No.61〜80
2003年1月24日
No.61 タカラ CANチューハイ 爽快グレープ
かなり前から出ているものだが、あらためて試してみた。
爽快グレープとの名の通り、スキッと爽快な飲み口。炭酸がかなり強く、甘さは軽く、シャープな味わい。
後味もすっきりしている。
飲めば確かに酔うので、アルコール飲料なんだとわかるが、
味わいだけでは、まったく酒を飲んでいる実感がない。そのくらいジュース的。
ジュース的な缶チューハイの代表格と言えば、キリン氷結だが、これはそれ以上に「軽薄」で、
だからこそ評価できる。
焼酎の老舗がこういった軽薄な(決して非難しているのではなく、むしろ喝采の意味を込めて)商品を出すとは、
時代も変わったものだとの感慨がある。逆に言えば、ここまで大多数の消費者に迎合しなければ、
売り上げを伸ばすことができないような時代なんだなあ、と悲しくもなる。
2003年1月30日
No.62 アサヒ 穣三昧 -みのりざんまい-
ビール各社は、発泡酒増税をにらんで、かなり前から新戦略を練っているはずだ。
発泡酒の割安感が薄れれば、ビールへの回帰が始まるかもしれないから、新しい売れ筋ビールの開発は不可避であろう。
そう思っていたところへ、早速アサヒの新製品がやってきた。
「ライスパワーエキス使用」とかで、耳慣れない製法を打ち出すのは実にアサヒらしいのだが、今ひとつ中身が想像できない。
グラスに注いだ第一印象は、とにかく色がとても薄いということ。加えて、泡にも力があまりなく、妙にきめが細かい。
発泡酒と間違えそうだ。香りにある程度の重みはあるが、ビールらしい深みは感じられず、軽薄。
味わいもスカスカな印象。柔らかさをウリにしているようだが、柔らかいというよりは、中身がない感じ。
ライスパワーエキスとは、「米を発酵させたエキス」とのことだが、麦芽使用を抑えるためのテクニックではないのか。
そんなうがった見方をしたくなる。
ブラインドで試したとしたら、「すごい発泡酒が出たものだ」と思うだろう。つまり、ビールらしさを極限まで追求した発泡酒
というレベルであり、もし、ビールとしてできる最大限の軽やかさを追求した製品だということならば、
この試みは失敗だったと言わざるを得ない。
と、ここまで書いて、ハタと気づいた。もしかすると、「ビールより発泡酒の方が飲みやすい」という味覚を持ち始めた人々に、
スムーズにビールへ戻ってもらうための、したたかで、周到な戦略なのではないかと。そうだとしたら、一歩先行く小ずるい商品だ。
アサヒによる愚民相手の味覚誘導が始まったか。
2003年2月7日
No.63 定番ビールを改めてテイスティング -第1弾-
ヱビスビール / サッポロ
読者の方からご指摘をいただいて、当サイトではまだ、おなじみの定番ビールに関して、
テイスティングを行っていないことに気づいた。そこで、今回から特別企画として、
有名銘柄シリーズを敢行することにした。
第1弾は、サッポロ・ヱビス。言うまでもなく、麦芽100%ビールである。
色の濃さでは、有名銘柄随一と言え、黄金色と表現したいほど。泡にも非常に力があり、持続力も抜群。
重厚で奥深いホップの香り。口に含むと、ずしっとした重みが無類の存在感を主張するが、
同時にミントのようなフレーバーをも残す。加えて、じんわりした苦みがいつまでも続く。
やはり、改めて味わう、というこの企画の第1段に最もふさわしい銘柄であった。どんなに時代が変わっても、
この味だけは守り通して欲しい。
ああ、私には還る場所があるんだ、という感慨を覚える、と言ったら、大げさだろうか。
国産プレミアムビールの代表を1つ選べと言われたら、多くの人が、このヱビスを選ぶのではないだろうか。
もちろん、重たいビールが苦手な人にはお勧めしないが、この味わいを理解せずして日本のビールを語るなかれ、
