ビール・発泡酒・チューハイの部屋

No.101〜120


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2003年4月3日
No.101 青春チューハイ レモン / サントリー

青春チューハイ レモン  なんてサントリーは売り方がうまいのだろう。
 ネーミングといい、パッケージデザインといい、意表をついたセンスの良さ。それでいて決して奇抜ではなく、 ツボは押さえている。宝酒造なんかにもこのセンスは学んで欲しいと思う。
 さて、肝心の中身。
 香りは、かき氷のレモンシロップのような甘く人工的なレモン・フレーバー。フレッシュさはない。 味わいもかなり甘味が幅をきかせており、酸は丸い。苦味もあまり強くない。
 ガムシロップを後から入れたような、決して強くはないが、少しわざとらしい甘さが鼻につく。 甘ったるくはないだけに、よけいに気になる。"爽やかですっきりした味わい"というふれこみだが、 爽やかでもなく、すっきり感にも乏しい。青春という名前にもそぐわない。
 期待を見事に裏切ってくれた。一般的な消費者受けという点では、タカラ・スキッシュの圧勝である。
 冒頭で褒めておいてナンだが、もう少し看板に偽りのない商品をお願いしたいものだ。


2003年4月4日
No.102 青春チューハイ グレープフルーツ / サントリー

青春チューハイ グレープフルーツ  同じシリーズの今度はグレフル。
 香りは、甘さと苦さが強調された実にお菓子チックなもの。味わいも甘味が中心で、 いかにも作られたフレーバー。レモンと同じように、ガムシロップを加えてわざと甘くしたような、 分離気味の甘味がなんともわざとらしい。
 「グレープフルーツの果肉が入っていますので、フルーティで飲みやすい味わいをお楽しみいただけます」 という表示の通り、確かに飲みやすいが、フルーティというのとはちょっと違う気がする。本物の果実とはほど遠い。 果肉が入っているのは、なかなか良いとは思うが。果汁3%なので、グレフルチューハイとしては、果汁がかなり少ない。
 安っぽいお子様テイストで統一されている点は、シリーズの一貫性が感じられるが、記憶に残るようなものではなく、 ぜひもう一度飲みたいという味でもない。サントリーは、スパチューに専念した方が良い、というのが、私の率直な感想。
 せっかく良い企画だったのに、品質がついてきてないのは残念。


2003年4月5日
No.103 レーベンブロイ

レーベンブロイ  バドやハイネケンなどと並んで、日本に定着している海外ブランドのひとつ。国内ではアサヒがライセンス生産している。 無論、私は初めて飲むわけではないが、まだ取り上げてなかったので、あらためて。
 泡のきめは細かいが、勢いは中程度。液色は薄め。
 非常に清澄なホップの香りが心地よい。口当たりも雑味がなく至ってクリアだが、苦味はかなり強い。 反面、重たさは感じない。しっかりした味わいがあるのに、押しつけがましいところがない。 もちろん、オールモルト(麦芽100%)だ。
 基本がしっかりできていて、嫌みのないキャラクターは、日本人にもっともっと受け入れられて然るべきだ。 うまく売ればもっと売れるのではないだろうか。それとも、あまり売れてしまうと困るのかな。


2003年4月7日
No.104 ハイリキ レモン / アサヒ

ハイリキ レモン  大御所登場。缶チューハイのパイオニアといえば、これである。アサヒによる旭化成の酒類事業買収により、 この製品も現在では、製造者ニッカウヰスキー、販売者アサヒビールとなっている。
 香りは非常に控えめで、昨今ありがちな果実感が強調されたチューハイとは異なる。 味わいもとても地味。甘味は極度に抑え込まれ、酸も目立たず、その結果アルコール感が前に押し出されている。 ゆるぎない飲みごたえがある。
 甘ったるいお子様チューハイに飽きた方には、一度ここへ帰ってくることをお勧めする。 地に足のついた味わいがここにはある。ただ、クオリティを冷静に比較してしまうと、前時代的であることは否めない。
 カップ麺の世界にたとえるならば、元祖日清カップヌードル。生麺タイプで具だくさんのカップラーメンに飽きたとき、 ふと戻りたくなる懐かしい味だと言える。缶チューハイって本来こういう物だったんだよね、という保守本流的な安心感はあるのだが、 じゃあ、これが最高のクオリティかと問われれば、そういう土俵にはもう登ってこない、いわば往年のヒーローである。
 安心感、安定感を求める年配者が、いつまで語り継いでゆくことができるか、といった製品だと思う。
 アサヒさん、これ、いつまで作り続けます?


