時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2015年07月


2015年7月5日
 あの日の私、今の私。

 他人の家のことを聞かされても面白くないだろうし、何も興味はないという人が 大半であろうことを承知の上、私自身の記録あるいは備忘録として、今、記しておきたい。


 この春から家を出て、一人暮らしを始めた息子に、先月およそ2ヶ月ぶりに 会い、2人で3時間ほど色々と話をした。

 私の東京出張の日、息子の授業が終わるタイミングで、 彼の通う大学のキャンパス内にあるフレンチレストランの前で待ち合わせた。 親子で晩ご飯を食べるために。

 関東出身の私は社会人になってから、自ら関西に定住することを決め、 その関西で生まれた息子は高校卒業と同時に、自ら関東の学校に進学することを決めた。 不思議な親子だと人は言うかも知れないが、自主自立の精神を重んじるという点は共通している。

 早速出来た友人たちとの出来事を実に楽しそうに話すのを見て、 親として、これで良かったのだ、間違ってなかったのだと思う。

 授業で出された課題の実験を友人宅で丸一日かけてやった話。 入学直後に初めて参加した学園祭での楽しい話。所属するサークルで先輩と一緒に食事に行った話。 教科書を忘れてわざわざ家まで取りに帰ったという話。 現在進行形で進んでいるキラキラした学生生活を語る息子の姿が頼もしくもあり、 羨ましくもある。

 自ら選んだ新たな一歩が、彼をもっと自立した人間、強い人間にしていくであろうし、 これから訪れるであろう幾多の苦難も、一人で乗り越えていくに違いない。 もうそこに、口を挟むべきことは、何もない。


 思えばその昔、東京で学生時代を過ごしていた私は、 とにかく自分のことに精一杯で、周りにいる大人たちのことなど、 あまり目に入っていなかった。自分の両親のことさえ。だが、 それを今さら反省する気持ちもない。若い時とは、そういうものだからだ。

 長い年月を経て、今度は「大人」の一人として、 いわば部外者として、東京の街を歩いた。 若い学生たちを見て、皆が自分の子供のように思えて、 みんな頑張れと、応援したい気持ちになった。 こんなふうに大人たちは若者を見ていたのだな、 やさしい気持ちで見ていたのだなと、初めて気づく。

 そして、二度と戻ることのない自身の青春時代を振り返って、 世界は何も変わっていないのに、自分だけが年老いてしまったかのような錯覚。 そんな悲しさを大人は抱いていたのだと、気づかされる。

 あまり介入してはいけないと思いつつ、息子が東京で学生生活を始めてくれたことで、 その息子にたまに会い、私自身ももう一度、あの日々を追体験できる。 無邪気な気持ちに戻れる。


 今日、昼、妻と二人で外食をし、行きつけの珈琲店でおいしいコーヒーを飲みながら、 これまでのこと、今のこと、これからのことを話した。 経済的な面などであまり恵まれていなかった自分たちの若い頃に比べ、息子はなんて幸せなのかと、 まるで他人事のように語り合った。

 子供が生まれてきてくれて本当に良かったと、改めて感謝の気持ちが湧いてきた。


2015年7月13日
 無意味なアリバイづくり

 安保関連法案を審議する衆院特別委員会で、専門家から法案への意見を聴く中央公聴会が開かれた。

 野党が推薦したのは首都大学東京・木村草太准教授(憲法学)、東京慈恵医科大学・小沢隆一教授(憲法学)、 法政大学・山口二郎教授(政治学)の3人。 一方、与党が推薦したのは外交評論家・岡本行夫氏と、同志社大学・村田晃継学長(国際関係論)の2人。

 与党が憲法学者を呼ばなかったのは、もちろん先日のような「失態」を繰り返さないためと、 そもそも与党に加勢してくれる憲法学者など、アベさんの息のかかった御用学者以外にはいないからだろう。

 与党推薦の2人は、当然のことながら、法案に賛成の立場を表明した。

 よく、ニュース番組のコメンテーターなどにも、「法案は憲法学者の意見だけではなく、 政治学者など様々な意見を聴くべき」といったコメントをする者がいるが、 聴くこと自体は間違いではないものの、問題はその先である。

 政治学的に見て、どんなに法案が必要なものであったとしても、 そもそも憲法違反の法律を作ってはならない。これは、立憲主義国家として、当然のことである。 だから、法案の必要性をどんなに説いたとしても、それだけで是非を判断することなど決してできない。 圧倒的大多数の憲法学者が指摘するように、 法案自体が憲法に合致していないのなら、そのような立法は断じて許されないのである。

 つまり、こんな茶番をいくら繰り返したとしても、無意味なのである。

 法案が必要というのなら、国民の賛成を得て、憲法を変えてから立法しなければならない。 これは、イロハのイである。

 このまま強行採決するなど、とんでもないことであるが、そんなことをしようものなら、 政権は致命的な傷を負うだろう。 それをわかっていないとしたら、なんと脳天気であろうか。
 国民の意見がどうあれ、とにかく通してしまえばいい、という考えならば、それはもう民主国家とは言えない。


2015年7月15日
  強行採決 (このみち)でいいねと 安倍(キミ)が言ったから、7月15日は失脚記念日


 15日の衆院特別委員会で、自民・公明の与党が、違憲の疑いが強い「安保関連法案」を強行採決した。

 国民の理解が進んでいないと、首相自身も認めながら、結局そんな声など最初から 聞く気など毛頭なく、「決める時には決める」と。

 マッチョ政治家としては、さぞ気持ちが良いのだろうが、これから進行するであろう事態 に、まったく思いが至らないようである。 そもそも国民の理解が進んでいないわけではない。理解が進んでいるからこそ、 このとんでもない違憲法案の非常識さが露呈し、反対意見がどんどん広まっているだけのことである。

 明日、衆院本会議で可決というスケジュールは、60日ルールを前提にしたものだが、 参院での審議が行われるその60日もの間、政権がもつとでも思っているのであろうか。

 これだけ多くの国民が反対し、各地で大がかりなデモも行われている状況で、 政権が無傷ですむはずがない。国民の意見など、端から聞く気がないという本音が、 ここまで露わになってしまった以上、その報いは必ず自身に返ってくる。 それは覚悟しておいたほうがいい。

 我々は、この戦後最悪の独裁政権を、何としてでも終わらせなければいけない。 私もそのためにできることをやってゆきたい。



 HOME  利酒日記のメニューページへ  前月の時事ネタコラム  翌月の時事ネタコラム
 このページは、K氏の葡萄酒的日常利酒日記の別室で、WEBマスターが時事問題などについて、 勝手気ままに書き綴るページです。
 建設的なご意見、反論等はwelcomeですが(メールでどうぞ)、一方的な誹謗中傷は受け付けておりません。あしからず。