利酒日記 kikizakenikki

2003年6月


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2003年6月1日  ROUGE
CHATEAU DE LUSSAC 1998 / LUSSAC ST-EMILION
シャトー・ド・リュサック / リュサック・サンテミリオン
BORDEAUX地方、ST-EMILION(SATELLITE)地区、AC:LUSSAC ST-EMILION

Chateau de Lussac 98  12本18,000円セットの2本目。実はこれだけハーフで、2本で1本分の計算である(つまりこのボトルを空けても、 同じものがもう1本ある)。
 色は深い暗赤色(いわゆるガーネット色)で、期待感は上々。
 枯れて落ち着いた感じの香りが、なんとも威風堂々としている。奥の方にインクっぽい匂いがある。
 アタックは極めて柔らかく、タンニンはシルクのようになめらか。酸はやさしい。 ボディの厚みにはやや欠けるが、その分、実に上品でまろやか。しみじみいいワインだなあと感じる。
 単体での通常価格は2本で\1,960。それを前提に下記評定。
 馬でいえば、非常に毛並みのいい若い牝馬。人間でいえば、見るからに気立ての良さそうなお嫁さん候補No.1 (こういう言い方も、差別的発言になるんだろうか)。派手さはないが、楚々とした美人。 もう少し熟成させると、もしかすると妖艶な魅力が出てくるのかな?という感じもするワインだ。
 冷静に見ればパワー不足であることは否めないが、それを補って余りある柔らかさ、丸さ。
 倍以上の値段でも良いと思う逸品だ。
<評定:A>


2003年6月2日  SPARKLING 
MARCHESI DE FRESCOBALDI BRUT 1998 / TRENTO (D.O.C.)
マルケシ・デ・フレスコバルディ ブリュット / トレント
イタリア、TRENTINO-ALTO ADIGE

Frescobaldi Brut 98 Frescobaldi Brut 98 glass  12本18,000円セットの3本目。唯一の泡もの。
 注いだ時の泡(form)は勢いよく盛り上がり、実にパワフル。液色は輝くゴールド。 グラスの底からいつまでも水泡(bubble)が立ち上る。
Frescobaldi Brut 98 label  香りは、シトラスの爽やかさと、ハーブのような複雑さが共存。 味わいは深みがあり、甘く感じられるほどのふくよかさだが、キレの良い酸が後を締める。 飲み応えと爽快感を両立している。
 間違いなく、私が今まで経験したスプマンテの中では、ダントツのクオリティ。 何杯飲んでも飲み飽きることなく、夢心地の時間は続く。
 ヴィンテージ入り、しかも、FRESCOBALDIというbig nameに惑わされているのかもしれない。 いや、どこから見てもけなす要素は見あたらない。このクラスにしては。
 「8,000円のシャンパーニュです」と言われたら、素直に信じるだろう。 これが通常価格\2,500とは、ただただ驚きだ。
<評定:AA>


2003年6月5日  BLANC
CLOS MONT-BLANC CHARDONNAY 2001 PREMIUM / CONCA DE BARBERA (D.O.)
クロ・モンブラン シャルドネ・プレミアム / コンカ・デ・バルベラ
スペイン

Clos Mont-Blanc Chardonnay 01  12本18,000円セットの4本目。
 麦わら色。まず柑橘の香りが先に立ち、次いでトロピカルな甘い雰囲気が感じられる。 香りのシャープさに反して、口に入れた瞬間のボリューム感はすごい。アルコール度数が高い(13.5%)ので、 そのせいもあろうが、パイナップルのような味わいが、パァーっと広がり、密のような甘さが残る。 カスタードのような余韻も長い。濃密で、熱い1本と言えよう。
 単体での通常価格は、\1,900。なかなかいいね。ただ、値段以上の感動は、残念ながらない。
 ところで私はスペイン語がよくわからない。しかもこのようにフランス語や英語まで混じると、 どこを何語でどう読んだらいいのか迷う。
<評定:C>


2003年6月7日  ROUGE 
CELLAR SELECTION MERLOT-CABERNET FRANC 2002 / SILENI ESTATES
セラー・セレクション メルロー・カベルネフラン / シレニ
ニュージーランド、HAWKE'S BAY

 12本18,000円セットの5本目。既に同じ作り手、同じシリーズの白を開けているが、今度は赤。
 色はなかなか濃い。香りは、最初「ボルドーっぽい」感じがするが、じっくり嗅いでいると、アルゼンチンのマルベックとカベルネソーヴィニヨン のブレンドみたいな感じに変わってくる。適度に深みがあって、スパイシー。
 口当たりはやわらかく、酸はほどほど。タンニンも丸い。じんわりした甘味が心地よい。
 香りの第一印象で感じた力強さはなりをひそめ、飲み進めるほどにやさしいワインであることがわかってくる。 やはり、MERLOT & CABERNET FRANCのゆえか。言われてみれば、この青臭さがカベルネフランだよなあ、って感じ。
 単体での通常価格は、\1,900。丁寧で折り目正しい感じだし、不満はないけれど、もう少しインパクトのようなものが欲しい。 入手価格の平均単価\1,500で考えればほぼ値段なりではある。
 生真面目で努力家で、絶対に平均点を下ることはないけど、冒険もしないのでいつも65点って感じの"中堅企業サラリーマン"的ワイン。 安定感はあるが、面白みはない。
 エチケットのデザインがシャルドネとまったく同じなので、写真は割愛した。
<評定:C−>

