利酒日記 kikizakenikki

2003年2月


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2003年2月1日  BLANC
CHATEAU THIEULEY 2001 / BORDEAUX
シャトー・チューレイ / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

 淡いイエローグリーン。香りは、最初ソーヴィニヨンらしい青さがあるもののそれほど強くはなく、 その後に、シャルドネにも似たオイリーなふくよかさが続く。少し不思議な導入部。
 酸がきりっとしており、ふくらみはほとんどなく、薄っぺらな印象。それ以上味わいが続かない。 飲み終えてみれば、あまり記憶に残らないような軽やかさ。
 入手価格\1,290。不満はないが、感動もない。いや、インパクトが弱いということは、 毎日飲んでも多分飽きないのだろう。そういう、さりげないワイン。
(2月3日記す) 
<評定:C>

 

2003年2月3日  BLANC
DOMAINE DE BOISSAN "SABLET" 2001 / COTES DU RHONE VILLAGES
ドメーヌ・ド・ボワサン "サブレ" / コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ
COTES DU RHONE地方、AC:COTES DU RHONE VILLAGES

 やや黄色みが強く、ねっとりした印象。甘くふくよかなマスカット香があり、想像していたものとはちょっと違う。 味わいもかなり甘く、だから飲み応えはある方だと言える。飲み込んだ後にも口中にほんのり甘さを残す。
 入手価格\1,600。600本しか輸入していないとかで、大々的に売っていたものだが、そんなに珍しいものなら、 と買ってしまった私は、まんまと戦略に乗せられたということか。まあ、おもしろいワインではあるのだから、 それほど損をした感じもない。ただ、ローヌらしさというものが特に感じられないので、積極的に評価する気にもなれない。
<評定:D>

2003年2月4日  ROUGE
CHATEAUNEUF-DU-PAPE 1999 / E. GUIGAL
シャトーヌフ・デュ・パプ / E. ギガル
COTES DU RHONE地方(南部)、CHATEAUNEUF DU PAPE地区、AC:CHATEAUNEUF DU PAPE

Guigal Chateauneuf-du-Pape 99  ネットで購入したギガル6本1万円セットの5本目。単体価格は\2,200。
 かなり黒みがかった色で、パワフルさを感じる。甘酸っぱい香りの中に、なめし革のような雰囲気がある。 口に含むと、力強いタンニンとともに、ぎっしり詰まった果実味が炸裂するように口中に広がる。 甘みが豊かだが、ワイルドなタンニンのために引き締まった印象を与える。 まとまりには欠けるが、実に南のワインらしい。
 5本目にして初めて本当のローヌを感じた、と言える。しかし、本来の値段は3,000円近いであろうことを考えると、 手放しで絶賛できるわけでもない。

 蛇足だが、このAOC名のchateauとneufを別の単語として区切って表記しているのをたまに見かけるが、 "chateauneuf"と続けるのが正しい。確かに、本来の意味からいうと、chateau=castle、neuf=newであるから区切りたくなるのはわかる。 日本語で書く場合も、"シャトー・ヌフ〜"ではなく、"シャトーヌフ〜"と書かなければいけない。
<評定:C>


2003年2月8日  BLANC
CASTILLO DE MOLINA CHARDONNAY RESERVA 2001 / VINA SAN PEDRO
カスティーヨ・デ・モリーナ シャルドネ・リゼルヴァ / サン・ペドロ
チリ、LONTUE VALLEY

Castillo de Molina Chardonnay Reserva 01  典型的なチリの上級シャルドネ。しかし、あまりに当たり前すぎて感動がない。
 色は黄色みが強く、黄金色に近い。香りは黄桃やトロピカルフルーツの中に、若干の石油香も感じる。 味わいも非常にヘビー。まるで熟した果物を噛んだようなたっぷりとした甘酸っぱさが口中に広がる。 後味にはカスタードの風味が残る。
 入手価格\1,680。通常価格は\2,000とのことだが、まあ\1,890くらいで店頭に並ぶのが一般的ではないだろうか。 それを前提に下記評定。
 あまりも予想通りの充実度で、決して不満があるわけではないが、面白味には欠ける。 もっと細身であるとか、反対にもっともっとねちっこいとか、ある程度予想を裏切ってくれないと、 このクラスのチリワインとしては物足りない。もしこれが1,000円ならば、手放しで大歓迎なのだが。
 この作り手(サン・ペドロ社)のワインは、廉価版も含めて、大柄で明け透けな感じのものが多いような気がする。
<評定:C−>


