時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2007年10月


2007年10月15日
 はびこる幼稚な二元論


 自民党の安全保障調査会長・中谷元氏が、出演したテレビ番組で、 自衛隊のインド洋での給油活動について、「テロをなくそうという国際社会で非常に評価されている。 これに反対するのはテロリストしかないのではないか」と発言し、民主党を批判したという。

 こんな子供っぽい物言いに対して、一々反応するのも大人げないのだが、 この程度の政治家がうようよといる事実、そして、こんなひどい発言に感化されてしまう国民も少なくないと思うので、 ひとこと言っておきたい。

 一番大切なことは、今やっていることが本当に世界平和のためになっているのかどうかという点なのに、 その点への考察はまったくなく、自分たちの行動は全面的に正しいのだと、無根拠に強弁しているだけである。 そして、それに反対する者=悪、というレッテルを貼ろうという、横暴。

 思えば、こんな横暴がまかり通るようになったのは、小泉政権から。
 自分の進める「改革」は絶対善で、それに反対する者は「守旧派=悪」と決めつける。 いつの世も、こんな単純な二分法(二元論)を展開して恥じないのは、 それによって一般庶民などいとも簡単に操作できると思っている狡猾な独裁者か、 あるいは自身も本当にそれを信じてしまっている××かのいずれかである。 改革といえばすべて善だと、無批判的に信ずる国民が多すぎることにも、閉口するのだが。

 仮に世界のすべての国の人々が、本当にテロをなくそうと考えているとして、 そして、そのための行動をしているとして、それが本当に世界平和を作ることにつながっているのか。 人類の幸せに貢献しているのか。そういうレベルで考えた上で、海外での行動を決めるべきなのに、 そういう議論が一切ない、政治の世界の恐ろしさ。

 件の中谷氏の発言に対し、「国民の3割が給油活動に反対しているが、そうしたら日本に3割のテロリストがいる という話になる」と反論した、民主党・鳩山幹事長も、レベルは大して違わない。お粗末である。
 いや、わざと相手のレベルまで落として返すことによって、 相手のアホさ加減を知らしめようという意図なのか。だったらいいけど。

2007年10月28日
 子供は日々成長するが、大人が変わるのは難しい


 一昨日の亀田選手の会見を見た私の感想は、「興毅、見直したぞ」。

 亀田家に対して、「確かに態度は悪いが、あれもパフォーマンスの一つだし、 勝って結果を出しているのだから偉い」という意見が、以前は多かったように思う。 マスコミがそういうふうに誘導していた面もあった。
 ところが、あの「事件」が起こった途端、皆が一斉に、亀田家バッシングを始めた。 これまで散々持ち上げておいて、ひとたび事が起こると、手のひらを返したような態度に出る マスコミには呆れるばかりだ(特に、TBS!)。

 私は、「結果を出しているからいい」という論調には、 最初から不満であった。どんなに強かろうが、 人を食ったような、我が物顔の亀田兄弟の態度は、 スポーツマンとして失格だと、常々腹立たしく思ってきた。 たとえマスコミがそのような態度を演出しようとしていたとしてもだ。

 報道によれば、再度の謝罪会見を金平会長から促されたとき、 父親は「ああいう場所は苦手」といって拒絶したという。そこで長男興毅選手が、 「亀田家を代表して俺が行く」と申し出たらしい。

 いくらボクシング界から身を引くからといっても、 父・史郎氏の態度は「逃げ」に過ぎない。情けない、という以外に、言葉が見あたらない。

 再度の謝罪会見で、涙声で「世界一のオヤジ」と言った興毅選手は、立派に役割を果たした。 反則の指示があったのか?との記者からの執拗な攻撃に、なかなか自分からYESと言わなかった点が ダメだ、という評もあったようだが、そもそもあれは、父親が出てきて責任を取るべき話だ。

 もちろん、責任を取るとは、出てきて謝るということではない。 事実を話し、それに対する今後の対応をきちんと説明することが必要だ。 何か事が起こると、「出てきて謝れ」という人が少なくないが、 謝るのを見てただ溜飲を下げるというのは、悪趣味の極みだと私は思う。 大切なのは謝罪ではなく、してしまったことを認めることと、 それに対する後始末だ。

 せっかくの才能を、周囲の大人がつぶしてはならない。当の大毅選手ともども、これからの彼らに期待しよう。

 "変われない大人"は、迷惑をかける前に、去るべきなのだ。 私も一人の父親として、息子の足を引っ張るようなことだけはしたくないと、 つくづく思った。


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