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2018年01月


2018年1月15日
 礼を欠くと役職を解任される国


 日本相撲協会が年初に開いた臨時の評議員会で、貴乃花親方の理事解任を全会一致で決議した。 同協会で理事が解任されるのは初めてのことだという。

 評議員会議長の池坊保子氏がインタビューに答えるシーンがTVで大々的に報道されていたが、 その中で、解任の理由として、貴乃花親方が件の暴力問題に関する調査に非協力的だったことを挙げるとともに、 「先輩である八角理事長からの電話に出ないばかりか、折り返し連絡もしないなど、 著しく礼を欠いている」といった主旨の発言をしていた。

 「目上の人間を敬うのは当然で、それができないなら責められて然るべき」などとも述べていたが、 氏のこのような発言が、若者を中心に多くの人の反感を買った。

 世代間ギャップの問題だと簡単に受け止める向きもあるようだが、これは世代の問題ではなく、 この国にはまだ「倫理や道徳や礼」と「ルール」の別をわきまえない老害が幅を利かせていることの証左である。

 私自身のことを言うと、私は社会ではもはやベテランの部類に属する年代で、 組織に属さない自由業ではあるものの、同業仲間には後輩にあたる人たちがたくさんいる。 また、非常勤ながら大学で教壇に立たせて頂いている立場でもあるから、 いわゆる教え子たちもたくさんいる。

 その立場からあえて言わせていただくと、私は「先輩だから敬え」 「教師だから尊敬しろ」などと発言をする大人には絶対になりたくない。 先輩がもし後輩から敬われないとすると、それは敬うに値しない人物だからである。

 もし敬われたいのなら(私はべつに敬われたいなどとは思わないが)、 少しでも後輩たちの模範になるような行動ができているか、先輩風など吹かせず、後輩に対しても礼を尽くしているか、 自らの胸に手を当てて考えてみるべきなのである。

 また、他人に礼を尽くすのは人間として当然のことであるとしても、 そういった礼や道徳、倫理などというものと、制度やルールに基づいた役職などとは、まったく関係がない。 もし、礼を欠く人物が役職者に相応しくないとすると、世間の多くの会社には・・・(やめておきましょう)。

 今回の核心である暴力問題にしても、先輩に対して失礼な態度を取ったなら、 体罰やそれに近いことをされても仕方ない、などと考える人が、実は結構多い。 私はそこにこの国の病巣を見る思いである。

 教育の場における体罰の是非などということが真顔で論じられることがあること自体、どうかしている。 体罰イコール暴力である。そして、暴力は犯罪である。許される余地などないことは明らかである。 礼や道徳などとは次元の違う問題で、一緒に論じられてはならない。

 役職の解任についても同じ。 上司が部下について「あいつの態度が失礼だからクビ」なんてことはあってはならない。 たとえ社長であっても、礼を欠く人間を降格なんて横暴がまかり通るなら、それはまともな会社ではないのだ。

 失礼と感じることがあるのなら、なぜそれが失礼にあたるのか、なぜそれがいけないのか、 それこそ礼を尽くして説明をすることが、教育というものであろう。 上の立場から威嚇したり、権力を振りかざしたりする人間は、軽蔑されて当然なのである。



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