時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2013年3月


2013年3月22日
 景気は気。だから危ういことが起こる。


 アベノミクスとやらでカネがだぶついてきているらしい。 まだ本格的にマネーサプライを増やす政策が大々的に実行されたわけでもないのに。

 そのだぶついているらしいカネが不動産に回って、地価に上昇圧力が掛かっているとの喧伝に、 マスコミは一生懸命だ。圧力が掛かっているのは政治からマスコミにではないか?といいたくなるが。

 確かにリーマン・ショック前のミニバブルの頃に様相は似てきている。 一儲けしようと企んでいる者達は、今が勝負どころなのだろう。

 良くなる、良くなる、という気持ちでカネを出せるのは、マネーゲームに長けた者だけである。

 ミニバブルが再現され、カネが経済全体に回ってくれれば、等しく国民に恩恵がいく。 だが、バブルはしょせんバブルである。というか、また愚かなことを繰り返すのか。 バブル期待が愚かということすら、人々は忘れてしまっているのだろうか。

 マネーゲームに興ずる余裕のある者達が小儲けして、 冷静になってみたら足元の実体経済はぜんぜん良くなってない、ということに気づいたら、 バブルは消える。

 結局、一時的に物価だけが上がって、持たざる者の生活だけが苦しくなるという結末になる公算が高い。

 それでもあなたは、「土地の値が上がるのはいいこと」なんて、喜びますか。


2013年3月23日
 足かけ10年。ようやく実現。

 ポイント収集が趣味で、なおかつ鉄道好きである私にとって、今日はかなり歴史的に重要な日であった。

 ニュース等で報道されているように、交通系ICカード(非接触型IC乗車券)の10種 (kitaca,Suica,PASMO,toica,manaca,ICOCA,PiTaPa,SUGOCA,nimoca,はやかけん)相互利用が、 本日2013年3月23日から始まった。

 2001年にJR東日本のSuicaが誕生し、その後2003年に登場したJR西日本のICOCAとの相互利用が2004年に実現。 以来、両エリアではいずれのIC乗車券も使用できる環境にあった。

 関西在住の私にとって、関西圏の民鉄が導入しているPiTaPaと、 JR東日本のSuicaの相互利用を一日も早く開始してほしいというのが、長らくの望みであった。

 実は、SuicaとICOCAの相互利用が開始された2004年に、 既に『「Suica」・「ICOCA」・「PiTaPa」の相互利用を進めます』 との発表がなされ、2005年度以降のサービス開始を目指すとも宣言されていた。

 確かに2005年度以降だが、2013年にまでなってしまうとは、想定外であった。 一部には、もうSuicaとPiTaPaの相互利用は実現しないのではないか?とする意見まであった。

 その後、全国各地にIC乗車券が普及し、今般SuicaとPiTaPaを含む10種の相互利用が実現したわけだが、 基本的にすべてSONYの開発したFelicaの技術を使っているわけで、物理的な意味で統合は決して難しいものでは なかったはずだ。

 関西在住でありながら、JR東日本のVIEWカードを持ち、モバイルSuicaを利用している私は、 関西圏の私鉄でもSuicaが利用できる日を待ち望んでいた。

 本日23日、JR西日本から発売された、相互利用記念ICOCAを入手するため、朝の5時台に自宅最寄駅から地下鉄に乗り、 JR駅まで買いに行ってきた。8時販売開始のため、2時間強行列に並んで、無事購入することができた (1人当たりの上限である5枚購入してきた)。その際、地下鉄(PiTaPaエリア)乗車に、早速モバイルSuicaを利用したわけだが、 ようやく実現したか、という感慨があった。

 あとは、不便が解消されないまま残っている、エリア境界をまたぐ利用が一日も早くできるように、 改善をお願いしたい(親の住む実家が、この犠牲者になったままなので)。 「JR複数社統合はデータ量が膨大だから難しい」との意見をよく見るが、全部を統合してほしいなんて、言っていない。 乗客の流動数の多い、会社境界付近の一定エリアだけ、両方のICカードの重複エリアとして設定してもらえれば、 済むことなのだ。それができないのは、ひとえにJR会社間の不仲(特に東日本と東海)によるとしか、思えない。