2003年4月8日
No.105 ギネス

ギネス ギネス・グラス  原点回帰。
 カッコよく言えば、そんな感じだが、ぶっちゃけネタ不足。新製品を離れて、超定番品を。
 コーヒーブラウンの泡は非常に力強く、持続時間も極めて長い(そのまま置いておくと、コーヒーフロートの上の溶けたアイスクリームのように、 茶色い泡に所々ポコッと穴が開きながらゆっくり崩れてゆく)。
 香りは、目をつぶっていたらおそらく黒ビールとはわからないような 芳醇なホップの香りが中心で、そのまわりにかすかに黒糖的ニュアンスが感じ取れるかどうかといったところ。
 口に含んだ瞬間の圧倒的な苦味が言葉を失わせる。一瞬のうちにクライマックスに登りつめたような凝縮感。 その後にひっそりと、しかしじんわりと残るテンションの高い甘味。すべての味の要素が、真っ向勝負を懸けてくる。
 王者の風格十分。やはり黒の頂点だと思う。
 よくhalf&halfという飲み方があるが、これは単品でじっくり味わったほうがいい。
 本国(アイルランド)で作られたものをサッポロ・ギネス(株)が輸入、サッポロビール(株)が販売している。


2003年4月9日
No.106 ドラフト・ギネス

ドラフト・ギネス ドラフト・ギネス・注ぎ方説明 ドラフト・ギネス・グラス  今度は、同じギネスでも、ドラフト・ギネス。
 draught(ドラフト=draft)というからには、生ビールなんだろうと思うが、缶には日本語で生とは書かれていない。
 この缶ビール、非常に注意書きその他が多い。
 注意:必ず次の事項を守ってください。●3時間以上冷蔵庫で冷やしてから開けてください。 冷やさない状態で開けると中身が噴き出し周りの物を汚すおそれがあります。●缶への衝撃、冷凍庫保管を避け、 直射日光のあたる車内など暑くなる場所に置かないでください。缶が破裂して中身が噴き出し周りの物を汚すおそれがあります。
 また、「パーフェクトなドラフト・ギネスを楽しむために」という上の写真のような説明もある。 缶の中にフローティング・ウィジェットという小さなプラスティック製ボールが入っていて、これがサージング(泡立ち)を起こす というもの。
 指示通りにグラスに注ぐと、確かにきめ細かな泡が作られたが、クリーミーすぎて、溶けたカフェオレアイスみたいになる。 口当たりも非常にマイルドで、ビアホールで飲むビールみたいな感じもしなくはないが、どこかわざとらしい。 このしくみは、はっきり言って、余計なお世話ではないかと思う。
 普通のギネスに比べると、香りにも味わいにも重みが足りない。それが個性なのかもしれないが、 その分、黒糖的甘さが少し気になる。
 購入価格の350円は、普通のギネスの287円に比べて割高だ。


2003年4月10日
No.107 アサヒ 黒生

アサヒ黒生 アサヒ黒生・グラス  いくらテイスティングのためとはいえ、普段ほとんど黒を飲まない私が、3日連続で黒。 このページにアップするために、飲むものを選んでいるという現実。
 さて、本格派の後は、国産黒ビールをということで、アサヒをチョイス。
 泡はきめ細かく、よく盛り上がるが、あまり持続しない。
 香りはかなり軽やかで、ビールらしさはあまりなく、黒糖的甘さが勝る。
 味わいはすっきりとし、苦味は強いが重みはなく、後味はさらっとして心地よい渋味が残る。
 いかにもアサヒらしいクリーンな作りで、好印象。しかし、本格的な黒とはお世辞にも言えない。 黒ビール初心者にはちょうどよいかもしれない。


