時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2015年05月


2015年5月3日
 権力の暴走を、これ以上許してはならない


(日本国憲法第99条)

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 憲法尊重擁護義務を定めた日本国憲法第99条であるが、 この義務を負っている者の中に、国民は入っていない。 なぜかというと、憲法とは、権力を制限し、権力者の暴走から国民を護るためのものとされているからである。 これを、近代的立憲主義という。

 国民の権利を擁護するための憲法が、自分たちに都合が悪いからといって、 多くの国民がそれを望んでいないのにもかかわらず、 手前勝手に「国民的議論を」などと仕掛け、改憲の気運が高まったなどと、 一部議員たちが鼻息を荒くしている現状は、民主国家にあるまじき状況と言える。

 自分の常識が国民の常識と信じて疑わない暴走親方は、 国会でまだ何も決まっていない段階で、集団的自衛権関連法案を夏までに通すなどと、 米国で勝手に約束してきた。それを野党から追及されると、「今初めて言ったわけではない」 などと居直る。「前から私が言っていることだ。おまえたちも聞いているだろう」と言わんばかりだが、 国会で決まる前に外で約束してくるそのこと自体が大問題なのだ。 首相が意見を表明したら、それですべてが通るとでも思っているのだろうか。

 5月3日付の日本経済新聞に、「国民にも応分の責務を」と題し、 駒澤大学名誉教授の西修氏が 「憲法とは国家権力を縛るものではあるが、 あくまでも権力の恣意的な行使を制限するもので、国民も憲法擁護などの義務を負うのは当然だ。」 との見解を表明しているが、 いったいこの大先生は、何を言っているのだろう。 日本国憲法を勉強されたことはないのだろうか。

 憲法の制定主体は国民であって、国民のためのものなのだから、 国民がこれを擁護する義務を負うことはない。これが立憲主義の根幹である。

 自民党の改憲草案も同じだが、国民に足かせをはめたい権力者の妄想 を平気で口にする、この種の手合いが最近は後を絶たない。

 自民党が最近言い出している、環境権とか緊急事態条項などを盛り込む改憲を先に行い、 「改憲に慣れてもらう」との言い草などは、バカにするのもいい加減にしろと言いたい。 そもそも環境権とか、緊急事態条項など、加える必要などまったくない。 現行憲法でカバーしていると考えられるし、必要なら特別の法律を作ればいい。

 権力の暴走を、これ以上許してはならない。

2015年5月17日
 瀕死の大阪市が、生き残った


 大阪市で特別区設置住民投票(いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票) が17日に行われ、僅差で否決された。

 投票率は66.83%と高く、関心の高さをうかがわせた。 結果は、賛成694,844票、反対705,585票で、その差はわずかに10,741票。 1票でも上回ればそれが結論というルールなのだが、 「民意がノーを突きつけた」とは決して言えない結果であろう。

 私自身の個人的感想を言えば、否決されてホッとしている。 その理由は、大きく2つある。

 この件は、単に一自治体の今後を占う問題ではなく、 国政に大きな影響を与える。つまり、維新の会が勝利すれば、 改憲に賛成している橋下氏を安倍首相は自分の元に取込むことができる。 国会で3分の2の数を揃える目標に大きく近づくことができる。

 そんな事態を招いては絶対にいけないというのが、私が反対する大きな理由だ。

 もう1つの理由は、第1の理由に比べれば取るに足らないことではあるが、 私が暮らしている大阪の"周辺市"も、維新の当初の案では取り込まれることになっていた。 その後、堺市などの反発もあって都構想はとりあえず大阪市のみの分割という形で落ち着いたが、 もし特別区設置が実現すれば、やがて周辺市も取り込もうという話が再燃しないとも限らない。 そんな話に巻き込まれるのはまっぴらである。

 もちろん、今回の否決によって、 大阪市が今のままでいいという信任を得たわけではない。 むしろ、これだけ賛成派が多かったという事実を重く受け止め、 市を大きく変えてゆかなければならない。

 橋下氏がかねがね主張しているような、選挙で勝って信任を得たら、何をやってもいい などということは決してない。そんなものは民主主義ではない。 真の民主主義は、すべての人の声を政治に反映するため、利害を調整してゆくことだ。 少数派の意見を無視して良いなどということは断じてない。

 大阪が低迷しているのは、府と市の対立にその根源があるのではなく、 経済的地盤沈下がその元凶である。国の中での大阪のプレゼンスが低下している ことに、その原因がある。

 無駄を省くことはもちろん大事だが、大阪らしい発展を進める政治こそ、 今求められている。

2015年5月20日
 4,000日御礼

 昨日5月19日をもって、当サイトの連続無欠勤更新記録が4,000日に到達した。

 節目で毎回書いていることだが、ここまで続くなんて、自分でも想像していなかった。 意地の賜物と言えるのかもしれない。

 転勤も異動も職務内容の変化すらない自営業なので、 何の苦悩もない代わりに、時間が経つのはとても早い。 まあ、唯一の苦悩といえば、仕事がなくなるのでは?という不安が常につきまとうことであるが。

 プライベートでの大きな変化は、先日から書いているとおり、 ずっと一緒に生活してきた一人息子が家を出て行き、夫婦二人の生活になったこと。 夫婦で老後のことを話し合うようにもなり、歳をとったことを実感する毎日である。 当サイトで私がやっていることだけを見れば、まるで若者のように感じられるかもしれないが (確かに気持ちだけは若い頃と変わっていないが)、実態はだいぶ違う。 健康のことを考えれば、そろそろ減速しなくてはならないと思っている。

 5,000日まで続くかどうかわからないが、いや、多分、続けてしまうのだろうとは思うが、 見てくださる方々がいる限り、今後も細々と、そして辛口に、 批評を続けてゆきたいと思っている。



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