 これが実現しない限り、会社境界付近の駅での乗り越し精算の列が減ることはないだろう。

 本来、こんなにたくさんのIC乗車券が乱立してしまったこと自体が、間違いだった。 こういうものは、国の主導で1本化すべきものなのである。


2013年3月28日
 横暴にも程がある。


 とんでもない話が進行している。

 労働契約法第16条を見直して、労働者に金銭を支払うことによって解雇をしやすくしようという 検討がなされている。

第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、 その権利を濫用したものとして、無効とする。

 安倍政権の成長戦略づくりを担う産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)において、民間議員が、 解雇を原則自由にするよう法改正を求め、お金を払って解雇できるルールづくりを提言したという。
 「人材力強化・雇用制度改革」をテーマにした分科会で、主査の長谷川経済同友会代表幹事 (武田薬品工業社長)が提案したことらしいが、この会議の首謀者は、言うまでもなくあの竹中某である。

 小泉政権のときにやりたくて結局実現できなかったことを、今度こそやってしまいたい ということなのだろう。この会議のメンバーには、先日いち早く「給料増やす」と明言した コンビニ大手L社の社長や、ネット界の成り上がりにしてプロ野球団を持ってしまったR社の社長 なども名を連ねている。 L社が先導して給料増やすなんて姿勢を打ち出した真意が、よくわかるというものだ。 「もうすぐ首切りをしやすくしてやるから、その前に追い銭代わりに今の社員にボーナスでも弾んであげてね」 と、首相との間でハナシがついていたとしても、不思議ではない。

 雇用の流動化を促すというのが大義名分のようだが、なぜ首切りをしやすくすると雇用の流動化が実現するのか がわからない。見え透いた論理のすり替えに過ぎないと思う。 真に流動化を促したいなら、新しい産業を育てる下地をつくることが先決。それをせずに首切りを断行すれば、 失業者があふれるだけである。

 カネを払えば首切りできるとなると、不当な解雇が増えるに決まっている。 いや、不当だなどといわれないために、法律を書き換えてしまえということだ。 不当であっても首切り自由の世の中にするのが、彼らの狙いだ。

 生産性の低い社員に辞めてもらうことで、企業の競争力を高める必要があるなどというセリフは、 専門家ヅラしたコメンテーターなどの口からも聞かれることだが、 そもそも首切りをしなければならない事態に陥らせた経営者の責任をどう考えているのか。

 忙しい時は気軽に人を雇い、暇になったら気軽に切りたい。それが彼らの本音である。 そうすれば会社に利益が出ることは明らかなのだから。

 優秀な経営者とは、先を見据えて人材採用をし、社員の雇用を守りながら利益を上げる 会社をつくり上げられる人ではないのか。もし、会社の危機となれば、まず自らの身を切る (役員報酬を返上し、必要なら役員数を減らす)ことから始めるべきではないのか。 それができないのに、リストラで業績回復なんて、偉そうに言えることか、と思う。

 安倍政権も経済界の犬であることがはっきりした。

 新自由主義者、市場原理主義者たちが大好きなフレーズを、そっくりそのまま彼らに返してあげよう。

 無能な経営者こそ、市場から退出すべきだ。

 会社が儲からないと、雇用が維持できず、結局失業者が増える。だから会社が利益を出すために、リストラが必要といった 常套句にだまされてはいけない。経営の失敗は言うに及ばず、 経済環境などを理由に儲けを出せないというのも、経営者の能力不足なのである。 すべての責任を負う覚悟がなければ、経営者になんかなってはいけない。

 私は、組織に属さず一人で働くフリーランスだが、言い方を変えれば、人を雇う能力もない経営者である。 だが、家族の生活がすべて私の働きに掛かっているわけで、自分の稼ぎの少なさはすべて自分の能力不足のゆえなのだから、 何かのせいにしたり、ずるいことや汚いことをしたり、何かに犠牲になってもらってまで儲けようとはゆめゆめ思わない。 それが、吹けば飛ぶような一介の経営者としてのプライドである。



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