時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2006年11月


2006年11月2日
 こんなに卑怯で幼稚な手が、使われていたなんて。

 青森県八戸市で文科相を招いて開かれた政府主催の「タウンミーティング」で、 内閣府が事前に県教委を通じて参加者に「質問依頼」を行っていた事実が発覚した。

 事前に参加者に、「早く教育基本法を改正してもらって、教育のあり方をしっかりと見直してもらいたい」 などと発言するよう指示していたという。国会で共産党議員の指摘によって、明らかになった。
 これについて内閣府は、事実関係を認めた。
 しかもやり口は巧妙で、質問者には「あくまでも自分の意見であることを強調し、 依頼されたとか、言わされたなどとは決して言わないように」などと、釘を刺してもいたという。

 阿部首相は、「タウンミーティングは忌憚のない意見を交わす場であり、 そのようなことがあってはならない」とのコメントをしたが、当然である。

 テレ朝系の報道ステーションでは大々的に取り上げていたが、 もっと多くのメディアが積極的に取り上げるべき事件であると、私は考える。

 青森県教委は、「文科相が来るのに、質問が出なかったら失礼にあたるからと、 事前に相談をしたため」であると述べているが、 手口の巧妙さを見るにつけ、その発言の白々しさがわかるというもの。 こんな嘘つき連中が、教育を議論しているなんて、怒りに震える思いである。

 今、政府は、必死になって教育基本法を変えようとしているのだが、 こんな形で草の根から「言論統制」をしようとするのなら、 到底許されることではない。

 少年犯罪や、教育現場の荒廃が問題となっているが、 その元凶は、こういう「ウソ」を大人が率先してついているところにあるのだ。 大人が薄汚いことを平気でしているのだから、子供を指導できるはずがない。
 こういう行為を平気でする政治家とか官僚を一掃しなければ、 子供の躾などできるはずがない。教育改革は、そこから手を付けなくてはいけないだろう。

 「愛国心」を必死で法律に盛り込もうとしている大人たちは、せいぜいこんな卑怯なタマなのだ。 この事実を、もっともっと広く知らしめるべきである。 というか、軽く受け流されてはいけない、重大なる犯罪だと私は思う。

2006年11月14日
 タウンミーティング続報。

 小泉内閣時代に開かれたタウンミーティング全174回のうち、半数近くの会で、 事前に質問者を決めて依頼する「サクラ」が用意されていたという。内閣府の調べで発覚した。
 今さら、内閣府の「調べ」というのもおかしいが、事実を認めたことは、潔いと言えるだろう。 首相が替わった後だから、事実を公表した、ということだろう。
 しかも、もっと問題なのは、質問者に「謝礼」が払われていたらしいこと。国民の税金だぞ。 そんなことに使うな。

 市民の意見を聞くふりだけして、その実、言論誘導が行われているようなタウンミーティングなど、 百害あって一利なしである。

 折しも、教育基本法が変えられようとしている状況下で、 もしこの事件の真相究明を意図的に遅らせようとする力が働くようなら、 自民党政権は破滅に向かうだろう。

 最近の学校でのいじめ事件や、子供の自殺の話題に触れ、 「この状況をなんとかするためにも、教育基本法を早く改正する必要がある」と、 中川幹事長は発言していた。まったく馬鹿げた発言だ。
 教育基本法を改正すれば、いじめは減るのか。 いじめが多発するのは、教育基本法が悪いのか。 まったく関係ない、と私は断言する。

 問題は子供社会ではなく、大人社会なのだ。大人が弱い者いじめを平気でしているじゃないか。 政治家連中を中心とした、弱者を平気で切り捨てるような態度が改まらない限り、 教育現場は良くならない。
 愛国心を法律に盛り込んだらいじめがなくなるなんて、本気で思っているとしたら、 オツムがおめでたい、としか言いようがない。国民をなめるのも、いい加減にしなさい。

2006年11月16日
 急ぐ裏には理由がある。

 教育基本法改正案が、衆院で与党だけの強行採決。
 なぜ今、そんなに急いで変えたいのか。今一気にやってしまわないと、 できなくなると思っているからではないか。短命と思われる安倍政権の間に、 自分たちの勝手な「思い」を実現してしまおうというタカ派連中の焦りの態度のようにも見える。 そう考えると、哀れなようにも思えてくるが・・。

 私は、今回の改正案そのものにももちろん反対だが、 こんなやり方を、絶対に認めない。
 野党は共闘の構えのようだが、ぜひ、徹底抗戦していただきたい。
 タウンミーティングでのやらせを重ねた上での、この暴挙。 まったく馬鹿げている。政治も地に落ちたものだ。

2006年11月17日
 相乗効果を期待したいが。

 キリンビールがメルシャン株の公開買い付け(TOB)を行って、子会社化すると発表した。 現在メルシャンの筆頭株主である味の素も、キリンのTOBに賛同の意向であるという。
 ワイン事業をメルシャンに集約し、焼酎・チューハイ等をキリンに集約して合理化、体質の強化を図り、 「国内最強の総合酒類グループ」を目指したいとのこと。

 両社製品のヘビーユーザーの1人である私が一番ホッとしたのは、 メルシャンの社名やブランド名はそのまま残す予定だということ。
 昨今、様々な業界で起こっている強者が弱者を飲み込んで寡占化する 流れは決して好ましいことではないが、 従来のブランドを消さないで守っていただき、何よりも消費者の希望する製品が存続されるのならば、 歓迎したい。メルシャン製の缶チューハイが好きな私としては、特にそう思う。


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