時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2015年09月


2015年9月2日
 嬉々として悪者叩きをする社会


 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの使用を取り下げることを、 大会組織委員会が決定した。一般国民の理解が得られなくなった、というのがその理由のようである。

 ここ最近は、このニュースで持ちきりといった感じだが、 巷では、制作者佐野研二郎氏に対するバッシングがひどいことになっている。

 エンブレムの使用イメージとして氏が提出した画像が、他人のサイトからの無断転用だったという 事実は致命的であり、この点だけでも、確かに公式エンブレムとして使用することは不適当だと 判断されても仕方ないところである。

 だが、問題は、今回のエンブレムやその原案とされたものが、他者の考案したデザインに似ている という指摘に留まらず、佐野氏の作成した他の作品まで、あれに似ている、これに似ていると、 悪事探しのような行為が蔓延していることである。

(注:サントリー社の懸賞品におけるデザイン盗用は明確な「黒」であり、 あれについては擁護の余地はない)

 五輪エンブレムに限らず、デザインの世界では、インパクトの強いものとするために ムダを削ぎ落としてシンプルなものにしてゆくと、必然的に他に似たものが出来上がってしまうことが 多々あるという。 アルファベットがモチーフになった今回の作品のようなものに対しては、 それこそ意地悪く、似たようなものを探せば、必ず世界のどこかに類似デザインがみつかってしまうことだろう。

 最近では、もう佐野氏の作品はすべて他者の模倣だと言わんばかりの言いがかりが ネット上などでは横行しており、とにかく彼は悪いヤツだと決めつけたい人たちであふれているように見える。

 まるで、弱った羊をみつけたら、皆で寄ってたかって攻撃し、死に追い詰めることが あたかも「正義」であるかのような風潮。そんな悪趣味が、今この国に蔓延している。

 そして、私のような主張をする人間に対しては、「お前は佐野を擁護するのか」 といった罵声が浴びせられるのかもしれない。

 私は佐野氏の擁護もしないし、だからといって嬉々として叩くこともしない。

 おそらく、デザイナー佐野氏の力で自然と大きくなってしまった事務所が、まるで会社の体を為しておらず、 代表者本人が忙しすぎて、スタッフの仕事をチェックする体制もちゃんとできていない。 スタッフたちも膨大な仕事を日々こなす中で、つい楽をする方法を考えてしまう。 どんどん仕上げてゆかなければ、事務所が回ってゆかない。 そのあげくに、こういった大事故が起こってしまった。 たぶん、そういったところではないだろうか。

 そうやって個人事務所が大きくなって、危険なことを繰り返している例は、少なからずある。 私はそのような拡大志向を忌み嫌うタチだから、感情的にはそういう"プロ"が好きではないし、 プロと言ってはいけないとすら思う。しかし・・・。

 プレゼンテーション方法の一部に不正があった。そのことは重大で、責められるべき事ではあるが、 だからといって佐野氏の仕事を全否定して正義漢を気取る人が多い今の風潮は、やはりおかしいと思う。


2015年9月13日
 あなたは4000円でプライバシーを売り渡しますか


 2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際の負担軽減策として、軽減税率の導入ではなく、 食料品等について後日2%分を還付する制度を財務省が検討していると報じられた。

 その際、マイナンバー制度導入で希望者に配布される「マイナンバーカード」を活用し、 購入額に応じたポイントを蓄積することで、後日払いすぎた税金が還付されるという。 また、その還付金の上限のめどとして、年間1人当たり4000円を検討しているという。

 このニュースを聞いた瞬間、とんでもないことを考えついたものだと呆れたが、 案の定、早速各方面から批判の声、呆れる声が上がっている。

 これを日本型軽減税率などと言い募っていることも滑稽だが、 さも国民の要望に応えるかのごときポーズの裏で、マイナンバーカードまで普及させてしまおうという、 非常に狡猾な案だといえる。与党公明党議員の中にも、とんでもないという声が上がっているらしいが、 それは当然のことだろう。

 そもそも私は、マイナンバーカードのようなものを受け取るつもりはないし、 年間たった4000円(夫婦2人分でも8000円)で、買い物履歴というプライバシーを国に売るつもりはない。 いや、年間数万円返してくれるといっても、拒否しようと思う。 その分、消費を減らせばいいだけだ。

 買い物のたびにカードを提示し、その履歴が国に蓄積され、それで返ってくるのがたったの4000円だなんて、 「それなら軽減税率なんてもういい」と、国民に言ってもらうための作戦ではないか。そう勘ぐりたくなる。

 品目ごとに違う税率を設定すると事業者に負担がかかるから導入が難しいというが、 その負担を消費者に押しつけてしまえばいいという、単にそういう話であって、到底受け入れられるものではない。

 実際、すべての小売店等に読み取り端末を設置することにも無理がある。 マイナンバーカードを一度に全国民の人数分用意できるとも思えない。 まったく問題の多すぎる案なのだ。