と言いたい。
2003年2月8日
No.64 定番ビールを改めてテイスティング -第2弾-
モルツ / サントリー
第2弾は、オールモルトつながり、ということで、サントリーモルツ。
色はヱビスに比べるとかなり薄い。泡の力も若干弱く、持続力が劣る。
香りは軽やか。ミント系の軽いホップの香り。非常に刺激の弱い歯磨き粉のようだ。
口に含んだ最初の感じは、酸が中心で、
奥深さは感じず、飲み込んだ後味にも、特徴的な酸が残る。ほとんど「酸っぱい」と言えるほどだ。
天然水使用というのを売り文句にしているだけあって、確かにすっきり感はあり、キレも良い。
だが、重みや奥深さは感じず、これが本当に麦芽100%なのか、と改めて思う。悪く言えば、上澄みのような、
カスのような感じすらあるのはどうしてだろう。
重みはなくとも、苦み、渋みはかなりしっかりとあるので、その分は救われる。
ただ、どんな味わいを目指したのか、何を目標としているのか、量りがたいテイストだ。
しかし、ロングセラーとして定着しているからには、この中途半端さが、
日本人の中途半端さと微妙にシンクロしているのであろう。
なんだか苦言を呈するような形になってしまったが、このような中間的存在は、やはり必要なのだと思う。
2003年2月14日
No.65 定番ビールを改めてテイスティング -第3弾-
キリンラガービール
やはりこれを忘れてはいけない。
泡の力、持続力は中程度。香りは、華やかさと重さが絶妙なバランスを保っているが、主張は弱い。
口に含んだ瞬間に、苦みが押してくるが、あまり深みを伴わない、言ってみれば上滑り気味の苦みである。
この作られたような押しつけがましい苦みが、このビールの特徴なのだが、
昔はこの後に重たさが追随していた。「昔は」と書いたのは、このビールがまだ「生」(=非熱処理)
ではなかった頃のこと。今の製品は、ただ浅い苦みだけが強調された感じになってしまっている。
私は常々思っているのだが、このビールが生になってしまった時から、王者キリンの凋落は始まっていた。
スーパードライが受けているから、時代は今、重くないビールが主流、などと安易に考えて転向したのだとしたら、
とんでもない勘違いだ。自らの魅力をかなぐり捨てる愚行であり、
キリシタンが踏み絵を踏んでしまった、というくらいの、してはいけない暴挙だ。
クラシックラガーを出したのは、オールドファンに応えるためだと説明していたようだが、
ラガーの失敗を認めたからこその、起死回生策だと思う(それも成功しているとは思えないが)。
私がこれほど厳しいことを言うのは、このビールを愛していればこそだ。今からでも遅くない。
この名ばかりのラガーを失敗だったと潔く認めて、クラシックラガー1本にすべきだと思う。
時代を先導することと、時流に迎合することを、はき違えてはいけないのだ。
2003年2月17日
No.66 定番ビールを改めてテイスティング -第4弾-
スーパードライ / アサヒ
売上ナンバー1ビールである。
「スーパードライなどまずい」「味がない」「なぜこんなものが売れるのかわからない」といった声がある。
麦芽100%の深い味わいのものだけが、正しいビールだと言うのなら、確かにそういう意見は頷ける。
しかし、それはあまりにも狭量だ。当サイトでは、それぞれの製品の持ち味を客観的に評価したいので、
そのような視野の狭い態度は取らない。
ビールに求められる重要な要素のひとつに、「爽快感」がある。
スーパードライほど、この条件を備えている製品はないと思う。
色は薄く、香りも弱い。炭酸のインパクトが強く、口の中でビリビリする感じ。
適度な苦みと、キリッとシャープな後味。徹頭徹尾DRYを体現している。しかし、
飲み込んだ後に鼻から息を抜くと、やんわりとした麦の香り。発泡酒の薄っぺらさとは明らかに違う。
