利酒日記

2002年1月


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2002年1月2日  ROUGE
CHATEAU CANTEMERLE (GRAND CRU CLASSE) 1997 / HAUT MEDOC
シャトー・カントメルル(グラン・クリュ・クラッセ / 第5級) / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT MEDOC

 新年1本目は、MEDOCの格付けワイン。
 色は深いが、ほんのり青みがある。落ち着き払った黒っぽい香りで、威風堂々とした第一印象。 グラスを回すとスパイシーさが出てくる。 口当たりは極めてやわらかく、口中でふわっと広がり、甘味すら感じる。タンニンはしなやかだが、後にしっかりと残る。 飲み込んだ後も、ほの甘い余韻がふうーっと残る。一貫して優雅な味わい。パワーはないが、これが持ち味だろう。
 入手価格は確か\2,500程度(少し前なので、はっきりと覚えていない)だったが、本来の値段も3,000円台か、せいぜい4,000円程度だろう。 それを前提に、下記の通りB評価。
 格付け云々よりも、このクラスでこの安定感はうれしい。
<評定:B>

2002年1月3日  BLANC
POUILLY-FUME 1999 "LES CHAMPS DE CRIS" / ALPHONSE CHOTARD
プイィ・フュメ "レ・シャン・ド・クリ" / アルフォンス・コタール
VAL DE LOIRE地方、CENTRE地区、AC:POUILLY-FUME

 色は極めて淡く、日本酒的。香りは華やかというより鮮やかで、マスカット的フルーティさと、色とりどりの花束のような感じがある。 味わいも実にキュート。酸は強いが、刺激は弱く、ころっとした甘酸っぱさ。爽やかな新緑のような余韻が適度に続く。
 入手価格\1,600。このAOCの中では比較的安い部類だが、特徴が良く出ていて、好印象。
<評定:B>

2002年1月8日  ROUGE
POMMARD 1996 / ANTOINE CHATELET
ポマール / アントワーヌ・シャトレ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、POMMARD村、AC:POMMARD

 最近はずれの多いネゴシアン。だが、よく安売りをしているので、どうしても買ってしまう。 これは定価\6,000を\2,000とのふれこみだったが、例によって\6,000は言い過ぎである。
 色はわずかに褐色に傾いたルビーレッド。香りは落ち着き払っていて、風格があるが、果実っぽさも充分ある。 意外と折り目正しい印象。ところが、味わいは実にワイルド。酸は強く、タンニンは力強い。 口中に甘酸っぱさが広がり、結構若い感じであり、しかもタンニンは、渋柿をかじってしまったようなインパクト。 後々まで唇の裏にへばりついている。が、決して嫌な感じではない。
 粗暴な感じはポマールらしい。しかし、重厚とまではいかないので、少し物足りない。
 入手価格\2,000に比べ、上出来。しかし、上代を\4,000弱程度と見積って、下記評価となった。
 可愛らし〜い、"浜あゆ"みたいな顔をしていながら、意地悪で、しかもヒョウヒョウとしている。 だけどそこが憎めないんだよねって感じのワイン。
<評定:C−>

2002年1月10日  BLANC
ISLA DE MAIPO SAUVIGNON BLANC 2001
イスラ・デ・マイポ ソーヴィニヨン・ブラン
チリ、MAIPO VALLEY

 先日この作り手のシャルドネ・リゼルヴァを試したが、これはソーヴィニヨンの廉価版。 比較的好印象を持ったので、こちらにも期待がかかる。
 色はやわらかなイエローで、ソーヴィニヨンとしては濃い。香りは、コルクを抜いた時から甘い香りが立ち昇っており、 トロピカル・フルーツのようなたっぷりとした甘さに、メロンのような青さや、ハーブ香も感じられ、とても華やか。 口当たりは柔らかく、刺激は弱いが、酸はそこそこ強い。意外にもシャープ。香りの印象から、凡庸な味わいを想像したが、 なかなかどうして、引き締まった味わいである。口中で華やかなフレーバーが共演し、最後は酸がキュッと締める。 ボルドーのソーヴィニヨンではありえないパワフルさだが、これがまさに個性で、実にチリらしいワイン。 入手価格\990でこの個性は、かなりうれしい。
<評定:B>

2002年1月14日  ROUGE
ISLA DE MAIPO CABERNET SAUVIGNON RESERVA 1999
イスラ・デ・マイポ カベルネ・ソーヴィニヨン リゼルヴァ
チリ、MAIPO VALLEY