2003年6月10日  BLANC
DOMAINE MAGELLAN 2000 LES COLLINES / VIN DE PAYS DES COTES DE THONGUE
ドメーヌ・マジュラン レ・コリーヌ / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・トング
VINS DE PAYS

Domaine Magellan Les Collines 00 blanc  12本18,000円セットの6本目。VdPの白。
 セパージュが書かれていないので、何が使われているか全くわからない。
 色は淡いイエローグリーン。 香りに若干の青臭さと石油っぽさがあるが、甘く丸い感じが中心。
 味わいも優しい。酸の刺激はほどほどで、すぐに甘さが広がる。悪く言うとテンションが低く、 だらけた印象。飲みやすく、食事の邪魔もしないが、主張はない。
 少なくともヴィオニエは使われているんだろうな、という風味だ。
 単体での通常価格は、\1,600。もっと酸が鋭いとか、反対にクリーミーだとか、何か個性が欲しい。 飲んで不味いわけではないので、余計に残念。
 今回の12本セットの中では、今のところ一番凡庸。
<評定:D>


2003年6月11日  ROUGE
DOMAINE MAGELLAN 2000 LES COLLINES / VIN DE PAYS DES COTES DE THONGUE
ドメーヌ・マジュラン レ・コリーヌ / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・トング
VINS DE PAYS

 当サイトには、この利酒日記のほかいくつかのページがある。いわば玄関がいくつもあるような感じだから、 訪れる方にはわかりにくいんだろうな、と思う。
 最近では、「ビール・発泡酒・チューハイの部屋」への訪問者も急増していて嬉しいかぎりだが、 これだけ細分化していると、全部を継続して更新してゆくことも大変だし、それぞれのページの独自性を保つのも難しい。
 更に、私にとってこのサイトは裏の顔、遊びのサイトだ。極力まじめなことは書かないようにしているから、 書き方も限定される。 表の顔(サイト)の方にもたくさんコーナーがあるので、自分でも全部を把握するのが大変だ。
 こんなふうに前置きが長くなるのも珍しいのだが、利酒日記だけしか見てくれていない読者も相当多いと思うので、 たまには別ネタを入れた方がいいのかな、と。
 なぜこんなことを思ったか。それは、安ワイン仲間であり、相互リンクさせて頂いている「二代目通信」 の時事ネタが、最近とみに読ませる内容だからだ(ご存知ない方は、是非訪問されたい)。
 当サイトでも、これからもしかすると、nidaime氏の真似をして、テイスティングの前に政治ネタとか登場させてもいいかな (いや、そんなものはいらんという方。抗議メールくだされ)。
* * * * *
 さて、今日のワインは、12本18,000円セットの7本目。昨日と同じ作り手の赤。
 色は深く、南仏的。アルコール度数が極めて高い(14%)こともあって、香りにブランデーにも似た豊潤さがある。 豊かな果実味の奥に、かすかに皮革かゴムのような感じも。後味が意外にもさっぱりしているので、 ACローヌかとも思うほど。
 単体での通常価格は、\1,600。もう少し個性が欲しい。これが\1,000ならば上出来なのだが。
 思うにこの作り手は、冒険を好まない、無難な味に仕上げるのが特徴のようだ。VdPはもっと破天荒でいい。
<評定:C−>

2003年6月14日  BLANC
CHABLIS 1er CRU VAILLONS 1998 / DOMAINE COSTAL
シャブリ・プルミエクリュ・ヴァイヨン / ドメーヌ・コスタル
BOURGOGNE地方、CHABLIS地区(1級)、畑名:VAILLONS

Domaine Costal Chablis Vaillons 98  セットものをお休みして、今回は単品入手もの。
 時々出くわす、格安1級畑。掘り出し物などあるわけない、とわかっていながら、どうしても気になって入手してしまう。 2,000円なり。
 色は淡いイエローグリーン。香りはさわやかな柑橘香が中心で、予想以上にあっさりとした第一印象。
 口に含んだ瞬間の酸は適度に丸く、かすかにミルキーな感じも。十分にミネラリーで、シャブリらしい。 ただ、いかんせん伸びがなく、すっと入ってすっと消えてゆく。ひっかかりがなさすぎ。
 よく言えば食事の邪魔をせず、適度によさげな味わいで、ワイン慣れしていない人には絶賛されそうなシャブリ。 でもやっぱり、これがヴァイヨンだと思ったら大間違いだぞ、と一言釘を刺しておきたい。
 おいしいよ、確かに。レストランで5,000円だとしても、文句はない。 でも自宅で冷静に飲んでしまうとね、2,000円ならもうひとひねり欲しい気がする。厳しいかな?
<評定:C−>