これほど名前に偽りのない造りであることが、信頼感を生んでいるし、他のものまねでないことが、
圧倒的な存在感を発揮している。迷いのない一途でピュアな味わいは、どんな食べ物にも合わせられる。
私は、普通、ビールを飲む時は、よく冷やしたグラスに「三度注ぎ」をして、泡をきれいに立たせて味わうが、
このビールの一番おいしい飲み方は、風呂上がりに、キンキンに冷やしたものを缶のまま直接飲むことだと思っている。
ドイツビールとは全く違う、ジャパニーズビールのひとつの究極であると思う。
2003年2月18日
No.67 定番ビールを改めてテイスティング -第5弾-
一番搾り / キリン
ビールをあまり飲まない女性にも受け入れられやすい銘柄。しかしそれは、
ネーミングやCM戦略がいかに有効かを物語るものでもある。
実のところ、このビール、それほど飲みやすい部類ではないのだ。
色はごく普通の濃さ。泡の力も中程度。香りは、爽やかで清涼感がある。
ここまでは実にクリアな感じだが、味わいの第一印象は、苦みのインパクトが結構強い。
それ以上に、中域の鈍い酸が口中に広がり、それが苦みを制する感じになる。
飲み込んだ後にも苦みと渋みが引っかかり、酸を伴った独特の後味を残す。
重みもそこそこ。爽快感もそこそこ。名前から想像される初々しさとか、クリーンな感じはあまりない。
何か足りないものがあるわけではないのだが、特筆すべき長所も見あたらない。
これを好きだという人は、この味わいのどこを積極的に気に入っているのだろうか。
一番麦汁だからおいしいに違いない、というイメージの問題ではなかろうか、と思う。
いや、くれぐれも誤解のないように付言すれば、比類のない個性的なビールであることは間違いない。
存在意義は十分ある。
2003年2月19日
No.68 定番ビールを改めてテイスティング -第6弾-
黒ラベル / サッポロ
最近売り場では隅のほうに追いやられている感のある銘柄。
色も泡立ちも標準的。ごくありふれた普通のビールという風貌。
香りはクリスピーで、重みを想起させる。実際、口に含むとどっしりとした苦みが圧倒的な存在感を主張する。
およそ華やかさというものはなく、粗野で無骨。まさに男のビールという感じ。
重たいビールが苦手な人には、まったく好かれないと思うが、それで良いのだ。
これだけ個性を主張する国産ビールは少ない。
極めて少数派ではあるが、黒ラベルびいきの人々が確かに存在する。
そういう支持を得て、これからも存続してゆくのだろう。いやぜひ、この灯を絶やさないで欲しい、と私も切に願う。
2003年2月20日
No.69 定番ビールを改めてテイスティング -第7弾-
ハイネケン
外国産ビールの定番といえば、まず第一にバドワイザー。そして対抗馬が、このハイネケンであろう。
これも読者の方のご要望があった銘柄である。
なお、バドワイザーについては、既に取り上げているので、そちらをご覧いただきたい。
このビール、ドイツ産と勘違いしている人もいるみたいだが、正解はオランダ産である。
色はどちらかといえば薄く、泡の力もそこそこ。軽やかなホップの香りが、少し薬くさい感じ。
口当たりはとても柔らかいが、苦みは結構ある。ただし、渋みがひっかかるようなことはない。
重みは感じず、軽やかな味わい。薬品的な(あるいは台所洗剤のような)くせのあるフレーバーが口中に広がる。
飲み始めは良いのだが、何本も飲み進めると、この独特の風味が鼻につきそうだ。
しかし、これこそがハイネケンの個性であり、ファンに好まれる味わいなのであろう。
ビール初心者にはあまりお勧めしないが、国産ビールの単調さに飽きた方には、口直し的に楽しめるビールであると思う。
2003年2月21日
No.70 淡麗アルファ / キリン
久々発泡酒の登場である。
