のやってること、恥ずかしくないですか。
あ、そうか。次の首相って・・自分がなりたいという意思表示だったのね。ハイハイ。
さて、今日は久々国産ワイン。
色はほとんどなく、日本酒程度。
洋なし、白い花、おしろいなどが混じった香りで、とっても個性的。
たとえて言えば、洋なしジュースにベビーパウダーをたくさん混ぜて、上からグレープフルーツを搾ってガラスクリーナーを混ぜたみたいな香りだ(そんなの飲めないが)。
この種の匂い、めったに嗅ぐことはないのだが、よく考えてみたら、ハンガリーのフルミント種の辛口が、
確かこんな香りじゃなかったかと思い出した。
時間が経つと、ナッツのはじけた感じと、樽のクリスピーな感じが少し出て来た。
グレープフルーツ的な酸がキュート。花の蜜を吸ったような青臭さと甘さがある。
ただ、くせのあるハーブ香が飲み進むほどに蓄積されて、好き嫌いは大きく分かれそう。
入手価格\1,289(本体価格1,228円+消費税61円)。成城石井阪急三番街店にて。
この値段で、これだけおもしろい国産ワインが入手できるとは、お得感がある。
龍眼種(善光寺ぶどうのことらしい)というのは私は初体験なので、
うまく個性が出ているのか否か本当はわからないというのが、正直なところ。
今日は、鯛の塩焼をメインとした純和食だったので、これをぶつけてみたが、ぴったりだった。
五一わいんは、実にたくさんの製品を出しているが、私は今回初めて購入した。
<評定:C+>
2005年5月29日 BLANC
MONTHELIE 2002 / DOMAINE DENIS BOUSSEY
モンテリー / ドニ・ブセイ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、MONTHELIE村、AC:MONTHELIE
べつにプロジェクトXだけの問題じゃないと思うぞ。
NHK「プロジェクトX」で放送された内容につき、
取り上げられた大阪府の高校の関係者から抗議が寄せられた問題で、
NHKは、
「行き過ぎた表現や事実確認が不十分な点があり、関係者に迷惑を掛け申し訳ない」と、
改めて謝罪をしたという。
プロジェクトXと言えば、「親が子供に見せたい番組」No.1だという、
世に言う「優良番組」。だからこそ、今回の問題は、大きく報道される結果となった。
NHKをまったく見ない私としては、プロジェクトXに関しては、世評でしか知らない。
まあ、こういった真面目ぶった感動物語みたいなものは、はっきり言って胡散臭いから、私の好みではない。
そもそもTVに限らずマスコミなんてものは、放送や報道の内容にはバイアスが当然かかっているし、
少なからぬ脚色があるのは当たり前である。
問題なのは、「TVは公正で、清廉で、嘘がない」などと思っている視聴者の方だ。
インターネットもそうだが、世にあふれる情報というのは、すべて文字や映像などに加工した人間の「主観」が
映し出されているものだ。
だからこそ、色んな立場からの色んな主張がそっくりそのまま流されるべきなのだし、
受け手にこそ情報選別能力が求められるものなのだ。
たかがTV番組なんかに「教養」を求めるのは、止めませんか。
さて、今日のワインは、週末スペシャル。ちょっと日常レベルを超える白。
色は、濃いめのイエローグリーン。
ナッティーでインパクトの強い香り。フレッシュな柑橘香と、奥行き深い樽香も。
酸が豊かで、キュートな飲み口だが、そのあとクリーミーな甘さが広がる。
この味わいの厚みは、さすがに村名クラスと言える。
ただ、フレッシュでありながら適度に妖艶な味わいという点は評価するが、
もっと深みとか力強さも欲しい気がする。
入手価格\3,864(本体価格3,680+消費税184円)。阪神百貨店にて。
中身に不満があるわけではないが、この値段はかなり高い感じがする。
<評定:D>
2005年5月30日 ROUGE
SANTENAY 1999 / DOMAINE LUCIEN MUZARD
サントネイ / リュシアン・ミュザール
