時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2011年7月


2011年7月6日
 彼だけが特別とは思えない


 復興担当相に就任してからたった9日で辞任した松本龍氏のことを擁護するような発言が 各所から聞こえてくることに、少し違和感がある。

 少しと書いたのは、理由がわからないわけではないからだ。 私自身は、どんな背景や理由があるにせよ、あのような発言をする人物を好きにはなれないのだが。

 宮城県知事の反応などからもわかるが、おそらく松本龍という人物は、ふだんは情に厚く、 親分肌でバリバリ仕事をする人なのだろう。そして元々お調子者なのだろう。 重要な任務に就き、意気に感じていたに違いない。そのやる気が、 あのように人を食ったような、俺についてこい的な発言になったのだろう。 それにしても、あんな命令口調はないだろう、と思うが。

 一連の発言の中には、やっぱり政治家の中にある選民意識が見えて、非常におぞましい。 一国の大臣は、地方の首長なんかより権限もあるし、予算も持っているし、偉いんだぞという 本心が見えてしまうのである。国の言うことに従わないと、地方など助けないぞと、 そういう本心が透けて見えてしまったら、被災者の方々が怒るのは当たり前。

 一方、「民主党も自民党も公明党も嫌い」といった発言を問題視する声が多いようだが、 私はあんなことはべつにいいと思う。閣僚だからといって、内閣や指名した首相を批判してはいけない、なんてことはない。 個人のスタンスとして、今の与党も野党も嫌いだが、自分は仕事に邁進するという意思表示なら、 それはそれで悪くはないと思うのだ。

 新聞等では、松本氏を任命した首相の責任が重いとか、これで内閣の求心力はさらに弱まったなどと 分析しているが、今回の騒動は、政治家が誰しも持っている驕りの体質が露呈しただけで、 皆五十歩百歩ではないのかと思う。 でも、ああやって口にしてしまうと、何だこの偉そうなオッサンは!ということになるわけだが。

 

2011年7月19日
 2600日達成しました。


 当サイトの連続無欠勤更新記録が、本日で2600日に到達いたしました。 これもひとえに、毎日PCに向かって頑張っている私自身のお陰です・・って、毎度毎度同じボケ、うざいですね。

 記録の始まったのは、2004年6月6日。7年と1ヶ月以上前のことです。

 そういえば、今年の6月5日に満7年到達のお知らせもしなかったし、 2500日達成時も、特に何もコメントしませんでした。もう、そういった区切りすら、忘れがちになっています。 今日はたまたま2600日に、気づいたというわけです。

 いつ止めよう、いつ止めようと思いながらの約7年でした。忍耐力は、確かに誰にも負けない自信はあるけれど、 それ以上に、一度始めたことを止める決断力がないというのが、私の性格の実態。 まあ、続けるくらいしか能力のない人間なんです。

 いつも前を通る電器屋さんに「アナログ放送終了まであと5日」という電光掲示を今日(7月19日)見たわけですが、 「あと888日」の掲示があった日のことを、鮮明に覚えています。でも、その3倍近い時間、私は頑張っているんだなあ。

 「カウントダウン」には、うら寂しい感じがあるけれど、 当サイトの記録のように数字が増えてゆくというのは、終わりがない分だけ寂しさはなく、 かといってわくわく感もなく、そのうち誰からも忘れ去られるのだろうなと思います。

 訪問者が極端に減ってくれれば、肩の荷が下り、安心して記録を途絶えさせることができそうです。 私自身、密かにそれを待ち望んでいるのかもしれない。いや、そんな寂しいことを考えるのは、やめましょう。 もうちょっと、頑張りますよ。せめて3000日を目指して。

 ちなみに3000日到達は、来年の8月ですが・・。

2011年7月24日
 地デジ化強行は、テレビ崩壊の始まり


 本日2011年7月24日正午に、テレビ地上波のアナログ放送が終了した(但し、岩手・宮城・福島の各県を除く)。

 当コラムに何度か書いているが、私は、地デジ化強行というこの暴挙に、まったく賛成できない。 何を今さら・・と言われるかもしれないが、もっと早くから声を上げていたって、どうせ何か状況が変わったわけでもなかろう。 どんなに多くの人間が反対の声を上げたとて、マスコミに都合の悪いことは一切無視されるというのが、この国の慣わしなのだから。

 ただ、事実を少しでも多くの人に知っておいてもらうことは、とても大事なことだと思うのだ。ネット上では、既に多くの人が 地デジ化の問題を訴えているが。

 そもそもなぜ地上波テレビをデジタル化しなければならなかったのか。 総務省とデジタル放送推進協会(Dpa)が掲げている主たる理由は、「電波の有効活用」である。
 既に電波は飽和状態に近く、もっと効率よく使う必要がある。特にTV放送などはたくさん占領しているのだが、 これをデジタル化すれば、帯域圧縮技術を用いることにより、チャンネルを近接して設定できるから、 これまでVHF帯で4ch,6ch,8chなどと離して設定していたのに比べ、電波帯を有効に活用できるというものである。

