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2006年5月


2006年5月7日
 有効な少子化対策とは。

 毎週日曜の夜に見ている「人物ライブ・スタメン」という番組(フジテレビ系22時〜)で、 いわゆる少子化問題を取り上げていた。
 その中で、子供を持たないと決めた夫婦、その反対に、できるだけたくさん子供が欲しいと考える夫婦それぞれが紹介されていた。
 子供は要らないという夫婦は、金銭的な問題に加え、子供に振り回されるよりも自分たちの人生を歩みたいという意見。 子だくさんの夫婦は、子供から幸せをもらっているという意見。私は、そのどちらもよく分かる気がした。

 我が家は、子供が1人。私自身、昔から子供が嫌いだったが、できてみれば、かけがえのない家族が1人増えたことの尊さみたいなものを実感する。 なぜ1人かと言えば、子供との人生も味わいたい、自分たちの人生も大切にしたい、という二兎を追った結果とも言える。 それに1人なら、例えば本人が留学したいといえば叶えてあげることは可能だが、3〜4人もいたらそれも容易ではない。 子供に色んなチャンスを与えてあげようと思った結果、我が家は1人という結論になったのだ。

 よく、「子供を作りたくないというのは、わがままだ」といった論調があるが、子育て中の親としてハッキリ言わせてもらえば、 それは子育てに積極的に関与したことのない化石オヤジの戯言にしか聞こえない。 子供を持たないという選択も自由であるし、たくさん持ちたいという選択もまた自由なのである。

 番組に登場していた子だくさん家族は、年収300〜400万円台でもやりくりして、楽しく暮らしているという。 一方、年収800万円でも子供を持つことは無理という夫婦もいた。これは、それぞれの価値観の違いであって、 いずれも「自分たちの幸せ」を大事にしている点は、まったく同じなのだ。

 なぜ結婚して家庭を持つのか。それは、幸せな人生を送るためだろう。ならば、洋服や食べ物を切り詰めても子供の笑顔を見るのが 夫婦の最大の幸せという家庭もあっていいし、夫婦がそれぞれ職業人としてバリバリ働くのが最大の幸せという家庭もあっていい。

 少子化を助長しているのは、わがままな夫婦が増えたからではなく、「子供を持つことが最大の幸せ」という人生を送るための ハードルが高くなっていることだ。大切なのは補助金を出すとかそういう目先のことではなく、 子供を社会全体で育てるという体制を作ること。

 我が家の例をあげれば、息子誕生後、妻が働きに出るため市立保育園の入所希望を出しに行ったら、 先に就職先を決めてから申し込んでくださいと言われた。そんなふざけた話があるか!と思った。 保育所が決まらなければ就職口など見つかるわけがないのだ。運良く、「保育所に入れることを前提に採用」と言っていただけたから 目的を達することができたが、そんな環境に恵まれる人ばかりとは限らない。
 小学校に上がって妻は専業主婦になったが、小学校には学童保育があるので、働いている母親も多い。 こういう、「社会で子供の面倒を見る体制」がもっと充実しない限り、少子化は止まらないというのが、私の実感である。
(妻は専業主婦と書いたが現在は私の事務所の経理と雑用を頼んでいるので、働いてもらっているわけだが、 基本的に事務所には出勤せず自宅でやっているから、勤め人とはちょっと違う)

 ちなみに、「子供が小さいうちは母親は家にいるべきだ」といったことを強硬に主張する人が時々いるが、そういう人はたいていマザコン礼賛、 あるいは男尊女卑思想が強い。母子家庭で子供をかまってやれなかったから不良になった、などともっともらしく分析してみせるのも、その類の輩だ。 どんな環境にあっても、子供を真っ直ぐ育てるのは親の義務である。父親がバリバリ働いて母親が家庭を守るから子供が真っ直ぐ育つ なんて単純な話ではない、と私は断言する。

 小学校高学年になって、息子も進学塾に通い始めた。金銭面だけでなく、精神的にも子供を支えるのが親の役目であり、 それを余裕を持ってするためには、我が家はやはり1人でよかったと思っている。 「一人っ子なんてもってのほか」などと軽々しく言う方々には、じゃあ今のこの世の中で、 子供の将来の色んな可能性を最大限に伸ばしてやれるような子育てを、実際に自分の時間を割いてやってみなさい、と申し上げたい。 まあ私だって、そんなに偉そうに言えた父親ではないのだけれども。


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