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2014年10月


2014年10月25日
 企業努力を何だと思っているのか


 政府・与党は、ビール系飲料の税率について、 現在ビール、発泡酒、新ジャンルの間でついている差を縮めるべく、 ビールの税率を下げ、新ジャンルの税率を上げる方針を明らかにした。

 そもそもはビールの税率が高すぎるということで、 メーカー各社が知恵をしぼり、技術をみがくことで、税率の低い発泡酒や新ジャンルの 分野で新製品を展開し、売上を伸ばしてきた。 当初は品質的に満足のゆく製品は少なかったが、徐々に品質水準は向上し、 多くの消費者の支持を得てきた。 それはまさに企業努力といえるもので、日本のメーカーの技術力の高さを示している。

 私は、当サイトで発泡酒や新ジャンルに対して、常に厳しい意見を 述べてきたが、ビールと比べてしまうと品質的に劣ることは、いかんともしがたい事実ではある。 だが、価格を抑え、その価格に見合った満足感を与えてくれるからこそ、 多くの消費者に受け入れられたのもまた事実である。 その企業努力を否定する気などはまったくないし、 品質だけで物が売れるわけではないという現実も認識している。

 この税率変更の方針に関し、自民党税制調査会の幹部は、こう説明したという。
 「『税が安いから商品開発に力を入れる』というのは、健全な企業努力とはいえない。」

 努力を重ねて品質を高め、やっと売れ行きを伸ばした末に、 『売れているから税率を上げてしまえ』というのでは、まさに企業はやってられない。 国の横暴は怖い。なんて言い草なのか、と思う。

 現在の与党の経済政策には、ぶれない一つの方針があるように見える。 それは、低収入・低消費の層を優遇しても経済全般にあまりインパクトを与えないから、 その層からはできるだけ召し上げ、その分でたくさん使ってくれる高収入・高消費層を優遇 しようということだ。 あまりにも一般庶民をなめた、暴君的政策ではないか。

 国の政策的株価操作(P.K.O.=Price Keeping Operation)でさも景気が良さそうに演出し、 金融緩和と円安誘導で物価上昇を招いてデフレ脱却を謳っても、 足元の経済は実は悪くなるばかり。スーパーなど、庶民の生活に直結する流通業の苦境をみれば、 実質所得が減っている多くの人々が追い込まれている実態が浮き彫りになる。

 メーカー各社のこれまでの努力を足蹴にし、物言えぬ庶民をさらに苦しめる このような政策に対し、当サイトは明確に「反対」の声を上げたいと思う。



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