2003年2月11日  ROUGE
GATO NEGRO CARMENERE 2002 / VINA SAN PEDRO
ガトー・ネグロ カルメネール / サン・ペドロ
チリ、CENTRAL VALLEY

Gato Negro Carmenere 02  カルメネールという品種は知らなかった。昔はフランスでも植えられていたものらしいが、今は聞かない。 チリでは多く植えられているらしいが、これは今年から出し始めた新製品だとのことで、店頭で試飲販売していたもの。
 色はしっかりと深みがあり、香りは甘酸っぱさが中心だが、粗暴ではない。口当たりも比較的やわらかく、 甘いかと思えばスッと消えてゆく不思議な味わい。奥深さがないだけ、と言ってしまえばそれまでだが、 入手価格\680を思えば、むしろこの端正さは立派。後味にコーヒーのようなフレーバーが残る。
 このガトー・シリーズは、サン・ペドロ社の廉価版ブランドだが、とても安いので気軽に楽しめる。 深く考えずにごくごく飲める、いわゆるカジュアルなワインだが、そのわりに個性がちゃんとあって好感が持てる。
 安売りをしていない時でも、850円位なので、それを前提に評価。
 GATO NEGROとは、仏語だとchat noir、英語だとblack cat、つまり黒猫だ。
(2月13日記す)
<評定:B>

2003年2月13日  ROUGE
CASTILLO DE MOLINA CABERNET SAUVIGNON RESERVA 2000 / VINA SAN PEDRO
カスティーヨ・デ・モリーナ カベルネ・ソーヴィニヨン・リゼルヴァ / サン・ペドロ
チリ、LONTUE VALLEY

 3本続けて同じ作り手のワイン。今度はカベルネの上級品。
 やや褐色がかった深紅で、若さを感じない。香りは折り目正しいカベルネといった感じで、火薬やイオウのようなニュアンスを伴う。 口当たりはかなり引き締まっており、相当な重みのあと、遅れて甘みがふわーっと広がる。この甘さが、まさにチリを感じさせる。 余韻もなかなかで、ヴァニラっぽい感じがじんわりと残る。
 入手価格は\1,680。シャルドネと同じく、通常価格は\2,000程度らしいが、大きく不満もないかわりに、 感動もあまりない。ただ、チリカベだなあ、と納得する味わい。無論、上記ガトー・ネグロのシリーズよりも 実力は数段上だし、下手なACボルドーなんかよりも、よっぽど充実感がある。
<評定:C>

2003年2月16日  SPARKLING
MOUTARD BRUT GRANDE CUVEE / CHAMPAGNE
ムタール・ブリュット グランド・キュヴェ / シャンパーニュ
CHAMPAGNE地方、AC:CHAMPAGNE

 なぜこの時期にシャンパーニュなのかというと、実は昨年12月に購入していたのだが、クリスマスにも、 お正月にも飲む機会を逸してしまったものである。
 泡は非常に力があり、大きな泡が持続する。華やかさには欠けるものの、いわゆる酵母臭がしっかりとあり、 引き締まった印象。口に含むと酸が生き生きとしており、甘さのみじんもなく、それでいてじんわりとした旨みがある。
 入手価格は\2,000。シャンパーニュがこの値段、ということで、もし内容がすばらしかったら儲けもの、と思って購入。 予想を大きく上回る実力に、うれしくなった。倍の値段でも納得する。
<評定:AA>