2003年4月14日
No.108 カールスバーグ

カールスバーグ  これも日本に定着している輸入ビールのひとつ。デンマークのブランドだが、 国内ではサントリーがライセンス生産している。
 泡立ちは普通。液色は薄い。オールモルトにしては香りも控えめで、繊細な印象。 国産ビールにとても似ている。
 味わいも繊細で、苦味は強くなく、重たい感じもない。後味もクリア。
 特に目立った特色がないので、強く記憶に残るタイプではない。 それだけに、熱烈ファンも少ないのだろう。だが、こういうタイプこそ、毎日飲んで飽きないビールだ。
 Draftと書かれているとおり、生ビール(非熱処理)である。


2003年4月15日
No.109 ミラー・スペシャル

ミラー・スペシャル  以前、アメリカNo.1ドラフトと宣伝していたように記憶しているが、今は聞かない。現在の売上はどうなのだろうか。 バドワイザー(熱処理)と並んで、アメリカを代表するビールであることは間違いない。 日本では、アサヒがライセンス生産している。
 泡はきめ細かく、力が弱いので持続もしない。液色は薄い。香りも非常に弱い。
 口当たりはクリアで、深みや重みはない。苦味が適度にあるので、決してスカスカではない。
 これぞアメリカン・ビール。ドイツの人が飲んだら、これは何ですか?と真顔で聞かれてしまいそうなくらい、 ドイツビールとは対極にある。日本のビールでこれに近いのは、オリオンぐらいだろう。
 缶には、"RICH AND SMOOTH"と書かれている。確かにSMOOTHではあるけれど、我々からすると、RICHではない。 夏の炎天下で一気に飲み干したいビールである。


2003年4月18日
No.110 コロナ・エキストラ

コロナ・エキストラ  軽やかなビールといえば、何といっても、これを忘れてはいけない。
 その昔、トレンディ・ドラマ(古いなあ。)でダブル浅野だったか(さらに古いなあ。)そのあたりが、カットしたライムを瓶に突っ込んで、 ラッパ飲みしていたことから一躍ブームになった。
 時代はすっかり変わったけれど、今でも 「このビールはラッパ飲みするのが正しいんだよ」なんてツウを気取るオヤジがあとを絶たない。 そこですかさず、「コロナってのはさあ、メキシコの労働者が一日の仕事を終えて飲むビールで。 だからラッパ飲みなんだよ。ぜんぜんおしゃれとか、そういうんじゃないの。」と正論めいたことを言うと、 よけいに場が白んだりして。とかく店で注文しにくいビール。
 ところで、コロナって、タクシーの匂いがしませんか?
 ラッパ飲みが正しいのかもしれないが、あえてグラスに注いでみると、香りがよく立つ。すると、タクシーが近づいてきた時みたいな LPガスの匂いがする。これがいかにもコロナらしい特徴。
 泡に力はなく、液色も当然のごとく薄い。苦味は弱く、重みもない。 軽やかで、ひっかかりがなく、後味もクリア。喉の渇きをいやすのにもってこい。
 アメリカのミラーや、沖縄のオリオンも相当軽いビールだが、こちらのほうが一枚上手。 でも、ビールとしての味わいはちゃんとある。 穀物臭い発泡酒なんかとは全然違う。
 良いものは、時代を超え、ブームを超えて、愛されるのだ。


2003年4月20日
No.111 ヘニンガー

ヘニンガー  記念すべき1並びだからというわけではないが、本場ドイツのビールを。
 泡立ちはまずまずだが、液色は意外にも薄め。ドイツビールであるから、当然副原料は使っていないが、 不思議なことに、最初"おはぎ"のような匂いがある。つまり、米を炊いたような感じ。
 時間が経つと、それはいかにもヨーロッパのビールにありがちな、少し薬臭いホップの香りであることがわかる。
 味わいは、最初から苦味のインパクトが強く、最後まで持続する。 飲み込んだ後にも、ずっしりと苦味が残る。なぜかザラメのような後味も。
 無骨、言い換えれば質実剛健。そんな男性的なビールだ(最近、こういうのを女性的と言ったほうが良いのかな?)。
 輸入者は日本酒類販売(株)。容量が330mlという、ちょっと中途半端な缶。