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、SANTENAY村、AC:SANTENAY
プライバシーを犠牲にしてまで護るべき「住民の便益」などない。
住基ネットはプライバシー権を侵害しているとして、石川県内の28人が国や県などを相手取って、
自分たちの情報の削除と慰謝料の支払を求めていた訴訟で、金沢地裁は、
「住基ネットからの離脱を求めている原告らの情報をネット上で利用することは、プライバシー権の保護を保障した憲法13条に違反する」
との判断を示した。
判決は、次のようなことを述べている。
・住基ネットは住民らの自己情報コントロール権を侵害している
・住基ネットの目的は、被告らによれば、「住民の便益」と「行政事務の効率化」にあるが、
「住民の便益」もプライバシーも、いずれも個人的利益であり、どちらの利益を優先して選択するかは、
各個人が自ら決定すべきものであるから、行政において、便益の価値のほうが高いとして、住民に押しつけることはできない
・「行政事務の効率化」は、正当な行政目的であるが、住基ネットが住民のプライバシー権を犠牲にしてまで達成させるべき必要性があるとは認められない
・原告らの個人情報の通知、保存、提供を差し止めることで行政事務の遂行上、特段の不都合が生じない限り、
プライバシー権に基づく原告らの主張を認めるべきである
私は、国家権力が国民を一方的に統制しようとするすべての試みに反対であるが、特に、
「国民の利益」などという概念を理由にして、個人情報を横流し可能な状態で一元管理しようとする住基ネットは一層タチが悪く、
当初から反対している。今回の裁判所の判断には、全面的に賛成である。
たぶん、住基ネットに賛成し、今回の判決に不快感を示す人たちは、次のように言うであろう。
「こんな個人のわがままを許すと、統制が取れなくなり、国益を損なう。
もっと公共心や国を思う気持ちを育て、利己主義を撲滅しなくてはならない」と。
あるいはもっと遠回しな言い方で、「国民の利益を増進する制度に、なぜ反対するのか。国会で審議され決まった法律を反故にする行為は、
法治国家を破綻させる。こんなことで電子政府化が頓挫すると、行財政改革などできない。IT先進国にもなれず、
日本は国際社会で笑いものになる・・」など。
そんな感じで書くかもしれないね、どこかの新聞が。
ちなみに、言うまでもないことだが、国民がプライバシー保護を訴えることは、利己主義の発露などではない。
むしろ住基ネットのような不当な押しつけは、国家という本来無人格な機構の「利己的」行動である。
国家のために国民がいるのではなく、国民のために国という箱があるという当たり前のことを、再確認したい。
なお今回は地裁判決であるから、国側は控訴するであろう。今後の動向も、注視したい。
さて、本日登場は、昨日の白に続き、ブルゴーニュの村名クラスの赤。
色は深いルビー。黒っぽいベリー香や皮革のほか、コーヒーの焦げ臭、紅茶の茶葉みたいな香りも感じる。
とても落ち着いていて、どっしり感がある。この香りだけで、かなりのポテンシャルを感じる。
酸のアタックも強いが、そのあとにほんのりとした甘み。タンニンも結構しっかりめ。
豊かな果実味が、口の中ではじけ、ぴちぴちした酸と相まって、優雅なバランスを作っている。
いくらで買ったのか忘れてしまったが、たぶん2,500円くらいだったかな?と思い、
それなら十分にお買得だったなあ、と思った。
ところが、実際の入手価格を、取ってあったレシートで確認すると、1,000円ほど安かった。
びっくりである。
入手価格\1,575(本体価格1,500円+消費税75円)。阪神百貨店にて。
倍以上の値段でも、まったく文句はない。もちろん、凝縮感にはやや欠けるが、
そもそも高級ワインなんかじゃないんだし、これ以上を望むべくもない。
この値段で、こんなに高貴でしっかり感のあるピノに出会えたなんて、久々の感動。
まさに安ワイン者冥利に尽きる1本。
<評定:A+>
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