プリン体90%カットという、痛風が気になる中高年には朗報の商品。味わいはそのまま、というのが宣伝文句のようだが、実際はどうだろうか。
色は発泡酒にしてはやや濃い。泡に勢いがあり、純白かつきめ細やかなのはいかにも発泡酒。ほとんど香りがしないのだが、
奥の方に、おしろいのような感じや、乳脂肪分の低いアイスのような、ミルキーな匂いがある。
苦みは強いが、味わいと呼べるようなものはなく、発泡酒特有のゴザのような畳表のような生臭さが広がる。
とても普通の神経で飲み進むことはできない。さらに木工用ボンドのような臭みが鼻につき、ほとんど耐え難いレベルである。
従来品の淡麗とはまったく違う製品であることがわかった。当サイトでは、私の個人的味覚による好き嫌いは極力排除して、
客観的評価を心がけているが、この製品は、品質を冷静に評価することすらできないほど、気分が悪くなる。
このさい、私の好みだけで(ルールを逸脱して)はっきり言っておく。もしこれが半値だとしても買わないし、
1本10円でも絶対に買わない。こんなものを飲むくらいなら、都会の不味い水道水で喉を潤したほうがましだ。
これを違和感なく飲める人の味覚が、むしろ私はうらやましい。
こんなこと書いたら「営業妨害だ」といってキリンさんから抗議が来ないかな。来たら、それはそれでうれしいけど、
私はキリンファンの一人として、建設的な意見を述べているのです。
2003年2月22日
No.71 新・ダイエット<生> / サントリー
カロリー50%カット、糖質70%カット、プリン体50%カットの発泡酒。
以前のダイエット生がリニューアルしたものだが、私は当サイトで酷評して以来、
一度も飲んでいないから、比較ができるかどうか分からない。
色はしっかりめで、泡立ちも悪くはない。香りはほとんどなく、臭みもないから毒にも薬にもならない印象。
味わいもほとんどなく、前回感じたぺらぺらな感じそのまま。ただ、軽い酸があるのと、後味に若干の苦みがあり、
一応飲んだ感じはする。前作を完全に覚えているわけではないが、多少は進化したのかなという感じ。
だが、原材料を見ると、次のように書かれている。
麦芽、ホップ、大麦、糖化スターチ、酸味料、クエン酸K、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、
苦味料
つまりほとんど人工的に作られた味わいであることがわかる。なるほどね。商品名のダイエットというのが
そのままコンセプトなわけだから、この努力はそれなりに評価してよい。
炭酸水と思って飲めば、それよりは明らかに何か味がするわけだし、酔うこともできるわけだし。
また飲みたいか?と聞かれれば、私はもちろんNoなのだが。
2003年2月23日
No.72 スパークス / アサヒ
アサヒより新発売の発泡酒。試供品(ベビー缶)をもらってきた。
色は濃いめだが、泡立ちは普通の発泡酒。注いだグラスから香りはほとんど立ち上らない。
口に含むと、名前の通りはじけるような炭酸の刺激がビリビリくるが、味はほとんどない。
どういうわけか後味に、うにゃっとした弱い甘みが残る。これは、気のせいだろうか。
そのくらい弱いのだが。
缶から直接匂いをかぐと、確かに発泡酒臭さがあるが、飲む段階では気にならない。
アタックが思いっきり強いので、それだけで納得するが、後に一切の臭みがないのが、
アサヒらしい。
発泡酒に味わいなどなくて良いのだ、という、明確なコンセプトと見て取れる。
その方法論は高く評価したい。こういう率直な表現は好印象である。
「クリアな味と鮮烈なのどごし」というコピーのうち、クリアな味はその通りとしても、
鮮烈なのどごしは、少し違う気がする。インパクトの強さでそのまま押し切っているのであって、
のどごしがどうかなど、考える余地を与えないといったほうがいい。
同じ"味わいのない発泡酒"でも、サントリーダイエットのぺらぺら感とはまるで違い、