 これだけ聞けば、誰しも「結構なこと」と思うだろう。しかし、電波が飽和状態というのは、確かにそうかもしれないが、 その実際の使われ方を見ると、実に無駄が多い。
 例えば、現在既に行われているBS放送などには、とても存在意義が感じられない放送がたくさんある。 地上波テレビ局がそれぞれBS日テレ、BSTBS・・などを放送しているが、地上波の再放送や外国のドラマ、 通販番組などばかりであり、存在自体が無駄と思える。BS11やTwellV に至っては、 1日のうち通販番組の占める割合が尋常ではなく、貴重な電波を使ってやるべきこととはとても思えない。
 BSを整理して、そこに今の地上波を移せばいいだけのことである。だが、そもそもそれは絶対に 口に出してはいけないタブーであったのだ。これについては、後ほど詳しく書く。

 地デジ化するメリットとして挙げられているものに、次のようなものがある。

 ・電波障害が軽減できる
 ・高画質、高音質が楽しめる
 ・双方向通信ができる
 これらも、ほとんど必要のないものか、とてもメリットとは言えないことばかりである。

 地デジで使うUHF帯は、建物の裏側などにも回り込むからよく届くと思われがちだが、 実際には電波障害は解消されるどころか、増えている。
 高画質、高音質については、確かに実感できることだが、 地デジ対応テレビに数万〜十数万かけてまで享受する意味のあることだろうか。 いや、チューナーで済ませれば数千円だと言われるかもしれないが、それだと高画質、高音質にはならない。 TVなどの情報は、届くことがまず大事なのであり、そこに美しさや音の良さを追加するために、多額の出費を強いられる などは、とても納得の行くものではない。
 双方向通信に至っては、そんなものはまったく不要と言えるだろう。クイズ番組等に参加できたり、 懸賞応募ができるというが、そんなことを望む人がいったいどれだけいるのか。しかも、それをするためには、 ネット環境が必要で、既にネット環境を備えている人なら、双方向通信はPCでやればいいだけのこと。 TVでやる必要など皆無である。

 見る側にとって実際にはほとんどメリットなどないばかりか、実はデメリットが大きすぎるのだ。 新たな出費を強いられたあげく、実質的なメリットは「画と音がきれいになる」ことだけ。 それも、チャンネル数の多い都市部はまだ恵まれているが、地方では、地デジ化によって 許し難い不便を強いられる地域がたくさんあるのだ。

 先程、地上波をまるごとBSに移せばいいと書いたが、それならばかかる費用は衛星1コにつき200億。 その他費用を入れても1800〜2000億円という試算がある。 地デジ化で必要な費用が約1兆円というから、5分の1以下で済んだのである。 それをしないで、あえて地デジ化した理由は、ただ一つ。
 「電波利権の温存」

 ただこれだけのために、放送局は持てる力を総動員して、最初から「衛星放送」という選択肢を俎上に載せる ことさえ拒絶し、地上放送を既定路線とした。一説には、「200億で済むのに1兆円かけるなどは狂気の沙汰」 と正論を言った勇気ある役人が、二度と浮かばれないように左遷されたという話がある。

 BSで流してしまえば、全国一律放送となり、地方局は不要となる。 一方、現行制度では電波はタダ同然に、全放送局に割り当てられ、しかも地域独占が保たれている。 こんなにおいしい制度を手放すはずがないのだ。

 これで割りを食うのが、放送局の少ない地域と、県境付近に住む住民たちだ。 これまで、地元局が少ない地域では、隣接県の放送電波を受信(本来の免許区域を越えて電波が届く現象を、スピルオーバーという) できていたが、UHFの地デジになると、遠くまで届かなくなるため、これまで受信できていた局が受信できなくなる地域が続出する。 それどころか、スピルオーバーつぶしのために、隣接区域と同じ周波数をわざとぶつけている地域すらある。

 これこそが放送局側の狙いなのである。

 県域免許制(但し、関東・中京・関西の3地区のみ広域免許となっていて、 他は、瀬戸内地区の準広域圏等の例外を除き、基本的に県単位の免許区域)だから、これまで県境を越えて視聴できていたのが「間違い」であり、地デジ化によって 法に則った「正しい放送区域」のみに供給する。 本音は、県外の放送を見られてしまうと、視聴率が奪われ、経営に大きく影響するから、 つまり、それを阻止することは、地方局を保護することになるのである。 そもそも、つまらない放送を垂れ流している地方局に問題があるのだが。

 最も悲惨なのが、県の区域と経済・文化圏が一致していない地域である。

 三重県名張市は、大阪へ通勤する人も多く、ことばも関西イントネーションであり、 明らかに関西文化圏。これまでアナログテレビは、関西広域放送を見てきた。 ところが、三重県は本来「中京広域圏」に含まれるとして、地デジ化後は関西の放送を見せない という暴挙に出た。住民がこれに怒るのは当然である。文化的にほとんど関係のない名古屋の情報など、 これっぽっちも必要ないという人が多いに違いない。なんとかCATVで今までどおり関西広域圏の放送を 送信(区域外再送信という)することを許す方向になったようであり、当然の結果である。

