時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2010年6月


2010年6月2日
 出来もしないことを約束するのはホラ吹きだが、出来そうなことしか約束しないのならトップに立つ資格はない


 鳩山首相が、辞任した。今日は1日そのニュースで持ちきりだった。

 途中で放り投げてけしからん、との声あり。いや、辞任に追い込まれたのだ、との解説もあり。 追い込まれたとしても、その原因を作ったのはご自身なのであるが。

 沖縄の民意が翻弄されたと、解説者気取りで語るのは簡単だ。だが、私たち一人一人が、 基地問題を真剣に考えているだろうか。少なくとも、全国民にそのきっかけを与えてくれたという、 ほんの小さな功績だが、その点は鳩山首相を讃えてやってもいいのではないだろうか。

 沖縄がかわいそうだ。でも自分のところで引き受けるのはイヤだ。 それが各地域の本音だとしたら、皆同罪である。その意味で、受け入れを検討してもいいと言った橋下大阪府知事の発言は見逃せない。

 私は、米軍基地が今の規模で国内に存続し続けることに対して諸手を挙げて賛成ではないが、 実際問題として、例えば社民党の言うような海外移設などが現実的ではないことを踏まえれば、 当面どこかが受け入れざるを得ない。とすれば、大阪で受け入れる(それが本当に可能なら) というのも、一つの案であろう。大阪府民の一人として、関西空港で受け入れることに、賛成したい。

 あなたは平和主義者ではなかったのかと、関西の身近な知人たちから非難されることを承知で書いているが、 沖縄ばかりに負担を強い続けている現状に、我々はもっと真摯に向かい合わなければいけない。

 どうせ赤字続きの関空である。不便すぎてハブ化などできそうにない関空である。 どうせ仁川には勝てるはずのない関空である。有効活用を考えた方がいい。

 所詮そんなことはできるはずがないと分かった上で、橋下さんはただ言ってみせているだけだと、 冷めた意見もあろう。しかし、皆に考えるきっかけを与えたという、その程度の意味はある。

 「最低でも県外」などと、出来もしないことを約束し、沖縄の人々を失望させた首相の罪は重い。 だが、ほかの誰だったら解決できたというのだろうか。 もし自公政権が続いていたら、沖縄の負担軽減などというテーマそのものが、出てこなかっただろう。

 自民党はあいかわらず、口を開けば「解散して国民に信を問え」と、 ただ自分たちが政権に復帰したいだけの発言を繰り返している。 もうあなたたちの役割は終わったのだと、申し上げておきたい(私は、自民党政権に戻ることだけは、絶対にイヤなので)。 近々ある参院選で、いずれにせよ国民の審判が下るのだ。

 次に誰が首相になるにしても、人の命を大切にする政治を、ぜひ遂行していただきたい。 昨年の政権交代で良くなった部分(例えば弱者に光をあてたこと)は伸ばし、誤った部分は改めて欲しい。

 当コラムのタイトルにつけたとおり、出来もしないことを約束するのはただのホラ吹きだが、 出来そうなことしか約束しないような人なら、政治を託す価値はない。

 トップにカリスマ性などいらない。独裁政治はまっぴらである。 その意味で、目立たず、横暴でなく、人の意見を聞く、地味でまじめな人がいい。

 大きな目標を掲げ、それに向かって努力し、何が出来て何が出来ないのか明瞭にし、 出来なかったことは率直に反省して、次につなげる。そんな当たり前の政治を、期待したい。

2010年6月6日
 出来ないことは出来ない、時間のかかることはかかると、率直に語る首相を望む


 首相が交代して、支持率がV字回復したらしい。あいかわらず、世論なんてものは流されやすいんだな、と思う。

 いや、そう思う一方で、鳩山政権の最後に多くの人たちがつくづく嫌だと思っていたことが 解消されたからこその素直な反応なのか?とも思う。 つまり、実行力のなかった首相が身をひき、古い金権政治の権化のような小沢氏が、形の上でも表舞台から退散したこと。 それが、一番の大きな理由であろう。

 菅新総理は、戦後日本の歴代総理の中で初めて、自民党を経験していない人。 市民運動をその政治活動の原点とする人だから、まさしく国民の声をよく聞いてくれるであろうと、期待したい。

 トップには実行力が必要だと、よく言われることだが、 独裁的な実行力ならいらない。そうではなく、この大変な時代にあって、 課題を一つ一つじっくりと取り組む着実さ、誠実さが欲しい。



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