主張の強い、その意味で納得のゆく製品だ。
スーパードライからビールらしい味わいを完全に消し去った感じであり、そういえばパッケージも
似ている。これによって本生が生産中止になっても別にかまわないと思うが、
スーパードライファンがこちらにシフトするようなことがなければ良いのだが。
2003年2月24日
No.73 鮮烈発泡 / サッポロ
どちらが先に企画したのか、偶然同時期だったのか、アサヒ・スパークスとライバル関係に立つであろう
サッポロの新製品。
色は濃いめで、この点はスパークスと同じ。泡立ちと持続力は、こちらのほうがやや劣る感じ。
香りがほとんどない点は同じ。そして、口に含んだ瞬間のインパクトも、実によく似ている。
炭酸がビリビリと刺激し、それだけが唯一の存在感。味わいと呼べるものはないが、
後味にほんのり甘い感じがあるのと、鼻から抜いた息に発泡酒臭さがある。
この余韻にかすかに臭みがある分だけ、スパークスに劣る。一騎打ちになったら、私はアサヒに軍配を上げる。
やはりサッポロはこういう路線で勝負するのはやめた方がよいのではないか。
冷製辛口がマグナムドライに負けたように、この勝負も負けるだろう、と私は思う。いや、品質の差なんて、実のところほとんどない。
コンセプトが貫かれているかという点と、メーカーのイメージにフィットしているかというくらいの差である。
2003年2月25日
No.74 本搾りチューハイ レモン / メルシャン
アルコール分6%、果汁14%。ウオッカとレモン果汁だけで作った缶チューハイ。
香りは鋭く、グリーンな感じもあって、今まさにレモンを搾ったばかりという感じ。
味わいは、果汁のシャープなインパクトが強く、反面、アルコール感は弱い。
糖分が入っていないから当然ではあるが、まったく甘くない。飲み干した後に、
ふんわりとウオッカのアルコール感が残る。
ジューステイストのお子様的缶チューハイ全盛の時代に、勇敢に立ち向かう反逆者であり、
大いなるアンチテーゼと言ってよい。こんな発想があったか、という驚きの製品である。
こういう反骨精神、否、バランス感覚は貴重であり、こんなニッチを狙い撃ちできたのは、
老舗ならではの底力ではないかと思う。
ウオッカと果汁を混ぜるだけなら、自分で作れるではないか、と思うかもしれないが、
ウオッカの味わいと、配合比率にこそ、この製品の命がある。
素人受けしにくい製品なので、おそらくあまり売れないだろう。お酒があまり得意でない
人にとっては、飲みにくいことこの上ないからだ。それでも、こんな製品を出した勇気には
惜しみない拍手を贈りたい。もちろん売れると思って作っているのだろうが。
甘ったるい子供だましの缶チューハイにお嘆きの貴方に、ぜひお勧めしたい1本。
2003年2月26日
No.75 本搾りチューハイ グレープフルーツ / メルシャン
昨日に続き、今度は同じシリーズのグレープフルーツ。おそらく同じような感想しか持てないだろう、と思って
臨んだが、意外にも新しい感動があった。
アルコール分はレモンと同じ6%だが、果汁はなんと28%。鋭い酸と苦味を想起させる新鮮なグレープフルーツの香り。
味わいも実にフレッシュで、丸ごと果物のフレーバー。この香りと味わいを出すために、果汁の含有量を多くせざるを得なかったんだろう。
後味も、ひりひりするくらいの酸が持続する。ウオッカのアルコール感が弱く、ぐいぐい飲めてしまう。
レモン以上に果汁のインパクトが強く、いつまでもこのフレッシュな香りを嗅いでいたい、と思う。
そのくらいナチュラルで、お酒らしからぬお酒。もちろんまったく甘くないので、飲み飽きしない。
2003年2月27日
No.76 銀河高原 白ビール
定番ビールと呼べるが、それほどメジャーでもないと思う。これって、小麦、だよね?