2003年6月17日  ROUGE 
CLOS MONT-BLANC CABERNET-MERLOT 2000 PREMIUM / CONCA DE BARBERA (D.O.)
クロ・モンブラン カベルネ・メルロー・プレミアム / コンカ・デ・バルベラ
スペイン

Clos Mont-Blanc Cabernet-Merlot 00  12本18,000円セットの8本目。既に白も登場しているが、今度は赤。カベルネソーヴィニヨン&メルローである。
 色は実に濃いが、やや青みがかっていて、ウエルチのグレープジュースみたいな感じ。
 香りは、カシスっぽい果実味の上に、スッとした墨汁のような感じがあって、いい雰囲気のヴァニラ香も。 ACボルドーかボルドー・スペリュールと言われても全然わからない(私には)。
 味わいにも深みがあって、樽の雰囲気は適度だが、酸が立っているので非常にテンションが高い。タンニンはきめ細かい。 樽香の余韻がじんわりと持続。
 単体での通常価格は、\1,900。1,000円台でこの風格は、なかなかない。日常飲みのワインとしては、贅沢だと思う。
<評定:B>


2003年6月23日  SPARKLING
FREIXENET BRUT NATURE 1998
フレシネ ブリュット・ナチュレ
スペイン、CAVA

Freixenet Brut Nature 98  今日の夕食は、うるめいわしの丸干、冷奴、肉じゃが、韓国産キムチ、ワカメのみそ汁という、まるで居酒屋メニュー。 これに泡ものをぶつけてしまうのが、私の安ワイン者としての経験ゆえである。淡泊な味あり、苦いものあり、辛いものありという 雑食には、口の中をニュートラルにしてくれるキリッと系がいい。
 気軽な泡ものといっても、これはヴィンテージ・カヴァ。いまや日本でもおなじみの大量生産メーカー、フレシネ。 コルドン・ネグロはよく開けるのだが、このブリュット・ナチュレは、初体験。
 まず泡は大粒で、勢いがある。まあ悪くない感じ。香りはよく言えばスッキリ系、悪く言えば深みがない。 レモングラスのような爽やかなハーブ香+いわゆる酵母臭が若干。味は、かなりシャープで重みはなく、ひたすらすっきり。 広がりも感じない。BRUTの看板に偽りはなく、甘味がまったくない。
 製法は同じでも、やはりシャンパーニュとは別物。充実感とか優美さには欠ける。まあ仕方ないね。
 入手価格はジャスト\1,000。普通はこんなに安くはないだろう。だから、大阪の阪神百貨店で見つけた瞬間にgetした。 通常売価はおそらく2,000円弱といったところだろうと考え、それを前提に下記評定。 1,000円で入手できたのは、お買い得であった。
<評定:C>


2003年6月26日  ROUGE 
CHATEAU VERDIGNAN 1999 (CRU BOURGEOIS) / HAUT-MEDOC
シャトー・ヴェルディニャン(ブルジョワ級) / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区

Ch.Verdignan 99  12本18,000円セットに戻って、9本目。今度は、メドックのブルジョワ級。
 色は深いがやや赤みが強い。縁は透明からピンク色。
 香りは黒っぽい果実香、湿った土、コーヒー、樽のヴァニラ香などのバランスがよい。スパイシーな感じもする。
 口当たりはやわらかいが、タンニンが結構力強く、ひっかかる感じ。酸はほどほど。甘味は弱い。 飲み干した後に、まろやかなヴァニラ香がふうーっと残る。
 適度に力があって、心地よい樽香があって、テンションが高くて。まぎれもないボルドー。 単体での通常価格は\2,200。十分納得。レストランなら5,000円ってところだろうか。
<評定:C+>


2003年6月29日  BLANC
CUVEE CHOUETTE / VINS DE PAYS D'OC / LES VIGNERONS DE LA MEDITERRANEE
キュヴェ・シュエット / ヴァン・ド・ペイ・ドック / レ・ヴィニュロン・ド・ラ・メディテラネ
VINS DE PAYS

Cuvee Chouette  スーパー・ヴァン・ド・ペイの異名もあるキュヴェ・ミティークの姉妹品とのふれこみで販売していた白。 作り手のメディテラネ社は、同じヴァル・ドルビューのグループらしい。
 色はグリーンがかって非常に淡い。香りは、爽やかなライムやグレープフルーツに、マスカットのような甘いニュアンスがある。 ボルドーのアントゥル・ドゥー・メールのソーヴィニヨンに似ている。
 味わいはフレッシュで鋭い酸が特徴。ほんのり広がる甘さもキュート。ただ、厚みはないし、 上質なソーヴィニヨンにあるムスクのような妖艶な感じもないけれど、\1,000の入手価格を考えれば、 これ以上は望めない。おそらく高くても\1,500程度だと考えられるので、上出来と言わなくてはならない。
 不思議なことに、ノン・ヴィンテージである。ヴィンテージがなくともヴァン・ド・ペイの等級が認められるとは知らなかったが、 値段と品質を考えると、複数年産のワインがブレンドされていようとも、特に大した問題ではない。
 想像していた以上の出来映えであった。
 セパージュは、グルナッシュブラン45%、ソーヴィニヨンブラン35%、コロンバール20%と書かれている。
<評定:A>



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