 同じワイナリーの今度は赤。カベルネの上級品。入手価格は\1,330。
 色は極めて濃厚で、縁までほぼ均一な色。香りは、ややブラックベリー系の果実っぽさが感じられるものの重厚で、 豊かな樽香と漢方薬(薬草)のような感じもある。口に含むと、まず豊かな甘味が広がり、粗暴なタンニンが、 これでもかと押してくる。パワーに圧倒されたまま飲み干すと、濃厚なヴァニラ香とチョコレートのような香りがじんわり残る。 タバコのようなスモーキーさもある。口中全体が渋く、しみじみ「重いワインを飲んだ」という実感がある。
 この作り手は、実に謹厳実直にチリらしさを出しているかのようで、とても好感が持てる。このようなタイプを苦手とする人も多いだろうが、 ボルドーでは絶対に味わえないこの陽気さは、経験する価値あり。
 真面目で、一定のルールにはピシッと従い、組織の中では評価も高いが、首を切られて世間の荒波に出たら、 ほとんど評価してもらえないかもしれない企業戦士みたいなワイン。でも、頑張ってる姿は、きっと家族が見てますよ、お父さん。 たとえ、実力社会では生き残れないとしても。
 南米らしさを封じ込めてひたすらフランスの優雅さに近づこうとしているワインも、それはそれで魅力的だが、 こういう潔いワインもまた良い。こんな書き方をすると、「WEBマスターは無節操なのか」と言われるかもしれないが、 まさにそのとおりである。この地球上に、愛するに値しないワインなんてない。すべての人に、必ずチャーム・ポイントがあるように。
<評定:B>

2002年1月17日  BLANC
SAINT-VERAN 1998 / DOMAINE E.A.R.L. PHILIBERT
サン・ヴェラン / ドメーヌ・E A R L・フィリベール
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:SAINT-VERAN

 色はやや薄めのレモンイエロー。まずナッツの香ばしい香りがあり、若干湿った草の香りとともにシャープな柑橘香も。 AOC名から想像されるふくらみはほとんどなく、実にシャープな香り。口当たりもシャープで、広がらず、 後味もきりっとしている。
 入手価格\1,500。若干物足りない。いかにもブルゴーニュの廉価版白という感じだが、南部らしいふくよかさが感じられない点は、 マイナスポイントである。
<評定:C−>

2002年1月19日  BLANC
CHATEAU ROQUEFORT 2000 / BORDEAUX
シャトー・ロックフォール / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

 色はグリーンがかった淡いイエロー。最初にボルドーらしい爽やかな青草の香りがあり、グラスを回すとマスカット的な 甘い香りが立ち昇る。口当たりもグリーンな感じで、やさしく、酸はそれほど強くない。甘味もほとんどなく、すっきりした味わい。 緑っぽい余韻が心地よく、草原の春風のようなワイン。
 入手価格は\1,250。この値段にしては高級っぽい雰囲気が感じられ、好感触。これでもう少し深みや力があれば言うことはないが、 そうなると倍以上の値段になってくるだろう。
<評定:B>

2002年1月20日  ROUGE
SYRAH 2000 VIN DE PAYS D'OC / JEAN BALMONT
シラー ヴァン・ド・ペイ・ドック / ジャン・バルモン
VIN DE PAYS

 青みがかった濃い色で、100%グレープジュースのよう。香りはかなり引き締まった印象で、紫の花と、黒コショウのようなスパイシーさが同居した香り。 なめし皮の雰囲気もある。味わいは、粉っぽく、鉄っぽく、甘味は弱い。タンニンが強く、引っ掛かる感じ。 だが、酸もかなりあるので、全体としてはシャープで、冗長さはない。くどい感じも受けない。
 Vin de Paysのシラーということで、もっと陽気でパワフルなものを想像したが、意外にもおとなしい。
 入手価格は\890で、このクオリティは申し分ない。が、とりたてて得をした感じもない。
<評定:C>

2002年1月22日  BLANC
MUSCADET SEVRE ET MAINE SUR LIE "EXCELLENCE" 2000 / DOMAINE LA HAUTE FEVRIE
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー "エクセランス" / ドメーヌ・ラ・オット・フェヴリ
VAL DE LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSCADET SEVRE ET MAINE

 色は当然薄いが、シャンパンゴールドとも言うべき輝きがある。香りはセルロイドっぽさの中にハーブ香もあり、 比較的清々しい。口に含むと舌先にぴりぴりした刺激を感じ、消毒用アルコールを皮膚に塗った時みたいに 口中からさーっと温度を奪って行くような印象。飲み込んだ後もレモン的な鋭い酸がはっきり残る。味わいやふくらみといったものはなく、 ひたすらシャープで、爽やか。ミュスカデに厚みを望んでも無理というものだが、もう少し旨みのようなものが欲しい。
 入手価格\1,290。ボトルはグリーンのすり硝子で美しいが、EXCELLENCEの名ほど実力は卓越してはいない。
<評定:C−>