純白のきめ細かい泡は、最近の発泡酒のようでもあるが、違うのは力強さと持続力。
香りはとても甘くフルーティで、軽やか。色は名前の通り白く(正確には、黄白色)、濁っている。
味わいは、フレッシュでキュートな酸が心地よく、苦味や渋みは極めて弱い。口いっぱいに爽やかな甘酸っぱさが広がる。
スペアミントガムのような余韻が残る。
冬の暖かな部屋で、じっくり時間を掛けて楽しみたいビール。1本で大きな満足が得られる。
がぶ飲みするようなものではない。反面、夏の暑い時には少々つらいかも知れない。決して重くはないのに、
ぎっしりつまった味わい。
2003年2月28日
No.77 タカラ CANチューハイ 爽快レモン
これも以前から出ているものだが、あらためて。
香りは控えめで、刺激は弱い。炭酸のインパクトが結構強いが、酸味はマイルド。レモンというよりは、
レモンキャンディのような味わい。しかし、甘ったるくはなく、後味もすっきり。名前の通り爽快で、ごくごく飲める。
同シリーズのグレープでも感じたが、かなり軽薄な味作りで、ここまで時代に迎合しなくてはならないのか、と淋しくなる。
おいしいけれど、軽やかすぎて記憶に残らず、積極的にリピートする気にはならない。しかし、しかし、である。
こういう商品は、もし、コンビニの店頭の一番目立つ所にたくさん並んでいたら、習慣的に買ってしまう人が多いだろうと思う。
そのくらい、さりげない商品。惜しむらくは、そこまで強大な販売ルートを持っていないことである。
2003年3月1日
No.78 タカラ CANチューハイ 爽快ふじりんご
今度は、ふじりんご。
これも香りは控えめだが、少々作られた感じがある。りんご果汁というより、ただ甘い砂糖水のような味わい。
果汁3%なので、仕方ないのかもしれないが、どう考えてもナチュラルではない。爽快という名からはほど遠い。
"収穫した果実の味わいを活かすため一切加熱しない果汁のみを使用しました"ということだが、いくら加熱しなくても、
加糖していたのでは元も子もない。いや、別に糖類を加えるなとは言わない。仕上がりがよければよい。
だが、この薄ら甘い仕上がりでは、とても納得できない。甘いこと自体は悪くはないが、シリーズのイメージに合致していないので、
看板に偽りありと言われても仕方ないだろう。
2003年3月2日
No.79 タカラ CANチューハイ 爽快グレープフルーツ
今度は、グレープフルーツ。
これもまた香りは控えめだが、若干苦味や青くささが強調された感じ。味わいは甘く、酸は弱め。
妙な苦味だけが後に残る。アルコール分7%、果汁3%。
特に長所を見つけるのがむずかしい製品。もちろん、不味いというわけではないのだが、魅力に乏しい。
非常に中途半端、どっちつかずの印象。
ここまでこのシリーズを試してみて、全体的に記憶に残らない味造りだと言える。長く愛される可能性もあるキャラクターだが、
インパクトがないと受け入れられないのも最近の傾向であるから、販売数を伸ばすのはなかなかむずかしいだろう。
なにより、薄ら甘い味わいは、大きなマイナスである(レモンを除く)。
それより何より一番問題なのは、メーカーのイメージやコンセプトのゆらぎである。宝酒造ともあろう老舗が、
軽薄短小に迎合することは、大きな間違いだと私は思うのだが。
2003年3月3日
No.80 サントリー スーパーチューハイ 花 [さくら&レモン] 春限定
春限定のチューハイ。缶のデザインも実にかわいらしい。ひな祭りの日にぴったり。
さくら&レモンということだが、香りはやわらかな柑橘系で、あまり花の印象はない。
味わいも、酸味を抑えた梅ガムのような感じで、すっきりしている。甘みは適度、酸味も適度で、
素直においしいと感じる。もっと甘くて、くどくて、むせかえるような感じの味を想像していたけれど、
こんなに軽やかでシャープとは驚いた。
ただ、どうしても残念なのは、色がほとんど無色であること。当然、桜色だろうと思っていたのに。
これは大失態と言えるだろう。
色の問題を除けば、想像以上に飲みやすいし、かわいいし、良い商品だと思う。これは、花見シーズンにぴったりだ。
花見に持っていくお酒で、一番おしゃれなのは、ロゼのシャンパンだと私は思うのだが、
このチューハイはそれに次ぐと思う。これを飲みながら桜を見るのも、なかなかいい。今年、ぜひ実践したい。
ああ、これでほんのり桜色だったら、ほんとにおしゃれなんだけどなあ。とっても残念。
なお、本日、当コーナーの入口ページに銘柄索引を設置した。見たい製品コメントをすぐに探せるので、
どしどしご活用あれ。
(2003,4,5追記) 本日、花見に持っていき、青空の下、紙コップに注いでよく色を見たところ、 わずかに桜色というか、薄いオレンジ色に着色されていることに気づいた。最初に飲んだときには、 夜、室内の照明の下で確認したのだが、ほとんど色がわからなかった。失態は私のほうであった!
ここに自身の非を認め、お詫び申し上げると共に、前言を撤回したい。 サントリーさん、お門違いの批判をして、申し訳ありませんでした。
でも、ちょっと色、薄すぎるよ。もっとピンクがイイと思うな。