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表上でざっと数字だけを追ってみても、世帯年収が高くなるに従って、
正答率も高くなっている様子がはっきりとわかる。 詳細な報告書がどこかにないかと検索してみたのだが、見あたらなかったので、 表の「国語A」と「算数A」の数値を用いて、ごく簡単な分析をしてみることにした。 各科目の正答率と世帯年収との関係がわかるように視覚化したものが、上の2つのグラフ(散布図)である。
世帯年収については、それぞれの階層の中央値(但し、200万円未満については150万円、
1500万円以上については1700万円)を統計上の階級値としてある。
国語Aの正答率 = 5.8147 + 9.8205×LN(世帯年収)統計学を勉強された方ならわかるはずだが、回帰分析で決定係数が0.96を超えているというのは、 極めて説明力が高い。つまり、各科目のテストの正答率は、世帯年収でほとんど説明できる のである。言い換えれば、今回の学力テストにおける子どもの国語Aと算数Aの正答率と、 世帯年収には密接な「相関関係」がある(有意水準1%どころか、0.1%でも帰無仮説は棄却される)。 ただ、間違えて欲しくないのは、 両者に「相関関係」があることが証明されても、「因果関係」が証明されたことにはならない点である。 つまり、テストの正答率という「結果」を決める「原因」が、世帯年収であるなどと 証明されたのではないということである。理由はわからないが、両者の数字には「相関関係」があるという 点だけが、事実なのである。 では、子どもの学力を決める「原因」は何か(・・・ここからは統計的事実ではなく、 私見である)。 もちろん、直接的な原因は、端的に「学習量」なのではないかと推察されるが、 子どもを学習へと駆り立てる要因を想像してみると、やはり家庭環境というものが 大事ではないかと、私は考えるのである。 世帯年収の高い家庭は、両親(その年収を稼ぎ出す親たち自身)が高学歴である確率が高い。 すると、子どもに要求する最終学歴も、親自身の最終学歴を基準として考えるであろうし、 そもそも家庭における日常会話も、(誤解を恐れずに言えば)知的なものが多いのではないだろうか。 もちろん、学歴だけで会話の知的水準が決まるわけではないから、断言してはいけないが。 「ウチの子は勉強しない」と嘆く親は少なくない。
タレントで映画監督の北野武氏(弟)、大学教授の北野大氏(兄)という兄弟は、 彼らがTVなどでも公言しているとおり、貧しい家庭で育てられたと聞く。 だが、彼らの知的水準が非常に高いことは、見ていてよく分かるであろう。 教育に十分かける資金がなかったとしても、親の意識、意欲、 創出する知的環境によって、子どもはその才能を開花させるという良い例ではないだろうか。 さて、翻って我が家では子どもとどんな会話をしているかといえば、 「あそこのうなぎは関東風」とか、「500系のぞみはまだ1日2往復くらいある」とか、 「カードで買ったほうがポイントが付いてお得」とか、なんか消費のことばかりだ。 息子が小学生の時にお世話になっていた塾の先生のところに、中学合格後に挨拶に行ったら、 「次の目標は何ですか」と聞かれ、「まだそこまでは・・」と答えると、 「お父さん、そんなことではダメですよ」と叱られた。 そうなのだ。人生における次の目標を、常に明確に 考えることが、勉強に対するモチベーションを上げる有効な方法なのであり、 そうすれば自ずと学力も伴ってくるのではないだろうか。 HOME 利酒日記のメニューページへ 前月の時事ネタコラム 翌月の時事ネタコラム このページは、K氏の葡萄酒的日常 ・利酒日記の別室で、WEBマスターが時事問題などについて、 勝手気ままに書き綴るページです。 建設的な反論等はwelcomeですが、一方的な抗議のメールなどは受け付けておりません。あしからず。
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