2003年4月21日
No.112 琥珀のくつろぎ / サントリー

琥珀のくつろぎ 琥珀のくつろぎ・グラス  サントリーから限定品。4種類の麦芽をブレンドして作ったというビール。 4種類とは、二条大麦麦芽、六条大麦麦芽、クリスタル麦芽、小麦麦芽だそうある。
 泡はきめ細かく、勢いはあまりない。液色は美しい琥珀色。 香りは軽やかで爽やか。甘酸っぱい香りと言ってもよい。
 口当たりも甘酸っぱく、軽やかな味わいだが、舌の両脇に強めの苦味が残る。 中域がぬけ、高音と低音がぶつかり合っている感じであり、美しいハーモニーとは言い難い。
 上面発酵のアルトビールゆえ、華やかな香りと軽快な口当たりが特徴だが、キレが今ひとつ。 まあこれは厳しすぎる意見かもしれないが、気合いの入った製品であるからこそ、甘いコメントは控えたい。
 明らかに、キリン・まろやか酵母を意識した製品だと思うが(同じ330ml小びん)、同じ上面発酵でも、 淡色と褐色の違いもあり、同列には語れない。しかし、完成度としては、キリンに劣ると思う。


2003年4月22日
No.113 ギュギュッと搾ったグレープフルーツサワー / メルシャン

ギュギュッと搾ったグレープフルーツサワー  以前から出ているが、パッケージが"お子様テイストチューハイです"と主張しているかのようなので、 手を出せずにいた。どんなものでも一度は試すべしというのが、当サイトの使命であると考え、これからは こういったものにも手を広げてゆこう。
 気づかずに買ったのだが、なんと果汁71%が光っている。果実1個分だそうである。 一方、アルコール分は4%である。
 グラスに注ぐと、グレープフルーツ果汁そのままの白濁した色。香りは、果実の甘味と苦味が強調され、 ちょっと不自然。凝縮度が高く、リキュールのような印象。
 味わいも妙に甘味が強調されて、飲みやすくしているのがわかる。ただ、果汁含有率の高さゆえに、 本物らしい歯のキシキシ感があるのはさすが。こってりヘビーなので、後味はすっきりしない。 アルコールを意識せずジュース代わりに飲みたい人にはお勧め。
 これだけ果汁が多いと、原価が高いのではと心配になるが、考えてみれば、1リットル入り100%果汁が 198円の時代である。輸入濃縮還元果汁を使えば、それほど高くはないかもしれない。 いや、それでもやはり通常のアルコール飲料と比べると高いかな。
 同じようなものは家庭でもできそうな感じがするが、実は難しい。
 仮に20度の焼酎を用いたとすると、 グラス中のアルコール含有率を4%にするためには、焼酎をグラスの20%まで入れなくてはならない(0.04÷0.2=0.2)。 そして、果汁含有率を71%にすると、焼酎+果汁で既にグラスの91%を占めることになる(0.2+0.71=0.91)。
 従って、炭酸水を入れる余地が、9%しか残っていないため、とてもサワーにはならないだろう。 しかも、甘味を強くするためには、砂糖を溶かす必要がある。ガムシロップだと水分が増えてしまうからだ。
 粉末の重曹(=炭酸水素ナトリウム(NaHCo3)。酸と反応してCo2を出す)とか、冷水にも溶けるパウダーシュガーとかを使えば目的は達せられるだろうが、 それだと1杯作るのに、相当高くつく。

 というわけで、やっぱりとってもお買い得な製品であることがわかった。


2003年4月26日
No.114 ベックス

ベックス  ドイツの有名銘柄、ベックスというビール。
 純白の泡は非常にきめ細かく、ふんわり盛り上がる。香りはとても清々しく、甘い。 味わいもクリアで、かつ、飲みごたえがある。苦味がずっしりとしており、 飲み干した後にも口中全体に苦味が残る。
 パワフルなのに繊細さもあって、そのあたりのバランスがとてもよい。 さすが本場物と言いたくなる充実度。
 最近こうして輸入物も積極的に試しているが、これにより国産ビールの特徴を再認識することもできて、 一挙両得と言えるだろう。
 ところで、今日は私のbirthdayだったのだが、子供の要望で、近所のステーキレストランで夕食をした。 考えてみれば結局お金を払わされただけで、こうやって1人ビールを楽しむ夜更け。幸せな誕生日じゃないか!


