時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2009年3月


2009年3月19日
 もう12年。まだ12年。


 一人息子が小学校を卒業した。

 朝から卒業式に出席し、担任の先生(男、三十そこそこのお歳)がボロボロ泣いているのを見て、こっちも泣けてきたり。

 小学校の卒業式といえば、昔から、 卒業生が6年間の思い出を長いセリフにして、皆でフレーズごとに分担して語る芝居のような出し物?がある。

 さすがに「関西だな」と思ったのは、そんな感動的なシーンの中にも、必ず「笑い」を入れていること。 東日本の出身である私には、一種のカルチャーショックだった。

 『1年生の思い出。一生懸命覚えた、九九。
 さんいち が、 さん。 さんに が、 ろく。 さざん が、 く。
 さんし・・ いらっしゃ〜い!

 爆笑というか、失笑であったが。

 そんな面白おかしい卒業式を終え、校庭で皆で写真をとったりした。
 息子のクラスの担任の先生(男、三十そこそこのお歳)はとても人気者で、子供たちに囲まれていた。 小学校の先生というのは、ある意味特殊な職業で、なんだかとてもうらやましい気がした。
 私も非常勤で教壇に立つ仕事をしているが、相手は大学生だったり、社会人だったりするので、 ある程度ドライなお付き合いであり、だからこそ小学校の先生をうらやましく思うのだ。

 息子が初めて世間に出たのは、1歳半の保育園入園の時だ。 こんなに小さいときから、なぜ外に預けなきゃいけないの?と、私の母(息子の祖母)から 苦言を呈されたりもした。
 妻が仕事をしたい、というのもあったが、 私は、我が子が生まれたときから、一日も早く世間の風に当たらせるべきだと考えていた。 早く自立心を芽生えさせること。それが、一番大事だと考えたからだ。

 その甲斐があってのことかどうかはわからないが、小さい頃から大人びた考え方をする子になった。

 親に対しても堂々と意見する人間。しかも感情的な文句ではなく、理路整然と自分の意志を伝えられる 人間になってほしい。それが、息子にずっと望んできたことだ。
 「親の言うことは黙って聞け」なんて父親も、世間にはいるようだけれど、 そんな親にだけは、なりたくない。私は、一日も早く、息子にこてんぱんに論破されたい と思っている。

 2週間とちょっとたつと、今度は中学の入学式。
 4年生の頃から塾に通い、なんとか受験を乗り切ってくれた。自分で選んだ中学校だ (いや、塾に勧められ、親に強制されたのだと、本人は言うかもしれない)。 この経験で、また一段階大人に近づいたと思う。

 お父ちゃんにできるのは、簡単な英語の勉強を教えることと、学費を払い続けることくらいです。 まだ12歳だから、少なくともあと10年は、続くんだね。

2009年3月31日
 真の名店とは


 息子が小学校を卒業したことは先日書いたが、今日は小学生の身分としての最後の日ということで、 私は仕事を放り投げて、二人で名古屋まで日帰り小旅行をした。

 当サイト内に特別コーナーを設けているように、4年前に愛知万博に行って以来、 すっかり名古屋好きになったというか、あの時の思い出をまだ引きずっているので、 我が家ではあれ以来、何度も名古屋に遊びに行っている。

 昨年は受験でほとんど出掛けられなかったのだが、2ヶ月ほど前に試験が終わって新学期から通う中学も決まり、 ようやく自由の身となった。実は週末(28,29日)に家族3人で南紀白浜まで行ってきたばかりなのだが、 この時期を逃すまいと、中1日で出掛けることにした。 今日は、子供料金が適用される最後の日でもあるし。

 小旅行といっても、名古屋は大阪から新幹線で1時間未満。あっという間である。

 今日の一番の目的は、久しぶりにおいしい"ひつまぶし"を食べること。 もちろん日中は色々と遊び回って、 夕食にひつまぶしを食べて帰ってこようという計画。
 久しぶりに食べるといっても、私自身は、昨年仕事関係で3度ほど名古屋に行き、その都度食べている。 よって、息子を2年ぶりに連れて行ってやることが、主目的である (ちなみに妻は「私はもういい」ということで不参加)。たった一人で何度も行っている罪滅ぼしでもある。

 ひつまぶしとは、ご承知のとおり、うなぎの蒲焼きを小さく切って、お櫃(ひつ)に入ったご飯の上に 乗せてあるもの。薬味を乗せたり、最後はお茶を掛けたりして食すのである。

 昨年秋に私が一人で食べて感動した「まるや本店」というところにした。 3店舗ほどあるようだが、一番足の便の良い
名駅店(名鉄百貨店9階) に寄った。

 ここのうなぎは、適度なさくさく感とふんわり感が共存していて、 香ばしい口当たりと、もっちりとした食べ応えがある。脂っこくもなく、カリカリし過ぎず、中庸である。

 他の有名店と比較すると、例えば「あつた蓬莱軒」は、 脂がやや多く、もちもち感の強い味わい。 栄にある「いば昇」は カリカリになるまで焼いて脂を落としていて、独特の食感。 その両者の良さが合わさった感じが、「まるや」の魅力だと私は思っている。

 そして、味以上に特筆すべきなのは、接客態度である。

 名店といわれるところは、ともすると尊大な態度を取りがちな店が少なくない。 尊大とは言わないまでも、忙しいために客への接し方がぞんざいになりがちである。

 ところが「まるや」は違う。常に全体に目を配っているし、注文を取るときなど、 ひざまずくように頭の位置を低くして注文を聞いている。何より感動したのは、 客が1組帰るたびに、空いたテーブルの上だけでなく、 足元の床まで(床に手をついて)拭いていることだ。 最高の状態で食べていただこうというその配慮には恐れ入る。

 世に多い「おいしければ文句はないだろう」という態度の店を私は評価しない。 いや、そういう店を嫌悪すらする。どんなに味が良くても、店内が汚かったり、 接客態度がなっていない店など、論外である。

 真のホスピタリティが感じられる店こそ、名店と呼ばれるのにふさわしいのである。
**********
 今日は朝8時に家を出て、夜9時過ぎに帰ってきた。日帰りの強行軍だったが、疲れは感じなかった。 子供がいつまで親についてきてくれるか。それを考えると、これからも頻繁に出掛けたいと思う。


 HOME  利酒日記のメニューページへ  前月の時事ネタコラム  翌月の時事ネタコラム
 このページは、K氏の葡萄酒的日常利酒日記の別室で、WEBマスターが時事問題などについて、 勝手気ままに書き綴るページです。
 建設的な反論等はwelcomeですが、一方的な抗議のメールなどは受け付けておりません。あしからず。