 静岡県熱海市は、ほぼ東京からの観光客で成り立っている温泉地であり、東京方面に通勤する住民も多い。 山がちで、昔から静岡県の放送が受信できない地区が多く、基本的に関東広域圏の放送だけを見てきている。 ところが、地デジ化後は静岡県の放送を見ろという。 旅館などを営む人たちは、たまったものではないだろう。住民にとってみても、 文化的につながりのない静岡市中心の放送など見せられても、迷惑なだけだろう。 この地域については、まだはっきりとした決着を見ていないようだが、住民本位の結論になるべきである。

 上記のような例は、全国に数限りなくある。住民無視の政策を押しつける暴力以外の何ものでもない。 本来、境界付近は文化の融合地域でもあるのだから、積極的にスピルオーバーさせて、 両方の放送を見られるようにこそ、すべきではないのか。そこで両者に放送内容で競争させればいいのだ。

 私自身は、ありがたいことに、チャンネル数の多い大阪に住んでいるので、その点に不満はないが、 全国どこにいても発生していることとして、次のような問題に直面している。

 CATVが引かれているところについては、2015年3月まで「デジアナ変換」(デジタル放送電波を、 CATV事業者でアナログに変換して供給するもの)が行われるため、アナログ機器が継続して使える。 我が家でも、アナログレコーダーを未だに使っているが、EPG(電子番組表)が使えなくなった。
 そのため、Gコード予約に切り替えたのだが、新聞各紙は、地デジ化を機に、Gコードの掲載を止めてしまった。 ネット上で無料で番組表を供給しているサイトのほとんども、掲載中止してしまった。
 これは、集団いじめとしか、思えない。まだGコード自体は存続しているはずなのに。
 (ちなみに、大阪のCATVでは、神戸サンテレビも、KBS京都も「区域外再送信」 されている。それらによって在阪準キー局の視聴率が脅かされることはあまりないからだろう)

 強大な権力を持っている一団が事を起こすときには、実に用意周到に、細かいところまで行き届いた方法で、 全国民をそちらに強制的に誘導しようとするものである。見事というほかはない。 銀行でさえ、護送船団方式は解体されたのに、ひとり放送局だけは、未だに護送船団が堅持されている。 いや、大問題となっている電力も同じだ!
 地デジ化は、利権まみれの自民党が推し進めてきたものだから、政権交代で見直されることが期待されたのだが、 残念ながら現政権も同じ穴のむじなであった。
 アナログ終了を「日曜の昼」という時間帯にあえて持ってきたことも、見せしめというか、 嫌がらせとしか思えない。昨夜の放送終了とともに終了すればよかったのに、あえて 皆が起きている時間帯にすることで、「完全移行」を演出したかったのだろう。 番組を途中でブチッと切る演出までするなんて、どこまで横暴なんだろう。ひどいを通り越して、滑稽で、イタい。

 地デジ化によってもたらされたもの。それは「多額の出費」と「不便」、 そして地域による「情報格差の拡大と固定化」である。こんなことが許されていいはずがない。

 この真実を多くの国民が知るようになれば、今のテレビシステムはきっと崩壊に向かう。 暴力的措置によって地方放送局の延命を図ろうとしてみても、それはテレビ離れを加速するだけで、 人々の声が大きくなれば、結局はそれに沿うように路線変更せざるを得なくなる。

 そもそも、県ごとに放送局など不要である。設置するにしても、 たとえば関東広域圏の千葉テレビや、関西広域圏の奈良テレビのような地域密着局1局態勢でよい。 現在、キー局の系列毎に設置されている地方局は、ゆくゆくは1つの地方局に統合して、 5つの系列(日テレ系・テレ朝系・TBS系・CX系・TX系)を関東、中京、関西、九州の4ブロックくらいに設けて、全国を受け持てばよい。 そうなれば、地域による情報格差はなくなる。そもそも、PCや携帯、スマートホンが普及すれば、 地域ニュースなどはそちらで十分であるし、TVは独立局1局とNHKが担えばよい。

 地デジ化の強行は、現行のテレビシステム崩壊の序章と捉えるべきである。

 参考URL
 
あなたは地デジ化が始まった原因をご存知ですか?
  地デジが生まれた本当の理由
  地デジ化 つまらない番組で大儲けするためのTV局と役人の策
  地デジ化は世界のスタンダードに逆行 欧米では超マイナーだ
  私たちは地デジ化に反対します
  「高音質・高画質」等地デジの4つの利点 いずれもデタラメ
  地デジ化で視聴可能局減る徳島県民「何のための地デジ化?」
  地デジ化の悲劇 徳島県では視聴可能チャンネルが10から3に
  デジタルテレビ放送は衛星でやるべき(地デジは無駄です)
  アナログ放送終了から古い態勢のきしむ音がする



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