2003年4月28日
No.115 [特別企画] ビールと発泡酒は区別がつくのか

スーパードライ&淡麗 スーパードライ&淡麗  今回は特別企画。
 日頃発泡酒を酷評している人間として、本当に発泡酒はビールと格段の差があるのか実験をしてみた。 これは、自分の味覚を試すテストでもある。
 採用したのは、最もビールに近いと思われるキリン淡麗と、 最もビールらしくないと思われるアサヒ・スーパードライで、いずれも250ml缶、2003年4月中旬製造のものである。

(方法)
 2つ同じグラスを用い、グラスの底(裏側)に識別できるように違う色のシールを貼っておく。 2つのグラスを、冷凍庫で5分間冷やした後取り出す。 それぞれ缶から注ぎ、テーブルの上で2つのグラスをぐるぐると回して入れ替え、どちらがどちらか判らないようにする。
 テイスティングは、2つのグラスについて交互に香りをかぎ、1口ずつ味わって行った。便宜上、一方のグラスをA、他方をBと呼ぶ。
 なお、泡の状態や液色はあえて比べないようにした。その違いから想像力が働いてしまうのを避けるためである。

(テイスティング経過)
香り
グラスA 清々しいホップの香り。少し軽め。
 グラスB こちらの方が奥ゆかしい。悪く言えば香りが弱い。
味わいグラスA 苦味は強いが、奥に甘味もあり、粗雑な印象。中域の抜けた味。穀物臭さあり。 2口め以降では、うにゃっとした甘味が鼻につくようになる。
 グラスB こちらも苦味が強い。甘味はなく、中域もしっかりしてフラットな味。雑みがない感じ。 2口め以降も味は変わらず、こちらの方が重みがある。

(判定)
 自信を持って、グラスAがキリン淡麗、グラスBがアサヒスーパードライと判定。

(さて正解か否か)
 判定どおり、Aが淡麗、Bがスーパードライで合っていた。

 この実験、1人で行ったため、いかにどちらがどちらかわからなくすることに腐心した。缶を紙で覆うことも考えたが、 缶自体の形状や、プルタブの形状も違うために、その方法は採用できなかった。
 今回の2銘柄が最も判別しにくいだろうと考えたのだが、はっきり言って、全く悩まなかった。 誰が何と言おうとこっちが絶対に発泡酒、というくらい、明らかだった。
 実験を行う前、実はかなり不安だった。いつも偉そうに言っていながら、識別できなかったらどうしようと思っていた。 だが、始めた途端、そんな心配は飛んでいった。あまりにも違うからだ。
 2本だったから違いが際立ったのかもしれない。ビール、発泡酒色々とりまぜでやってみたら面白いだろう。 2本でやるにしても、同じメーカーのほうがよかったかな。

2003年5月2日
No.116 バドヴァー Budvar Budejovicky

バドヴァー バドヴァー・裏ラベル  チェコのビール。
 ビンを開けた瞬間、コロナ・ビールのようなLPガス的香りが。次いで、ミント系の爽やかなホップの香り。
 味の第一印象は、ハイネケンに似ている。緑黄野菜のような(つまり青臭い)味わいの奥に力強い苦味があるので、 いうなればピーマンかシシトウのような感じ。しかし、この苦味が最後まで残るので、非常に締まった後味。
 このビール、初体験だが、バドワイザーの原型になったビールらしい (バドワイザーとは、このビールの産地でもあるチェコのBUDWEISERという地名からとったというのは有名な話)。
 だんだんマニアックな領域に入っている感じもなくはないが、ビールといい、ワインといい、居ながらにして世界の名品を 味わえる日本という国は、なんて豊かなんだろうと思う。
 ところで、"Budejovicky"という商品名は、なんと読んだら良いのかわからない(バデホヴィッキィ?)ので、 輸入者がカタカナ書きしている社名だけを書いておいた(輸入者は「バドバー」と書いているが)。


2003年5月3日
No.117 [特別企画] ビールと発泡酒は区別がつくのか Part2

スーパードライ&本生&スパークス スーパードライ&本生&スパークス  チャレンジ企画第2弾。
 前回は違うメーカーのビールと発泡酒を採用したが、今回はメーカーを揃えた。
 アサヒのスーパードライ(ビール)、スパークス(発泡酒)、本生(発泡酒)の3種である。
 すべてレギュラー缶だとテスト後、飲みきれないおそれがあるため、スパークスのみレギュラー缶(350ml/これより小さなものはないため)、 他の2本はベビー缶(135ml)を採用した。