 財務省の役人が考えた案をベースに与党は検討を始めるというが、さすが官僚様王国を容認する自公政権 である。公明党も、与党にしがみついているのであれば、本来の軽減税率導入を強硬に主張し続けるべきであろう。 安保問題もそうだが、こんなことばかりしていると、 公明党は支持母体からも、無党派層からも、完全にそっぽを向かれるのは必至である。


2015年9月14日
 酒税に関する当サイトの立場


 財務省は、現在麦芽使用比率によって税率を変えているビール類について、 すべて税率を統一するという案を検討しているようであるが、 私はこの案に反対である。

 そもそも麦芽使用比率を抑えた発泡酒や新ジャンルと呼ばれるビール系飲料は、 高い税率のビールが売れなくなって、それを何とか売ろうというビール業界の苦肉の策というか、 努力によって生まれたものである。当初は品質の低いものが多かったが、その後の商品開発競争を経て、 飛躍的に品質も向上し、売上を伸ばしてきた。

 たくさん売れているのなら、そこからたくさん税金を取ろうという財務省の魂胆は、 これまでのビールメーカー各社の努力を無にするものであり、極めて狡猾かつ失礼な態度と言える。

 品質の高い、よりコストのかかっている商品にはより高い税金をかけるという現在の規定は、 嗜好品たるアルコール飲料には適した思想であるように、私は思う。 嗜好品とは言っても、1本100円台の新ジャンルや発泡酒は、今や庶民の毎日の生活に溶け込んでいるものであり、 そこを狙って増税することは、国民生活に与えるインパクトが大きすぎる。 だから、より高い商品の税率をもっと上げるべきで、安い商品の税率は据え置くべきだ。

 私は自他共に認めるワイン好きだが、ワインの税率はもっともっと上げるべきではないかと思っている。 ビール系飲料に比べ、ワインは1本の購入金額が高い。これを定期的に購入する家庭は、 それ相応の収入があるはずである。例えば2000円のワインが2500円になっても、ワイン好きは購入する。 こういう出費をする人たちに、たくさん税金を負担してもらえばいいのである。 いくらトータルでの税収が増えるからと言って、1本たった100円程度のビール系飲料の税率を 上げるなどは、弱い者いじめの最たるものである。

 いっそのこと、高級なワイン、高級なウイスキー、高級な清酒などに限っては、 税率を今の倍に上げても良いように思う。 これは極端な案ではあるものの、こういったお酒は、日々の必需品とは認められないからである。

 一方で、庶民生活の必需品といえる麦芽使用比率の低い新ジャンルや発泡酒については、 現状の税率を維持すべきというのが、私の考え、即ち当サイトの立場である。


2015年9月20日
 ここからが本当の始まり


 一人の狂った独裁者によって、国が壊された。

 妄想に酔い、人の話を聞かない暴挙には、必ず審判が下る。 待っているがいい。

 丁寧に説明を続ける? これまで真摯に説明などしたことがないくせに。 ただ自説を延々と述べ、分からないヤツはバカだと言わんばかりのその態度。 今さら誰が信じるというのか。

 ただバッジをつけている、それだけの存在。 当選させたのが我々なら、退場させることができるのも我々なのだ。

 主権者を、なめたらいかんぜよ。


2015年9月26日
 目くらまし会見になど、騙されない


 連休明けの24日、安倍首相が記者会見を開いた。

 今後の政権運営について「経済最優先」との方針を発表したものだが、 その会見内容が実にひどかった。

 新たな3本の矢として、1.希望を生み出す強い経済、2.夢を紡ぐ子育て支援、3.安心につながる社会保障 というスローガンを示したのだが、まさに絵に描いた餅であって、 それをどう実現してゆくという具体策が、まるでなかった。

 こんな夢物語を語るだけなら、小学生でもできる。

 少子高齢化に対応するため、出生率を上げたい。そのために結婚支援や不妊治療支援もするというのだが、 具体的に何を行い、財源はどうするのか。 社会保障関連では介護支援のため、老人ホームなどの入所待機者対策をするというが、 それも具体的にどうするのか。

 そもそも経済を強くするといっても、これまで単に低金利・円安誘導で輸出企業を利することと、 GPIFの活用&日銀の大幅買入によるミエミエの株価操作によって、見かけ上の好況を演出してきたに過ぎない。 末端の国民にはほとんど関係のないそのような策のみで、さらに消費税を上げればどういうことになるか。 そんな環境で、どうやって今後景気浮揚を図るというのか。

 何も具体策がないのに、このタイミングで会見を開いた意図は明らかである。 「安保のことは忘れてね」ということだ。

 そんな安っぽい芝居に、我々は騙されない。

 違憲の法律を醜い強行採決で通してしまった、その責任は重大である。 この暴挙を、私達はこれからも絶対に、ずっとずっと忘れない。 首相がどんなにごまかそうとも、少なからぬ国民は、怒りに震えているのだ。 この怒りのエネルギーは、増幅することはあっても、収まることは絶対にない。

 今回賛成票を投じたすべての議員たちに責任を取ってもらうべく、 来年の参院選、そして、近い将来に行われるであろう衆院選まで、 何度でも、何度でも、声を上げ続けてゆく。



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