時事ネタコラムのページ [利酒日記別室]

2020年07月



2020年7月15日
 Go to travel.


 新型コロナウイルスの感染者が目に見えて増加傾向にある中、 Go to トラベルキャンペーンがスタートするらしい。

 とはいってもそれは国の方針であり、東京都をはじめ、地方自治体は一斉に反発。 それもそうだろう。こんな状況で人が動けば、さらに大変なことになるのは目に見えている。

 それでも予定通り始める意向を変えようとしない政府。 理由は、某大手広告代理店様のご機嫌を損ねたくないといったところか。

 それにしても、最初に聞いたときから違和感のある Go to travel キャンペーンという英語。 政府に限らず、民間企業でもよくあることだが、どうしてこういう名前をつける前に、 ちゃんと英語を分かっている人に確認しないのだろう。というか、もし経産省の官僚が考えたのだとすると、 優秀といわれる官僚たちも、英語ができない人ばかりなのだろうか。

 と、昨日までは思っていた。 でも、ニュースなどで中央の政治家たちと地方の首長たちの攻防などを見ていて、 ハタと気づいた。

 Go to travel! つまり、つべこべ言わずにみんな旅行に行け! もうこれ以上経済を停滞させて、 その結果内閣支持率が更に下がるのだけは勘弁だ。 この病気に罹ったって、大抵の人は死なないんだし、高齢者が罹ったら、それはお気の毒様だけど、 そんなことはどうでもいい。そんなことより金が大事。

 政府がそう言っているのだと理解した。

 まあ、このまま押し通せるとは思えないけれど。


2020年7月24日
 断言する。コンビニのレジ袋有料化は誤りだったと。


 2020年7月から、大手コンビニ各社が一斉にレジ袋の有料化を始めた。 スーパーなどでは既に先行して始めているところは多くあるが、今月からは、 すべての小売店で、プラスチック製レジ袋がルールにより有料となったのだ。

 但し、それには例外もあり、@プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの、 A海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの、Bバイオマス素材の配合率が25%以上のもの は対象外とされている。 また、紙製、布製、あるいは持ち手のない袋についても対象外である。

 プラスチックごみ削減という、一見環境問題のように見えるが、実はそうではない。 廃棄されるプラスチックごみのうち、レジ袋の占める割合はたった2〜3%程度と言われている。 つまり、この施策によって得られるプラスチックごみ削減効果は微々たるもので、ほとんど意味がないとも言える。 しかしその事実は経済産業省も認めていて、この施策はプラスチック使用削減が目的なのではなく、 エコバッグの持参など、ライフスタイルを変えることによって、 過剰消費を見直すきっかけをつくりたいというのが、真の目的だそう。

 もちろん、この考え方自体は決して悪いことではないけれど、 全業態を対象に義務化までする必要があったのかというと、私は大いに疑問である。

 店によっては、対象外とされているバイオマス素材使用の袋を使っているのに、有料で販売している。 わかりにくさや不公平さを回避するためとも考えられるが、便乗値上げと取られても仕方ない。 小売店だけが得する制度にも見える。

 だが、その小売店自身が、近々この制度の犠牲者となることだろう。 この制度によって、売上が目に見えて落ちるであろうからだ。

 私の例で言えば、以前からエコバッグを持ち歩いてはいるが、この7月からは、大小2枚を持ち歩くことにした。 それでも、何店か立ち寄るうちに袋が一杯になってしまうことも多く、買い物自体をそこで打ち切ってしまうことが増えた。 まだ1か月もたたないのに、既に5日ほどそんなことがあった。

 以前なら、たくさんの買い物袋で手がふさがっていたとしても、 最後にコンビニでジュース1本買って帰ろうということはあった。袋に入れてくれるからだ。 ところが、今月に入ってからは、そのようなシチュエーションでは、もうコンビニに寄ることをやめた。 ジュース1本のために袋代3円を払う気にはならないのだ。以前だったらそのついでに買っていたお菓子なども、 買わないことになる。

 コンビニだけではない。ドラッグストアに寄ろうと思っていた日にも、 どうせ急ぎではないからと、やめてしまったことがある。 さらに極めつきは、日常消費する重たい水物は、もうスーパー等で買うことをやめ、 ネットで購入することにした(当サイトでレビューしている缶チューハイ等の新製品は除く)。 ビールなど、まとめ買いすれば送料無料になるし、家まで配達してくれるからだ。 一方、そこでしか買えないものを扱っている店に行くことは減らないし、 袋が有料だとしても買う。そうして店の選別は進んでいく。

(私が贔屓にしている成城石井さんにはむしろ立ち寄ることが増えた一方、家の近所の食品スーパーや、 セブンイレブンやローソンには、明らかに行く回数が減った。特に、家に一番近いスーパーはレジの混雑がひどいので、 他店でも買えるものならば、もうそこで買うことをやめた。 私の家の近所には、徒歩で回れる範囲内だけでもそれなりの食品スーパーが5店舗ほどあり、 快適に買い物ができない店をあえて使う必要はない。 コンビニでは、ファミマは限定品が多いために以前と変わらず立ち寄るし、そればかりか、 他店に行かなくなった分、ファミマでの購入額が増えた)

 こんなふうに買い物スタイルそのものを変えている人は、少なくないと思う。 私のように常にエコバッグを持ち歩いている人間ですらそうなのだから、 あまり荷物を持ち歩かない人は、なおさらであろう。 消費者としては、ムダな買い物が減って支出の削減になれば、 それは有り難いことだが、経済にとっては確実にマイナスである。

 ただでさえ消費が落ち込んでいるこの時期に、小売店に負の影響がないことを祈るばかりだが、 今月1か月が過ぎたとき、特にコンビニ各社は、予想以上の売上減に愕然とするに違いない。 私はそう予想している。

 さらに私が予想するのは、コンビニ大手のうちのどこか(ローソンか?ファミマか?)が、 レジ袋をすべてバイオマス素材使用のものに統一して、無料化に踏み切るのではないかということ。 つまり、背に腹は替えられないのだ。

 プラスチックごみ削減効果がほとんどないばかりか、石油使用減にもほぼ寄与しない。 それなのに、大量消費というスタイルを変えようという理念だけで、この制度を押し切るのは、 経済的損失を考えると無理がありすぎる。

 早晩何らかの動きがあるであろうことを、私は予言する。



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