 実施方法は、次の通り。
 1)紙コップを用い、底(裏)に鉛筆でそれぞれ銘柄名を書いておく。
 2)紙コップを冷凍庫で3分間冷やす。
 3)3種をコップ底(裏)の銘柄名に合わせ手早く注ぐ。
 4)テーブルの上で3つのコップをすばやく交錯させ、どれがどれかわからなくする。
 5)3つのコップに便宜上、左からA、B、Cと名付ける。
 6)A、B、Cについて交互に香りを嗅ぎ、コメントを記す。
 7)まず香りだけで銘柄を判断。
 8)A、B、Cについて交互に味わい、コメントを記す。
 9)どれがどの銘柄であるか最終的に判断する。

<実験結果>

香り 甘い雰囲気があり、まろやか。 すっきりクリア。雑味を感じない。 やや甘いニュアンスだが、Aよりはニュートラル。
香りだけでまず判断 本生 スーパードライ スパークス
味わい 苦味はあるが中程度。穀物臭あり。ただし、後味は非常にクリア。 真ん中のしっかりした味。酸味がやや強い。最もすっきりしている。 後味は重い。 苦味があり、インパクトは強い。臭みはあまりない。しかし、ほろっと軽く、 後味にじんわり甘味。
味わいも含めた最終判定 スパークス スーパードライ 本生
さて正解は? スパークス ○ スーパードライ ○ 本生 ○

<総評>
 同じメーカーということで、正直言ってかなり混乱した。しかし結果はなんとかすべて正解できた。
 香りだけの印象で、Bがスーパードライだということはだいたいわかったが、最初Aが本生で、Cがスパークスではないかと思った。 味も両者区別がつき難かったが、Aの後味が実にクリアであるのに対して、Cにはややほろっとした感じがあったため、 前者がスパークス、後者が本生と最終的に判断した。
 Bについては、味わいも凝縮度が高く、後味の重みといい、発泡酒とは一線を画するものであった。
 ところで今回気づいたことは、3種を何口も味わっていると、だんだん味の区別がつかなくなってくるということ。 つまり、多種テイスティングの場合は、最初の2口くらいが勝負である。それを過ぎると判別能力が著しく劣ってくるので、 何度も味を見ることは得策ではない。それと、香りや味をその都度紙に書いておかなければ、まず判別はできない。記憶は混乱するからだ。 今回も、実験の最後には頭が混乱していたが、自分の殴り書きしたコメントを冷静に読み返して判定したから、なんとか当たったのだと思う。
 いや、正直な話、冷や冷やものだったが、ほっと胸をなで下ろしている。
 ただ、ひとつだけ正直に告白しておかねばならないことがある。それは、3種のうち、1つだけ温度が微妙に低かったことだ。 同じ冷蔵庫で保管していたのにである。
 おそらく缶の大きさの違いに起因するのだろうという予想が働き、 最後に発泡酒2種の判別のヒントとなってしまったのである。缶の大きさを揃えなければ、厳密なテイスティングができないことがわかった。
 いや、それにしても、さすがに同じメーカーの製品は味の指向が一緒である(特にアサヒだから尚更か)。この程度の差であれば、例えばかなり酔った後もう1本飲もうという 時ならば、ドライの代わりにスパークスで十分だと思う。
 アサヒさん、お見それしました。
 当たってばかりでは面白くない、という読者諸氏の声が聞こえてきそうなので、次はもっと混乱するようなチャレンジをしてみようと思う。

2003年5月4日
No.118 バス ペールエール Bass Pale Ale

バスペールエール バスペールエール・グラス  イギリスのビール。
 泡立ちは普通、泡の持続力はあまりない。液色は、麦茶のようなブロンズ色。
 香りにも最初麦茶のような感じがあり、よく嗅ぐとコーラのようでもある。 つまり、カラメルを薄めて甘さを取った感じ。
 口に含んだ最初の印象も、どこか麦茶のようなブラウンな感じ。 甘味はなく、重くもないが、さりとて爽やかでもない。強い苦味が特徴。
 ペールエールとは、淡褐色の上面発酵ビール。適度に飲みごたえがあって、くどくない。 普段ピルスナータイプばかり飲んでいる中に、たまにこうしたものを入れると、気分が変わって良いと思う。 毎日飲みたいとまでは思わないが。


