時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2007年6月


2007年6月1日
 国民をなめてるのか


 社会保険庁改革関連法案と年金時効特例法案が、衆議院で強行採決された。 続いて参院本会議で審議入りさせ、6月中旬成立をめざすという。

 TV番組のコメンテーターなども言っているが、 年金の「救済」という政治家の言い方自体がおかしい。 社保庁の不始末がすべての原因なのだから、救済などではなく、 国民に対する補償と言うべきだろう。

 5月31日付け「安倍内閣メールマガジン第31号」では、 この年金問題に触れ、首相は、 「私の内閣においては、年金の「払い損」は絶対に発生させません。」などと書いている。
 一見、国民に対する大きなアピールのようにも見えるが、 これは言い換えれば、「これから新たに、同様の不始末は起こしません」と言っているのに過ぎない。
 そんなに当たり前のことを、さも自信ありげに言うな、と申し上げたい。

 同メールマガジンの中で、宙に浮いた約5000万件の年金記録につき、 「これらについて、徹底的にチェックを進め、1年以内に全記録の名寄せを完了させます。」とも述べているが、 実に無責任な発言ではないだろうか。

 もし1年で、5000万件全部の突合をしようとすれば、いったいどれだけの作業量になるか。
 仮に土日と祝日と、年末年始の数日だけ休み、年に240日働くとすると、 50,000,000件 / 240日 = 208,333件 となり、1日あたり20万件以上をこなさなくてはならない。 1日8時間労働として、208,333件 / 8時間 = 26,042件 となり、1時間あたり約26,000件処理しなくてはならない。
 端末が何台あるのか知らないが、1件の処理時間が平均1分としても、 これをこなすためには、常時434人の人員が同時に作業することが必要となる(26,042件 / 60分 = 434件)のだ。

 もちろんこれは、1日ずっと同じ作業効率で黙々と続けられるという、現実離れした想定なのだが、 こうやって計算してみるだけでも、およそ不可能に近い数値であることが分かる。

 しかも、もっと問題なのは、この経費がいったいどこから出るのかだ。 首相は明言していないが、もし「年金保険料」を充てるつもりなんて話なら、 絶対に許されることではない。

 もちろん、税金を充てることも許されない。

 社保庁職員の給与をカットして、これに充てるべきである。

 不祥事が起きたら、自分たちの身を削って顧客の利益を回復すべきなのは、 民間企業ではごく当たり前の話である。

 その前にすべきことは、いったい誰のどのような不始末によって、 こんな事態を招いたのかをキッチリと国民に説明し、 関係者を処分した後に、体制を一新することだろう。

 そんな説明責任すら果たしていない段階で、ただ法律だけを通してしまおうという姿勢は、 実に国民をバカにした話であり、到底容認できるものではない。 元々サイテーな安倍内閣も、ついに落ちるところまで落ちたものである。

 皆さん、こんな政権が続くことが、何かわずかでも我々のためになるとでも、 まだお思いですか?

 私はこの怒りを早く、選挙にぶつけたい。

2007年6月8日
 事態はここまで進んでいる


 陸上自衛隊が、イラク派遣に批判的な団体や個人などに関する情報を集めていたという。

 有名なところでは、映画監督の山田洋次氏が、 イラク派遣応援運動に対して批判的な意見を述べたとして、チェックされていた。 また、ある写真家は、反戦を主張する内容の写真展を開いたとしてリストアップされていたという。

 もっとひどい話では、自衛隊演習場の射撃訓練の騒音に対して苦情電話をかけた 近隣住民が、「反自活動」(反自衛隊活動)としてマークされていたらしい。

 こんな話を聞くと、もう既に「戦前」が始まっているのだと、恐ろしくなる。 こんな文章を書いている私も、マークされてもおかしくないだろう(笑)。

 まるで、反戦を唱える人間は危険人物であると言わんばかりの暴挙。開いた口がふさがらない。 もし、自衛隊のこんな行動が「常識」だなどというのなら、 そんな国は狂った国である。改めて思うが、安倍首相の言う「美しい国」とは、 やはり戦争を賛美する国であるらしい。

 こんな馬鹿げた状況を続けさせてはならない。政治を180度変えなければならない。 その思いを、強くした。

2007年6月30日
 安倍政権も、ついに末期か


 長崎県出身である久間防衛大臣が、千葉県の大学での講演の中で、 長崎への原爆投下について、 「本当に悲惨な目に遭ったが、 あれで戦争が終わったのだと、そういう頭の整理で今、しようがないなと思っている」 などと発言した。

 原爆容認とも取れるこの発言に対し、もちろん野党側は一斉に非難の声を上げている。 何より被爆地の人たちからは、激しい憤りの声が上がっている。 当然のことだろう。

 本人の真意としては、あの原爆がソ連の参戦を阻止したのであり、 戦争を止めるための選択肢としてあり得ることなのかなという意味だと説明している。

 だが、始めてしまった戦争を終結するための選択肢として仕方なかったという説明は、 説得力があるだろうか。

 よく、「過去の歴史を現在の基準で断罪するな」という人たちがいる。 今回の久間氏の発言も、同類の発言である。 しかし、始まってしまったのだから なんとかして終わらせなければならなかったという発想は、 始めてしまったこと自体の責任を問うていないという点において、 実はまったく無責任な発言である。

 おそらく、戦争を始めてしまったことも、 「仕方なかった」で片付けるのかもしれない。こういう人たちは。 そこを問題にしなければいけないのに。

 原爆が落とされて膨大な人たちが犠牲になった歴史上最悪の出来事を、 「選択肢」などという言葉で整理しようという、その感覚を、私は許せない。 大臣の資格、いや議員の資格すらないと思う。

 折しも、選挙を前に、多くの法案を強行採決までして成果らしいものを見せようと 与党が躍起になっている時に、この発言は致命的とも言える。

 そもそも数の暴力で一方的に法案を通そうというやり方で、 しかも選挙日程を後ろにずらすという姑息な手段まで使うことが、 どんどん自らを窮地に追い込んでいるということに、安倍総理は気づかないのだろうか。

 でももし、この期に及んで参院選で自民党を勝たせるような国民だったら、 もう本当にこの国は終わりだと、私は思う。そんなバカなことはないと、信じたいが。


 HOME  利酒日記のメニューページへ  前月の時事ネタコラム  翌月の時事ネタコラム
 このページは、K氏の葡萄酒的日常利酒日記の別室で、WEBマスターが時事問題などについて、 勝手気ままに書き綴るページです。
 抗議のメールなどは一切受け付けていませんので、あしからず。