2011年11月29日
大阪の教育を守れ
大阪維新の会が進める「教育基本条例」案に対し、
大阪府教育委員の各氏は、これまで、条例案が可決されれば辞職するとの意向を示していた。
27日の府知事選で当選した松井新知事(維新の会)は、
現在の委員が辞職することを前提に、「新しい教育委員と(維新の会提出の条例案の)対案をつくる」
と述べた。
(自身が知事に就いたことを踏まえ、形の上で、既に維新の会が出した案を下地に、
新たな案を知事主導でつくりあげるという意味。事実上追認するだけであろうことは、明らか)
新知事の発言は、現職の教育委員に対し、条例案が可決される前に辞職せよと突き放したものであり、
明らかに、「邪魔者はとっとといなくなれ」という宣言である。邪魔者がいなくなれば、
自分たちの意向に沿うイエスマンだけを集めて新しい委員会を組織し、願い通りの暴走をしようという算段である。
この非礼極まりない発言(いや、これが維新の会の本性なのだが)に、現教育委員は一歩も引かず、
現職に留まって条例案に反対し続ける意向を示した。
新聞のインタビューを受け、委員各氏は、次のように発言している。
「選挙後はこういう風に強引な手法で進むだろうなとは思っていた」「条例案の公表からわずか数ヶ月しかたっていない。
有権者がどれだけ中身を理解し、投票できたのか疑問」
「条例案は、生徒も教師も学校も競争で学力向上を進めることを求めている。
競争ばかりでやる気を持続できるのは学力トップ層だけ。府民に大きく影響するのだから、
数年間掛けて議論すべきだ」(小河委員=元中学校教諭、大学非常勤講師)。
「選挙結果を受けて辞めれば、まさにこの条例案の問題と同じで、
教育行政が政治に影響されることになってしまう」(陰山委員=小学校副校長、百ます計算で知られる)
「失礼な話だ」「教育評価や校長の公募制など、問題点について議論が尽くされたとは思わない。
このまま条例案が通れば学校現場は混乱する」(中尾委員=私立学校理事、元松下電産四国支店長)
また、府庁出身の中西教育長は、自身の立場を気にしながら、
「学校や先生、教委など今の教育制度に対する不満、これらの変革を願う府民の気持ちの表れだと受け止めている」
としつつも、「教育基本条例案について、細かい部分まで支持されたということではないのではないか」
と述べた。
条例案を提出した維新の会(橋下代表)の理屈立ては、こうだ。
「大阪で児童・生徒の学力が向上しないのは、教育現場の荒廃によるものであり、
それは"民意を反映しない、くそ教育委員会"のせいだ。民意を反映させるために、民意を受けた政治のトップが方針を決める」
わかりやすいスケープゴートをつくり出し、徹底的にたたくことで大衆のカタルシスを引き出し、
熱狂を自分に向ける。これは、独裁者の常套手段だ。
民衆を酔わせれば、もう、主張の内容などとは関係なく、票を集めることができる。
この暴挙に立ち向かっている教育委員の皆さんは、立派である。
私は、積極的に応援したい。何かできることはないかと、いても立ってもいられない気分だ。
上から競争を押しつけることで、子供たちが幸せになれるのなら、そんなに簡単なことはない。
教育のなんたるかを知らず、子育てにもほとんど参加したこともない連中に、教育行政を任せるわけにはいかないのだ。
私も、父親として、また、(非常勤ではあるが)教壇に立つ人間の1人として、
現場を知らぬ者の戯言を許すわけにはいかない。できる戦いをして行こう。