2003年2月18日  ROUGE
CORTON LES BRESSANDES GRAND CRU 1992 / ANTOINE CHATELET
コルトン レ・ブレッサンド グラン・クリュ / アントワーヌ・シャトレ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、ALOXE-CORTON村、AC:CORTON LES BRESSANDES

Corton Les Bressandes 92  今なぜ、グラン・クリュか。実はこのワイン、何年か前にセールで\4,500程度で購入して、 我が家の特製セラー(別名、押入れ)に寝かせていたもの。 ほとんど存在を忘れていたと言ってもよく、変質しないうちに飲んでしまおうと、何もない普通の日に急遽開けることにした。
 色はかなり褐色に傾いてはいるが、透明度が高く輝きがある。まろやかなヴァニラ香の奥にイオウ臭があって、 たくわんのようでもあり、かなり熟成が進んでいることが分かる。
 口当たりは、意外にもまだ酸が生き生きとしており、ほのかに甘みも感じる。 角の取れた酸がふわっと広がり、後に残る。タンニンは唇の裏に少しひっかかる感じ。
 とにかく変質していなくてよかった。11年前のヴィンテージで、粗末な保管方法でも、 これだけ品質を保持していてくれた。が、そもそもそれほど力のないワインだったようだ。 十分おいしいのだが、値段を考えれば得をした感じはまるでない。
<評定:C>

2003年2月19日  ROUGE 
CHATEAU L'ARGENTEYRE 2000 / MEDOC
シャトー・ラルジャンテイル / メドック
BORDEAUX地方、MEDOC地区、AC:MEDOC

 色はやや紫がかっているが、濃い。香りは落ち着き払っていて、いかにもボルドーらしい。 ピーマンのようなシシトウのような緑っぽさがあり、その奥にひっそりとヴァニラ香がある。 味わいも実に落ち着いていて、主張は弱いが品が良く、しっかりめの酸が全体を引き締める。 甘みはみじんもない。ふくらみや重みがないのはこのクラスでは仕方ないだろう。この端正さだけで十分と言える。
 入手価格\1,680。この奥ゆかしさ、この安定感は立派。2002年パリのコンクールで銀賞受賞とのこと。 静かな実力派と言えよう。
<評定:C+>

2003年2月24日  ROUGE
BOURGOGNE ROUGE PINOT NOIR 2000 / MARIE-LOISE PARISOT
ブルゴーニュ・ルージュ ピノ・ノワール / マリ・ルイーズ・パリゾ
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

 入手価格\1,100のブルゴーニュ。
 色は薄く、グレナデンシロップのよう。香りは、ひと嗅ぎでピノとわかるゴム臭だが、 同時に甘い雰囲気もある。味わいは香りの印象のとおり、甘酸っぱく、確かにピノらしさはあるものの いかんせん深みがなく、ぺらぺら感は拭えない。すいすい飲めてしまい、しかも大した後味を残さない。
 いくら安ブルゴーニュだからといって、これではあまりに淋しい。決して不味くはなく、しかも、どこからどう見ても ブルゴーニュ以外の何者でもないのに、上澄みのような印象。存在感のない劣等生みたいなワイン。
<評定:D>

2003年2月27日  ROUGE
CHATEAU PONTAC LYNCH (CRU BOURGEOIS) 1996 / MARGAUX
シャトー・ポンタック・ランシュ / マルゴー
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、MARGAUX村、AC:MARGAUX(ブルジョワ級)

 深いガーネット色。腐葉土のような落ち着き払った香りに、エスプレッソのような焦げ臭も。時間とともに、鉄っぽさも出てくる。 口当たりは意外にも酸のぴちぴち感があり、重みはなく、広がりもない。タンニンはやや荒く、ひっかかる。 ただ、底力があると思うのは、時間とともにいろんな香りが出てくるところ。余韻も決して短くはない。土ぼこりとタバコの後味がある。
 入手価格\2,000。マルゴーにしては、肉付きがあまりよくない。線が細いワイン。 不満はないけれど、面白みもあまりない。
<評定:C−>


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