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2011年8月


2011年8月15日
 非科学的な態度は改めよう


 昨日、妻がスーパーで桃を買ってきたところ、 福島県産と山梨県産とで、倍くらいの値段の違いがあったという。 迷わず安いほうの福島県産を買ってきたとのことで、早速いただいた。

 それが実に絶品で、私がこれまで食べた桃の中でも、一番と言えるくらい、甘美で味わい深いものだった。

 妻曰く、おそらく本来ならお使いもの(贈答品)として売られるような高級品を、 投げ売りしていたのではないかとのこと。おいしい桃を食しながら、非常に複雑な心境になってしまった。

 出荷されている農産物については、もちろんしっかりと検査が行われ、安全が確認されているはずである。 にもかかわらず、多くの人が購入をためらうことで、値段が暴落する。 そのちょっとしたためらいが、被災地の方々を更に苦しめているという事実に、思いを致すべきである。

 我が家では、震災以後、米を買う時はネットで、福島県のお店に注文している。 それまでは、近所のスーパーで新潟県産こしひかりを買っていたのだが、 今食べている福島県産ひとめぼれも非常にクオリティの高いお米で、たいへん満足している。

 こんなことで被災地のお手伝いになるなどと偉そうに言えることではないし、そもそもこんなところに 書くべきことでもないだろうが、あえて書くのは、福島と聞いただけで敬遠する人が少なからずいるので、 そういう非科学的な態度を改めてほしいと思うからである。

 そもそも、放射性物質とは何なのか、どんな種類のものがあるのか、なぜ危険なのかといったことを、 ほとんど何の勉強もしないで、ただ感情的に怖がっている人がほとんどではないか。

 こう書くと、オマエは原発推進論者なのか?と言われそうだが、 私は、原子力に頼るエネルギー政策は、もう完全に破綻したと思っている。 未だに経済に対する悪影響を言いつのり、十分な電力供給ができなければ企業は海外に逃げるぞなどと、 脅しまがいの発言をする人もいるのは、呆れるばかりである。そういう連中こそ、断罪されるべきである。 原発が止まったことで今夏電力不足に陥っているのは、原発に頼らなければならない体制を、 これまで意図的に築き上げてきたからにすぎないのだ。

 国民全体の幸福にとって何が必要で、何が不要か。今こそ冷静に考えなくてはいけないし、 肯定/否定といった二元論に問題を矮小化してはならない。また、 科学的根拠なく無闇に怖がったり、ましてや被災地の方々を傷つけるような行動をとってはならない。

 人がいて、経済があるという優先順位を、間違えてはならない。

 おいしい桃を食べながら、そんなことを考えた。

 


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