時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2012年9月


2012年9月21日
 私は誰にも負けない愛国者である


 この時事ネタコラムのページは、私が表では言いにくいことを書き込む場となっているが、 常にリベラルであろうとする私の姿勢から、いわゆるタカ派政治家をこき下ろすことが少なくない。 おそらく"2ちゃんねる"あたりでは、ブサヨという名誉なレッテルを貼っていただけるのではないかと、 自負している。

 そんな私が、最近非常に共感できる文章に出会った。

 9月19日付の朝日新聞「オピニオン」欄に、愛国というテーマで3人が寄稿していたのだが、 その中で、「心の痛みがない愛は偽り」と題する鈴木邦男氏(新右翼団体・一水会顧問)の文章に、 私は感動した。まったく反論の余地がないほど、私の考えに一致しているのだ。

 少し引用したい。まずは冒頭。

 私はこれまで、何千回と君が代を歌い、日の丸を掲げ、靖国神社にも何百回と参拝しました。 日本で一番の愛国者だと自負しています。しかし回数を重ねたから自負しているのではありません。 時に暴力で左翼勢力と闘い、あるいは共闘を目指し、思索を深める中で愛国者の資格について考えてきました。

 当サイトで私は、国旗・国歌を強制しようとする政治家を常に批判しているが、それは強制というさもしい手段で、 人の思想信条を侵害しようとする行為を絶対に許してはならないと考えるからで、 自主的に国旗や国歌を敬うことはまさに尊いことであり、尊重されなければならないと考えている。 私個人は国歌は好んで歌わないし、国旗を自宅で掲揚することも決してない。そこに意味を見いだせないからである。 しかし、自主的にそれを行う人を非難しようなどとはつゆほども思わない。

 鈴木氏はこうも言っている。

 外国人が母国に抱く愛国心を理解し、その上で日本を愛する。自分の国がすべて、 日本だけが素晴らしいという考えは、思い上がった自国愛にすぎません。ただの排外主義です。愛国とは最も遠いものです。

 最近、領土問題で過激な行動を起こしている中国や韓国の人々や、それに過剰に反応して 露骨に両国を批判し、排除しようとしている日本人も、いずれも「排外主義」に陥っている。 そんなものは愛国ではない。自民党総裁選での安倍元総理などの発言を聞いていると、 排外主義を看板にすることで、中途半端なナショナリズムを刺激しようとしているふうにしか見えない。 あんなものは、断じて愛国主義者のとるべき行動ではないと思う。

 私が最も共感した鈴木氏の意見は、次のくだり。

 愛は欠点も失敗も認めた上で愛しいと思う心だということです。 日本はアジア諸国に対し、弁解しようのない失敗を犯してきた。そこを認めずに日本は正しかった、 悪いことはしてない、失敗を認めることは反日的だと言いつのり、良いところばかり愛するのは愛国心ではない。 心の痛みが伴わない愛国心は、フィクションに過ぎません。
 (中略)
 日本でも愛国を訴える政治家が多くいます。尖閣諸島や竹島の問題では、戦争も辞さない勢いで国民を扇動しています。 愛国を訴えて、立派な政治家と思われたいのでしょう。あまりに不純、卑劣な態度です。

 これを安倍元総理や石原都知事が読んだら、何と思うのだろうか。私が彼らを徹底的に嫌っているのは、 こういった卑劣な言動に終始しているからで、そこに真の愛など微塵も感じないから。 一方、鈴木氏の上記発言には、清い愛が感じられる。

 本来、愛国心とは家族への愛、故郷への愛、その延長上に位置するものです。 しかし最近は自分と国家を直接、結びつけることが愛国だと考えられているようです。 では、売国だ反日だと同胞を暴力的に批判し、弱い者をいじめて家族や地域に嫌われる者が、 本当の愛国者でしょうか。多様性、敵対性もすべて含めて抱きしめる心。 それが、日の丸掲揚や靖国参拝の回数では、はかれない真の愛国だと思います。

 まったく同感である。私は読んでいないが、鈴木氏は某雑誌でも同様の意見を開陳し、 ネット上では結構な騒ぎになったと聞く。この真っ当な愛国者の意見を、 ネトウヨ達は真摯に受け止めるべきである。

 過去の失敗や自分たちの未熟さを認め、許し合う心。それが国を愛する心であり、 他国を敬い、許すことにもつながる。日本が一番素晴らしい国で、日本の主張が正しいなどと言いつのるのは、 わがままに過ぎない。そんな薄っぺらい人間には、愛国者を名乗る資格などない。

 自分たちの主張がいかに正しかろうが、領土を国有化して「ここはオレ達のものだ。何か文句があるか」 といった態度を政治家が取ることは、安っぽいケンカを売っているようなものだ。もめて当たり前なのである。 そういう政治家を支持することも、同様の薄っぺらい行為に過ぎない。

 過去の過ちを過ちと認め、誠心誠意謝罪を続けること。その先にしか、自分たちの正論を主張する権利はないし、 他国から敬われる国になることもできない。歴史上、侵略はどこの国もやっていることだから、日本だけが悪いわけではない という意見が必ず出てくるが、だからといって開き直っていいはずがない。

 この国が、真に隣国から尊敬されるようになるためには、排外主義を掲げる政治家の言動は、害悪でしかない。 大阪の一部で盛り上がっている「維新の会」を私が常に批判しているのは、そのような排外主義の権化のような集団だからだ。

 強者の論理で成り立っている危険な「維新」に妙な期待を掛けるのではなく、 弱い者に目を向ける「愛」を大切にしたい。そう考える私は、真の愛国者であると自負している。



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