時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2010年12月


2010年12月9日
 謝罪を要求する社会


 暴力をふるわれ、怪我をさせられたはずなのに、 出てきて謝罪し、無期限謹慎。しかも、配偶者まで出てきて、謝罪をする。 その真意は、どこにあるのだろう。

 一方的に相手が悪いのなら、謝るのは不自然だ。 自分にも非があるというのだろうか。それならば、いい。謹慎するなり何なりして、 責任を取るがいい。

 しかし、この国には、「世間をお騒がせして申し訳ありません」という 謝罪の方法がある。私が常日頃、おかしいと思っていることだ。今回の歌舞伎界のプリンスも それだったとするなら、そんな謝り方をする必要はない。

 なぜ、世間を騒がせたら謝らなければならないのだろう。 それはつまり、世間の「和」を乱すということが、この国においては、重罪に値するからだ。

 あまりにも非論理的である。

 さらにたちが悪いのは、自分には何も関係がないのに、 「とにかく謝れ」と、謝罪を要求する人が多いこと。そんなに人に謝らせたいのか。 そんなに人に跪かせたいのか。そんなに人を低く見たいのか。

 政治家の失言問題でもそうだが、言ってはいけないことを言ったのなら、 単に謝って済む問題ではない。即刻、職を辞するべきなのである(※)。

 ※前法務大臣が、その例。自己に与えられた職務そのものを軽んずるような発言をする人物に、 大臣は任せられない。一方、自衛隊を「暴力装置」と言った官房長官の発言は、学術的には何ら問題ない にもかかわらず、単に野党が揚げ足を取っただけである。 主権国家を、「合法的な暴力の独占」と位置づけたマックス・ウェーバーの言説をひいているだけであり、 自衛隊のみならず、警察も「暴力装置」であることは、明らかである。
 相手が謝ることで溜飲を下げる人たちが多いとしたら、なんとひねくれた、卑屈な社会なんだろう。

 謝るだけで、何か事態が変わりますか?と、問いたい。



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