時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2008年7月


2008年7月1日
 叩きやすいところから叩くという風潮、改めませんか


 コンビニの24時間営業を見直すべきだという意見が出始めているという。 エネルギー多消費型のライフスタイルを見直す時期に来ているという主張である。

 この件に関して、私の意見をまず述べるとするならば、 「そのような規制を一律に行うべきではない」ということである。

 昨年行われた経済産業省と環境省の合同審議会でも、コンビニに対し、 「痛みを伴いながらCO2削減に取り組む担い手になるべきだ」という意見が出たらしいが、 受けて立つ日本フランチャイズチェーン協会によると、 営業時間を短縮したとしても、閉店中にも冷蔵庫は動き続けるし、 深夜配送できなくなることからトラックが渋滞に巻き込まれ、むしろ排出量が増えることも懸念され、 エネルギーの削減効果は微々たるものだという。

 エコを巡っては、官も民もただのポーズが多く、 「地球にやさしい」振りをすることによって、世間の点数を稼ごうという思惑がみえみえだ。

 規制推進派からは、「そもそも24時間営業のニーズなどあるのか」 といった声が出ているようだが、それに対してコンビニ側は、 「ニーズがなく、採算も合わないところでは、そもそも24時間営業などやらない」 と言っている。どっちが説得力があるだろうか。 私は、コンビニ側の意見がもっともだと思う。

 省エネを進めるべきことに異論はないが、 本当にエネルギー消費を抑えたいのなら、 公共交通機関の発達している都市部では、個人の乗用車保有など全面禁止してしまえばいい (もちろん、車しか移動手段のない人は除く)。 交通事故犠牲者も減らすことができるし、一石二鳥である。 ところが、そういった意見は出ない。

 だいたい、CO2が地球温暖化の原因だなどと、 科学的に証明されているわけではない。 にもかかわらず、CO2削減に努力することイコール絶対善みたいに なってしまっていることは、滑稽である。

 地球の歴史では、温暖期と寒冷期が繰り返し訪れているし、 温暖化とCO2量の因果関係は、実は逆かもしれないという説もあるのに (つまり、温暖期になると結果的にCO2が増えているだけかもしれない)、 そういった説は黙殺されている。 どちらも仮説に過ぎないという点では、まったく同じなのに、である。

 地球環境を第一に考えるのならば、そもそも人類の繁栄自体が「悪」なのだから、 近代化とか、経済成長をめざすこと自体が、誤りなのである。

 経済成長は大事、でも環境は守りたいという論理自体に矛盾がある。 経済成長を捨てても、エネルギー消費を抑えたいという国民的コンセンサスが得られるのなら、 特定の業界だけをねらい打ちするのではなく、 すべての業界において、業務時間の短縮に自主的に務めるべきではないだろうか。

2008年7月26日
 国産品崇拝は、選択肢を狭める


 産地偽装事件をきっかけに、最近、うなぎの値段が高騰している。
 外国産が嫌われ、国産うなぎの値段が昨年と比べて何割も上がっているという。

 先日TVを見ていたら、国内産、中国産、台湾産と蒲焼きを並べて、 街行く人たちに、どれがおいしいか食べ比べてもらうということをやっていた。
 結果は、ほぼ人気が三分されていたのだが、 中国産や台湾産を最もおいしいと答えた人に、国産でないことを告げると、 「え〜、どうして!?」と、まるで自分の味覚が間違っているかのようなリアクションをしていた。

 なぜ、国産が一番おいしいと感じなくてはいけないのだろう。
 中国産や台湾産をおいしいと言った人は、まるで自分がグルメではないことをバラしてしまったかのように、 恥ずかしそうにしていたが、とっても滑稽だと私は思った。

 当サイトでアルコール飲料について再三言っているが、 自分がおいしいと思うものが、自分にとって一番良いものである。 値段の高いものや、皆が良いというものを、 おいしいと感じなければいけないなんてことはない。

 もし、
 中国産は安心できない → 中国産がおいしいはずがない → 中国産をおいしいと言ったら恥ずかしい
 などと感じ、
 国産を選ぶべき → 国産をおいしいと感じるのが正しい
 と考えるとしたら、それは「食の偏向的国粋主義」とでも呼ぶべきものだろう。

 上記TV番組では、最後に鰻屋(蒲焼屋)さんが出て、 「我々は味で選ぶので、産地にはこだわらない。 特に台湾産は脂の乗りもちょうどよくて、おいしいと思いますよ」と答えていた。

 これこそ、プロの真っ当な意見であろう。

 悪しき国産品崇拝は、値段を不当につり上げることになるばかりか、 食の豊かな世界を自ら狭めているということを、自覚すべきである。

 ただ、人間は小さい頃から食べ慣れた味をおいしいと感じるものであるから、 比率として国産品をおいしいと感じる人が多いというのも事実であろう。

 大切なのは、自分の舌で選ぶことであり、くれぐれも他者の味覚をおかしいと言ったり、 バカにしたりしてはいけない。

 私は大阪在住だが、関西人の中には、関東の醤油文化を「塩辛いだけ」と言ったり、 名古屋の豆味噌文化を「あんなもの信じられない」とまで言ったりする人もあるが、 そう言う人は、「私は味覚が貧困です」と主張しているに等しいので、 やめたほうがいいですよ。


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