2003年5月6日
No.119 [特別企画] ビールと発泡酒は区別がつくのか Part3

一番搾り&ラガー&淡麗  チャレンジ企画第3弾。
 今回は、キリンばかり3本用意した。一番搾り(ビール)、ラガー(ビール)、淡麗(発泡酒)で、 いずれもベビー缶(135ml)である。実施方法は、次の通り、前回と同様である。

 実施方法
 1)紙コップを用い、底(裏)に鉛筆でそれぞれ銘柄名を書いておく。
 2)紙コップを冷凍庫で3分間冷やす。
 3)3種をコップ底(裏)の銘柄名に合わせ手早く注ぐ。
 4)テーブルの上で3つのコップをすばやく交錯させ、どれがどれかわからなくする。
 5)3つのコップに便宜上、左からA、B、Cと名付ける。
 6)A、B、Cについて交互に香りを嗅ぎ、コメントを記す。
 7)まず香りだけで銘柄を判断。
 8)A、B、Cについて交互に味わい、コメントを記す。
 9)どれがどの銘柄であるか最終的に判断する。


<実験結果>

香り すっきり清々しい。甘味を感じずクリア。3本のうちで一番香りが強い。 3本のうちで一番弱く、香りが立ち上らない。 香りの質はAに近いが、こちらの方がやや軽い。
香りだけでまず判断 ラガー 淡麗 一番搾り
味わい 酸を感じるが、最もクリアな味。重みはそこそこ。後味はすっきり。 味わいに統一感がある。 やんわりとした甘味。臭みあり。うにゃっとした甘い後味。 酸とほろっとした甘味があるが、苦味もある。すべての要素が強く、やや分裂気味。
味わいも含めた最終判定 ラガー 淡麗 一番搾り
さて正解は? 一番搾り × 淡麗 ○ ラガー ×

<総評>
 ビール2種、発泡酒1種の飲み比べだったが、ビールの判別を間違えた。
 香りだけの印象で、Bが淡麗であるとすぐわかった。そこで、AとCの判別に問題の核心が移るわけだが、 それぞれの銘柄に対して私が持っている印象が、やや現実の味わいとずれていたのだろう。
 ラガーに対しては、完成度が高く、統一感のある味というイメージを持っていたが、今回のブラインド・テストで、 むしろ一番搾りの方が、統一感を持った味わいであることを知らされた。良くも悪くも、ラガーはワイルドで、 無骨なビール。ただ、重みがあまりなく、その点がイメージと現実とのギャップである。昔のラガーはもっと重かった。 ということは、今のクラシックラガーと、一番搾りとを比べれば、もっと違いが歴然とするのだろう。
 正直言って、アサヒ3銘柄飲み比べよりも、キリンの方が判りやすいだろうと思っていた。 安易な気持ちで臨んだ結果、無惨にも破れた。
 しかし、キリンの製品は、どれもアサヒ製品より苦味が強いので、実験後の口の中は、苦!苦!苦!である。

2003年5月8日
No.120 グロールシュ プレミアムビール

グロールシュ  オランダのビール。
 初体験だが、世界ビール試飲コンテスト金賞受賞(95,96,97年)とかで、それなりに期待を持って臨む。
 純白の泡は非常にきめ細かく、持続力もある。実に清々しく軽やかなホップの香り。とてもクリーンな第一印象。
 味わいは一転、芳醇で重みがあり、なんといっても苦味が強いのが特徴。ビールに要求されるあらゆる要素を併せ持ち、 幾重にも満足度を与えてくれる。
 コンテスト云々ということに関して言えば、私はそういったものには惑わされたくないと常に考えているのだが、 このビールは素直に素晴らしいと思う。ヨーロッパ系ビールにありがちな薬臭さみたいなものがない点も、 日本人に受け入れられやすいと思う。
 (株)三友小網という会社が輸入しているのだが、缶には商品名をカタカナで表示しているほか、"金賞"の文字もある。 一生懸命売ろうとしているのがわかる。

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