2002年1月25日  BLANC
ROBERT SKALLI CHARDONNAY 1998 / VIN DE PAYS D'OC
ロベール・スカリ シャルドネ / ヴァン・ド・ペイ・ドック
VIN DE PAYS

 色はしっかりした麦わら色。香りはカスタードクリームやカラメルの中に、ペパーミントの爽やかさと、ナッツの香ばしさも感じる。 口当たりは丸く、やわらかく、刺激はきわめて弱い。たっぷりとふくらみがあるが、くどさはなく、端正。 カスタードの風味と共に柑橘香も広がり、酸と甘味のバランスは良い。後味にラベンダーのような感じが残る。
 近所のスーパーで\1,150にて入手。極めて妥当な金額。良い点がたくさんあるが、特筆すべき部分はなく、すべて平均点をちょうどクリアしている感じ。 気軽に飲めておいしい。気取りは無用のカジュアルなワインにして、様々な風味を堪能できる。標準的模範生。
<評定:C+>

2002年1月26日  ROUGE
CONO SUR PINOT NOIR 2000
コノ・スル ピノ・ノワール
チリ、RAPEL VALLEY

Cono Sur Pinot Noir  以前、この作り手の20 BARREL PINOT NOIRに少なからず感心したので、その廉価版と言えどもかなり期待がかかる。
 色はかなり濃いルビー・レッド。グラスに鼻を近づけた瞬間に、「ピノだ」とわかる強めのゴム臭。 加えて、黒ベリーやプルーンのような落ち着いた果実っぽさもある。口当たりは柔らかく、甘味もあり、思った以上に陽気な味わい。 タンニンも強めで、全体的にワイルド。
 ブルゴーニュの物まねではないという点は評価できる。が、ピノとして高品質かと問われれば、まったくお子様ワイン的。 この元気はつらつな感じをそのまま素直に楽しむべきだろう。
 太めの脚を惜しげもなくさらけ出して、満面の笑みで踊る昔の"スクールメイツ"みたいな、 私は今18歳の青春を謳歌しているのよ、どこが悪いの、的ワイン。
 例によってこの作り手はボトルのデザインセンスがとても優れている。
<評定:C−>

2002年1月29日  BLANC
VERDICCHIO DEI CASTELLI DI JESI CLASSICO SUPERIORE (D.O.C.) 1999 CASAL DI SERRA / UMANI RONCHI
ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イェージ クラッシコ・スペリオーレ "カサル・ディ・セッラ" / ウマニ・ロンキ
イタリア、MARCHE州

 だいたいイタリア語をちゃんと勉強したことがないし、wineもといvinoの名前くらいはなんとか読めるようになってきたとは言うものの 名前の長いものが多くて閉口する。VERDICCHIOはぶどう品種名であり、そのままDOCになっているという、フランスで言えばMUSCADETみたいな感じだ。 パスタ屋さんなどでよく見かける魚型のボトルに入ったぺシェヴィーノも確かこの品種だったと思う。
 色はかなり濃く、黄色みが強い。ネギのような深緑っぽい香りとレモン的刺激が混ざっている。口当たりは丸く、ふくよかで、 トロピカルな印象だが、酸も強い。後には苦味も残る。ボディに厚みがあるが、メリハリに欠け、寸胴な印象。酸がよく効いているところが救いか。 若いのに肝っ玉母さん的な、腰の座ったワイン。入手価格は\1,000。
<評定:C+>

2002年1月30日  ROUGE
SALENTO (I.G.T.) 1999 SANTO STEFANO / CONTI ZECCA
サレント "サント・ステファノ" / コンティ・ゼッカ
イタリア、PUGLIA州

 今日はイタリアIGTの赤。
 色はやや褐色に傾いておりザクロのよう。もしかすると劣化しているのではないかと疑わしいほど今までに経験したことのない香り。 傷んだコルクのようでもあり、ビニールホースのようでもある。よく言えば薬草的。
 甘味がふわっと広がり、同時に酸も追随。だが、後味にビニールっぽさがかなり残るので、甘酸っぱさは打ち消されてしまう。
 結局、これが特徴なのか、傷みかけているのかわからないので、公正な評価ができない。しかし、これが特徴だとすれば、 好きなタイプの味ではないが、それなりに面白いキャラクターだと思う。
<評定不能>



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