時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2015年10月


2015年10月1日
 「女性が輝く」とは、産むことですか?


 先日、歌手の福山雅治と女優の吹石一恵の結婚が報じられ、各方面に衝撃をもたらしたわけだが、 この報に関し、とんでもない発言をした御仁がいた。

 菅義偉官房長官(自民党)だ。

 出演したテレビ番組で、二人の結婚について意見を求められた際、次のように発言したという。

 「この結婚を機に、世のママさんたちが、 一緒に子どもを産みたいとか、そういうかたちで国家に貢献してくれればいいなと思っています。 たくさん産んでください」

 単にオッサンが本音をポロッと言ってしまった、という一言では片付けられない。 ここに、彼をはじめとする自民党議員たちの本音が正直に現れている。

 まるで結婚をしたら女性は子供を産むのが義務であるかのような発想と、 何より「国家に貢献」という言い草。子供を産むことイコール国家への貢献だという、その思想。

 ここではっきりとしておきたいのは、個人には幸福を追求する権利が日本国憲法で認められており、 結婚も出産もそのひとつ。決して、国家に貢献するために子供を産むのではないということだ。

 国民の生活、幸福をまもるということがすべての基本であり、そのために皆で税金を出し合って、 統治機構としての国をつくっている。だが、自民党議員たちにはそんな常識はないらしい。 常に国家が上であって、国民はそれに奉仕、貢献するための要員だと思っているらしい。 彼らこそが国民の下僕であるはずなのに。

 吹石一恵さん、菅官房長官によると、 あなたは旦那の子供を産むことを義務づけられた「産む機械」らしいですよ。 仕事なんか辞めて、早く国家に貢献して欲しいらしいですよ。

 こんな内閣に、「女性が活躍する社会」なんて、つくれるはずがない。


2015年10月4日
 自民党議員さん、トンチンカンな演説をありがとう


 今日、駅前で地元選出の自民党議員が演説をしていた。

 その突っ込みどころ満載の演説内容もさることながら、 立ち止まって聞いている人は皆無で、みな黙って通り過ぎていた。

 私の住む街は駅前に大きな店舗が集積していて、 休日は近隣市などからも買い物客が訪れるのだが、そんな街のど真ん中で、 聴衆ゼロの状態で行われていた演説。

 私も通りすがりに聞こえてきただけなのだが、 そのあまりにもぶっ飛んだ内容には、呆れるしかなかった。

 安保法制に対して、「一部の憲法学者が違憲だと言っていますが・・」 と大きな声で嘘をついていた。ほとんどすべての憲法学者が違憲と言っているのは、 周知の事実であろう。また、「9条違反、9条違反と言われますが、 憲法は9条までではありません」などと、トンチンカンな言い草。 じゃあ、どの条文に照らしたら、合憲だと言うのだろう。

 まあ、こういうトンデモ議員がいるお陰で、 当地で反自民が増えてくれるならば、それに越したことはない。 だから、感謝すべきかな。

 これから全国各地で違憲訴訟も提起され、来夏の参院選に向け、 外濠が埋められてゆく。

 自公政権の「民主主義破壊行為」は、絶対にこのまま許されるはずはない。 我々はもっともっと声を大きくしてゆこう。


2015年10月16日
 事の異常さを伝えようとしないマスコミ


 沖縄県知事が名護市辺野古周辺の埋立承認取消を行ったのに対し、 防衛省は、取消無効の行政不服審査を、国交相に請求したという。

 県が歯向かうならこちらにも手段がある、と言わんばかりだが、 ニュースなどはこの事実を淡々と伝えるのみで、防衛省のこの行為自体の異常性を どこもしっかりとは報じていない。

 行政不服審査法第1条の条文を見てほしい。

(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、 国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、 簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

 行政不服審査とは、行政庁の不当な行為から、あくまでも「国民の」権利利益をまもることが目的であって、 この条文をどう読んでも、国の機関が地方公共団体の首長の処分に対抗することまでを認めているという解釈など到底できない。 もし、そんなことが許されるなら、国以外の行政機関が行ったことすべてを、国がことごとく否定することが可能となってしまう。 なぜなら、今回のケースのように、A県知事が行った処分に不服のB省大臣が、審査請求をC省大臣といういわば身内に 出すことになり、身内はきっと味方するであろうからである。

 もう、"法的安定性"なんてレベルを超えて、この国が法治国家であることの否定である。 憲法に違反してでも「決めるときは決める」と豪語する内閣にしか、こんな破壊行為はできない。

 この異常性、それこそ国の存立に関わるような重大事件であるのに、伝えようとするメディアは実に少ない。 NHK、日テレ、フジは言うに及ばず、 他のTV局でも、事の重大さをきちんと報道しようとはしないのである。

 立憲主義の危機、なんて生やさしい状況ではもはやない。法による統治そのものを否定しにかかる独裁政権。

 この国をもう一度法治国家、民主主義国家に戻すためには、一日も早くこの政権を終わらせるしかない。


2015年10月27日
 「国のやることに歯向かうな」という独裁政権


 米軍普天間飛行場の移設計画に関し、石井国交相は沖縄県知事による埋立承認取消処分の効力を止めた と発表。これにより、政府は知事に代わって国が埋立承認の代執行手続に着手するとしている。

 知事が埋立承認を取り消したことについて、首相は「違法だ」と述べたというが、 それこそまったく不当な言い分である。

 先日ここにも書いたが、今回の国交相の措置は、防衛省が行った取消無効の「行政不服審査請求」 を受けてのものだが、そもそも国の機関が不服審査請求を行うこと自体が、立法主旨に反する。 違法なことをやっているのは、国のほうなのである。

 こんな横暴がまかり通るなら、国以外の行政機関が行った行為を、国がことごとく否定できる ことになる。何でも政府の思い通りにできるのなら、それはもう法治国家ではない。 そういう法律の破壊、国家そのものの破壊を平気でやってのけるのが、今の政権なのである。 これをクーデターと呼ばずして、何と呼ぼう。

 さらに政府は、辺野古移設を条件付で承認する名護市の3地区に対し、 地域振興費を国が直接支給する旨を表明している。 これはいわば、「国の言うことを聞くなら金をやる。そうでない所にはやらない」という ことである。こんな倫理に反することを平然とやってのける、恥知らずかつ卑劣極まりない 連中が政権に居座る国は、もう民主国家ではない。

 閣僚の不祥事を追求されたくないがために、臨時国会の開催を頑なに拒絶する様子は、 首相を初めとする現政権の卑怯さをよく表している。 これで国民が怒らないとでも思っているのだろうか。いや、怒っても知ったことではないと 考えているのだろう。卑劣さ、ここに極まれりである。



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